菅付雅信×GINZA中島敏子×IMA太田睦子が語る-写真の未来-1/2
FASHION HEADLINE / 2013年11月1日 21時0分
菅付雅信×GINZA中島敏子×IMA太田睦子が語る-写真の未来-1/2
アートイベント「青参道アートフェア」において10月25日、FASHION HEADLINE主催のトークイベント「写真の未来―ファッション&アートのエディトリアルの『今』から探る―」が行われた。
出演者は編集者の菅付雅信氏、ファッション誌『GINZA』編集長の中島敏子氏、写真誌『IMA』エディトリアルディレクターの太田睦子氏の3名。菅付氏がファシリテーターとなり、ファッション写真を専門としない若手のアート写真家達がファッションフォトの領域で活躍している現状とその背景についてトークセッションを行った。
約2年前にリニューアルを行い、ファッションアイテムそのものにフィーチャーした写真から、アイテムを身に着けた時のストーリーを映したビジュアル表現に移行、部数を飛躍的に伸ばした『GINZA』。そこで今活躍する若手写真家の安村崇、イナ・ジャン、ライアン・マッギンレー、小浪次郎などを中島氏は紹介。ブランドとのタイアップ企画でバッグなどを撮りその作家性を発揮し、『GINZA』のビジュアル表現の変革に貢献している安村は『IMA』でもDiorとのタイアップページで撮影している。また、太田氏も注目する写真家ヴィヴィアン・サッセンを「半分くらいファッションで、半分くらいアート」と述べ、その表現の目新しさを評価した。
中島氏は、「アートとファッションは隣同士なのに、ファッションの人が『それはファッションとは違う』とアートを嫌う傾向がある。そこには日本のファッション誌が海外の雑誌になろうとしてきたという背景があり、それが既存のファッション表現から抜けきれない原因となっている。みんな“目がグルメになっている”今、そこを打ち破ってくれたのが作家性のあるフォトグラファー達」と語る。
友人や素人のヌード写真を撮るライアン・マッギンレーの話題に及び、高橋恭司や関めぐみなど、自身のポートレート写真を希望する素人を募って撮る写真家が増えてきたことについて、雑誌『COMMERCIAL PHOTO』でも編集に携わる菅付氏は、「若手写真家のマネタイズの捉え方が多チャンネルになってきている」と述べ、「石坂直樹のように動画とスチールの両方を行き来する写真家も増えている」と今の写真家たちの自由で柔軟なスタンスについて言及。太田氏は、汚い部屋に住む家族のポートレート写真集をNYで出版した題府基之の例を挙げながら、「日本では写真集がなかなか売れないという現状から、日本の出版社ではなく、海外の出版社で1作目から出す人も出てきている」と海外マーケットにも最初から目を向ける現在の若手写真家の動向について述べた。
ZINE製作から始まった若手写真家の小浪次郎に関して中島氏は、2011年4月号で女優の宮沢りえを撮影したときのことについて「被写体に対する距離感がしなやか。気分を伝えるようなフレンドリーな指示の出し方で、穏やか。現場ではみんなが彼の空気に好んで巻き込まれていく」とエピソードを語った。それに対し菅付氏は、「レタッチの入っていない、“素”の宮沢りえが写っていた。小浪の写真は、被写体との関係性の新しさが伝わる、仕事っぽくない写真。被写界深度を気にしないで動きながら自由に撮るがちゃんとライティングができる『スーパーへたうま』作家」と評した。
2/2に続く。
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