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イ・インチョル監督「常に自己満足を否定しながら映画製作に臨む」【INTERVIEW--2/2】

FASHION HEADLINE / 2017年6月17日 18時0分



『ハイヒール ~こだわりが生んだおとぎ話』のワンシーン

――どのように確認するのですか?監督の“こだわり”とは?

食事中、ナイフとフォークを逆に持ってみます。正しく綺麗に食べられるのかを確認するため。一杯のコーヒーの量や、物の配置なども、自分の好みを確認します。当たり前を当たり前と捉えずに、自分にとって本当にそれが最善なのかを考えているからです。ルールって必ずしも正しいわけではないし、世界のルールと個人のルールが違うことだってある。

なかでも食事やフィギュア収集、ファッションは譲れないこだわりがあります。例えばファッションだと、何年のどのシーズンのどんなデザイナーが何を意図して創ったのかという点にまでこだわります。

ただ映画製作においては、自分のこだわりを貫き通すだけでは成功しないでしょう。常に自己満足を否定しながら、作っていますね。


――そんなこだわりの強い監督が、憧れている監督や映画はありますか?

素晴らしいと思うことはあっても、特定の人や映画への憧れはないですね。その時々で熱中する対象も変わります。

映画だと、ミヒャエル・ハネケ監督・脚本『愛、アムール』(2012年)は世界観に共鳴しました。カンヌ国際映画祭における最高賞のパルム・ドールを受賞したものの、商業的には地味だった作品。僕にとっては“映画ってこうあるべき”っていうものを見せつけられたという印象です。同監督が以前に撮った『ファニーゲーム』(1997年)はハリウッドでリメイク版も出るほど大ヒットしました。“オーストリア映画はいい映画”ということを広めた監督だと言えるのではないでしょうか。

これからのハリウッドを担っていくであろう、カナダ人映画監督のドゥニ・ヴィルヌーヴにも期待しています。彼は誰も解決できないようなことを解決できるような監督。数字として結果を出すこともできるから、本当に撮りたい作品を創ることもできる。階段を上っていくのが上手ですね。今年公開予定の『ブレードランナー2049』を観るのが楽しみです。


――今年から活動拠点をロサンゼルスに移されると伺いました。どのような未来を見据えての決断ですか?今後の展望についても聞かせてください。

本当に撮りたい作品を創るためにも、映画監督として数字を残すことが大切です。撮りたい作品とは、人生の核となるようなもの。

作り手が作りたいものだけを作っているのでは、ただの自己満足。観客側の視点を持ち、マーケットを読みながらいい作品を届けていきたい。撮り続けるためには、商業的に成功することも必要だと思っています。僕が撮る映画はどちらかというとヨーロッパ的というか、派手派手しさよりも意味深さや情緒を表現することが多いのですが、今はキャリアを積む時だと心得てハリウッドに渡るつもりです。

今後撮る作品のアイディアも希望もたくさんありますが、今は『ハイヒール ~こだわりが生んだおとぎ話』を多くの方に観て頂き、“考えて”みて欲しいです。


【映画情報】
『ハイヒール ~こだわりが生んだおとぎ話』
2017年6月24日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開
監督・脚本:イ・インチョル
出演:菊地凛子、小島藤子、玄理、谷口蘭


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