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パリ発サステイナブルの先駆者、スニーカーブランド・ベジャ

FASHION HEADLINE / 2017年7月17日 20時0分

ベジャ(Veja)

トランプ大統領率いるアメリカ合衆国がパリ協定から脱退する決定を下したことで、気候変動や環境問題についての議論が再燃している昨今。ファッションシーンにおいても、エコやエシカルのキーワードが聞き慣れて久しくなった。モードの国フランスは、先進国の中でも率先して環境問題に取り組んでいる。大気汚染緩和のためにディーゼル車の走行規制や、スーパーでのプラスチックレジ袋の廃止、さらに世界で初めてプラスチック製の使い捨て食器販売を禁止する法律が制定された。そしてエシカルをファッションに取り入れた先駆者と言われているのも、フランスのブランド。2005年に当時24歳のミレニアルズだったフランス人によって立ち上げられたスニーカーブランド・ベジャ(Veja)だ。

創業者のフランソワ・ギラン・モリィヨン(Francois Ghislain Morillion)とセバスチャン・コップ(Sebastien Kopp)は中学時代からの長年の友人。ともに大学で開発経済を学び、アメリカの銀行でインターンを経験した。しかしやりがいを感じられなかった二人は、一年旅へ出ることにする。そして滞在先のブラジルで出会った企業に感銘を受け、ベジャの立ち上げに至ったという。「家族経営のオーガニックコットン農家や小規模な天然ゴム採集業者と直接取引することで中間業者をカットし、スニーカーを正当な価格でマーケットに出すことができる。さらに、通常は精製業者を介す加工の過程も彼らが行ってくれている。無駄な仲介をなくすことで、現地スタッフにより高い報酬を支払うことができるという仕組み」とセバスチャンがフェアトレードの実情について教えてくれた。天然ゴムの採取と加工によって十分な収入を得られれば、現地の人々は森林破壊に繋がる仕事よりも前者を選ぶ。「資本主義と社会貢献を融和させたビジネスで、世の中を良くしたいと思った」という立ち上げ前の願望通り、確かな循環を築き上げている。

スニーカーのソールの原料は、アマゾンの樹木を傷つけることなく持続的に採取できる天然ゴム。養殖したティラピアの皮を原料にしたなめし革や染革、100%リサイクルペットボトルから抽出したポリエステルを使用した素材など、開発を重ねて年に1、2回新たなデザインを発表している。しかし、ラグジュアリーブランドや大手スポーツメーカーが打ち出しているような、見るからに“エコ”なデザインではないのがベジャの特徴。環境への配慮とフェアトレードを第一にはしているが、ベジャを現在の地位まで押し上げたのはデザインの良さと言っていいはず。立ち上げてから12年、宣伝広告は一切うたず、口コミで広がり今に至る。ニューヨークタイムズ紙には“聞いたことがないパリで大人気のスニーカー”との見出しがついたこともある。

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