1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

生産者の背景に感動して料理をする。食べている時の顔を見るのが好きなんです【フードデザイナー・たかはしよしこの定番論】

FASHION HEADLINE / 2017年7月12日 12時0分



今昔も、洋の東西も問わず、“好き”かどうかだけを基準に選ばれたものには、彼女が大事にしてきたもの全てがしっかりと映し出されている。「世の中、ぱっと見てカッコいいものはたくさんある。だけど私は、じーっと見続けても飽きないものに惹かれるんです。もうそれは中高生の頃から変わってない(笑)。渋いモノへの憧れです」。


■食は1日にたびたび訪れる“幸せ”だと思う

料理でも、彼女が目指すのはじんわりと心に沁みる深い味わいだ。「おいしい料理を作る人って五万といますよね。みんなのお母さんもそう。それぞれに役割があって、それなら私は、滋味深い料理が作れたらいいなって思うんです」。生産者と同じように、そう料理にまっすぐ向き合うたかはしさん。その毎日は幸せにあふれている。そして実は、私たちの日常にも。「作り手からもらった感動に包まれて料理していると、とっても幸せな気持ちになれるんです。食べている人にもそれは感覚的に伝わりますよね。音楽を聴いたり、展覧会に行ったり、感動をもらう体験はいろいろあるけど、毎日ではない。でも食は、1日に何回も訪れるから、何度も、細かく幸せがやってくるんです。家族でもその時間を共にしたくて、朝と夜は夫と娘と3人で食卓を囲むようにしています」。

なぜなら、それは“宝物”だから。「鹿児島睦さんの絵本の帯に“おいしいキオクは宝物”と書いてあって、本当だなって思ったんです。私は4人兄弟で家族が多かったんですが、母は出来合いのものはほとんど使わず料理を作ってくれました。揃って食べるのがうんざりするほど当たり前の毎日(笑)。でも、今振り返るととても大事な時間だったと感じます。物を買い与えられた記憶はあんまりないけれど、おいしいものを一緒に食べた思い出が何よりのギフト」。




目先のモノではなく、体験を通して養われた価値観。彼女が娘さんに届けたいと願うのもそんな感性だ。そして仕事でも、未知の味覚に出会い脳内の細胞がパッと開いてしまうような感動を、誰かと分かち合っていきたいとたかはしさん。「私も幸せで、食べている人も幸せ。それが嬉しくって、今日もアトリエのキッチンからみんなの顔を眺めてしまうんです」。


【staff】
photographs : Hideyuki Seta
hair & make-up : Shirouzu Mayuko(roraima)
text : Aiko Ishii

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください