やくしまるえつこのバイオ作品がアルス・エレクトロニカでグランプリ、ライブ衣装はファセッタズム
FASHION HEADLINE / 2017年5月13日 20時0分
メディアアートにおける世界で最も歴史のある国際科学芸術祭「アルス・エレクトロニカ2017」のSTARTS PRIZEで、やくしまるひろこの『わたしは人類(I’m Humanity)』が、芸術的探求部門(Artistic Exploration)のグランプリを受賞した。
やくしまるはこれまでから自身のバンド・相対性理論のアルバムと連動したアイテム制作などでファセッタズム(FACETASM)とコラボしており、YouTubeでも公開されている今回受賞した作品のライブ演奏の衣装もファセッタズムが制作している。
STARTS PRIZEは昨年から設置され、日本人として同賞のグランプリ受賞は初めて。もうひとつのイノベーティブコラボレーション部門(Innovative Collaboration)ではスイスのアーティストによる『ROCK PRINT』が受賞した。
やくしまるが受賞した作品は日本に古くから生息するバクテリア(微生物)の塩基配列を用いて楽曲を制作。その楽曲の情報をDNAコード化、人工合成し、この微生物の染色体に取り込み、遺伝子組み換え微生物を制作したバイオアートとも言えるもの。
作品は音楽配信、CD、遺伝子組み換え微生物の3形態で発表され、2016年9月に茨城で行われた「KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭」、2016年12月には山口情報研究センター(YCAM)でも展覧会が行われ、経済産業大臣認可による初めての遺伝子組み換え微生物の公共展示として話題となった。その時に行われた、やくしまるのバンド・相対性理論でのライブパフォーマンスでファセッタズムの衣装が使用された。
オーストリアのリンツで1979年より開催されているアルス・エレクトロニカは1986年より独立した芸術祭として運営され、1996、1997年には藤幡正樹、坂本龍一+岩井俊雄、東泉一郎、2000年以降もダムタイプの池田亮司、三輪眞弘、刀根康尚、エキソニモなどの日本人がメディアアート界のオスカーとも呼ばれるGolden Nica賞を受賞。優秀賞や栄誉賞にも、毎回多くの日本人アーティストが選出され、欧州で日本のメディアアートの評価が依然として高いことを、今回のやくしまる作品でも証明した。
Text: Tatsuya Noda
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