77歳現役、荒木経惟の『私情写真論』【NADiffオススメBOOK】
FASHION HEADLINE / 2017年7月6日 19時0分
木曜日連載、アート・ブックショップ「NADiff(ナディッフ)」各店による今読むべき1冊。今週は、荒木経惟の『私情写真論』。東京・恵比寿の東京都写真美術館内にあるミュージアム・ショップ、NADiff BAITEN(東京都目黒区三田1-13-3恵比寿ガーデンプレイス内 東京都写真美術館2F)によるご紹介です。
■『私情写真論』荒木経惟
「写真はセンチメンタルな旅である」(本書より抜粋)
アラーキーの愛称で知られる、写真家・荒木経惟(のぶよし)。東京の三ノ輪に生まれ、写真好きな父親の影響もあり、千葉大学工学部写真印刷工学科へ入学。卒業後、近所の共同住宅で出会った子どもたちを撮影した写真集「さっちん」は第1回太陽賞を受賞。
本書は、1960年代からこれまで数多くの雑誌に掲載された荒木の文章やインタビュー、対談などをまとめた著書『アラーキズム』(1994年刊)から、写真論を中心に未収録原稿を含め再編した1冊である。
雑誌『太陽』1964年6月号に掲載された「第一回太陽賞受賞の感想」から始まり、新婚旅行を撮影した代表作「センチメンタルな旅」のまえがき、木村伊兵衛・桑原甲子雄・深瀬昌久・東松照明・内藤正敏・中平卓馬・森山大道・沢渡朔など著名な写真家たちとの交友録、生まれ育った町のこと、家族のこと、そして最愛の妻・陽子のことなど、当時の荒木が日常を赤裸々に綴った文章が惜しみなく収録されている。
自身の写真を「私小説」と言ったように、生活のそばには常にカメラがあり、撮影した写真とともに語られるエピソードは、ダジャレ交じりで思わず吹き出してしまうような表現ばかりだが、どこか切なく、目を潤ませるようなシーンも。アラーキーファンはもちろん写真好きはぜひ手に取って頂きたい。
現在77歳、いまだ現役で活躍している荒木。今年の7月には東京都写真美術館、東京オペラシティ・アートギャラリーで大規模な個展を開催し、初期の作品から新作まで幅広く出展される。両展覧会を見る前にまずは荒木自身の歴史を本書で顧みてはいかがだろうか。
【書籍情報】
『私情写真論』
写真:荒木経惟
発行元:月曜社
256ページ/46判並製
発行年:2017年5月25日
価格:1,500円
【展覧会情報】
「総合開館20周年記念 荒木経惟 センチメンタルな旅 1971-2017」
会場:東京都写真美術館
住所:東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
会期:2017年7月25日~9月24日
時間:10:00~20:00(入館は閉館時間の30分前まで)
料金:一般 900円、学生 800円、中高生・65歳以上 700円、小学生以下、都内在住・在学の中学生・障害者手帳所持者とその介護者は無料
休館日:月曜日(ただし9月18日は開館し、19日は休館)
「荒木経惟 写経老人A」
会場:東京オペラシティ アートギャラリー
住所:東京都新宿区西新宿3-20-2
会期:2017年7月8日~9月3日
時間:11:00~19:00(金・土曜日は20:00まで、入場は閉場の30分前まで)
料金:一般1,200円、高大生800円、中学生以下無料
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