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ピッティ宮殿を言葉でジャックしたオフ-ホワイト【ピッティ・ウオモ92】

FASHION HEADLINE / 2017年6月24日 13時30分



オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー2018年春夏コレクション
オフ-ホワイトのシグネチャーである斜めのストライプのグラフィックやロゴはなく。軽く薄い素材とハードな素材が生み出すビッグ&リーンな全体バランス。背中やフロントがカットされたデコンストラクトなジャケットなど、一昨年1月にピッティ・ウオモにゲストとして招かれショーを開催したショーン・オリバーがデザインするフード・バイ・エアー(現在ブランド活動を休止中)の流れのNYのダウンタウンのカッティングエッジなモードの流れと、イタリアンルネッサンスからの引用。

メンズながらフレアのミニ丈のショートパンツなどウィメンズに寄ったアイテムが目立ち、ハイテク素材とオーガンザのダブルフェイスなどの素材をイタリアのハンドメイドで仕上げていくモノ作りは、ストリートラグジュアリーと呼ばれる由縁。スニーカーや各アイテムに使われている蛍光オレンジが今シーズンのアイコンのようだ。

ショーのインビテーションとして配られたオレンジのTシャツの背中には「I’LL NEVER FORGIVE THE OCEAN(海を決して許さない)」というオミッド・シャムスの言葉がプリントされており、これはシリアをはじめとしたアフリカからの難民が溺れ死ぬ状況が続いていることへの警告だ。このメッセージを含め、今回のショーをインスタグラムやSNSで確認する世界中の若いファンに言葉で伝えることで、ガーナからの難民の息子であるヴァージルはファッションのイベントを通して行動した。

大学で構造計算を学んだ彼の建築家としてのプロフィールから、その服のデザインを建築デザインに重ねることは無意味だろう。そのブランド名が示すように、オフ-ホワイトという曖昧なブランドを、巨大なビジネスに向けて着実に構築していくことが、今の時代に求められているデザイナーの役割であることを彼は実践している。

「僕を支持してくれている若い子たちがクリエイターなんだ。僕は新しいプロダクトをマーケットに提供するだけで、それを彼らが新しく着こなして波が広がる。コピーデザインが出回ることも自然の流れだ。過去のアーカイブは確かに重要だけれど。彼らにとってみればそんなことはたいした問題じゃない。情報は豊富にあるし、すぐに何でも手に入る。同じ物、それ以上の物を簡単に作れる時代に彼らは生きている」とヴァージル。


ヴァージル・アブロー
彼は今回の記者会見で世界からの記者を前に。皆が頭では分かっているであろうことを分かりやすい言葉で話した。その姿勢に彼が大学時代に学んだというレム・コールハースの雄弁さと二重性が重なる。

Text: Tatsuya Noda

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