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吉岡徳仁1/3--未来を考え歴史を超えるクリエーション【INTERVIEW】

FASHION HEADLINE / 2013年12月21日 20時11分

■芸術の魅力とは、言葉で説明できないからこそ形で見せるところにある

本展でも発表された、クリスタルプリズムでつくられた建築「虹の教会」の構想は、正に実体のない、透明な「光」を素材に建築空間をつくりあげるという、新しい発想から生まれたものだ。 歴史的に、ヨーロッパの教会建築は、礼拝の儀式や祈りを、おごそかに、神秘的に演出する効果を、窓から射し込む光に求めてきた。 建築史上、ル・コルビュジェや安藤忠雄など、名だたる建築家やアーティスト達が、その「光」を見事に設計することによって、彼らの代表作となる教会建築を手掛けた。

吉岡にインスピレーションを与えたのは、アンリ・マティスがすべてのデザインとアートワークを手掛けた、南仏ヴァンスの聖ロザリオ礼拝堂だ。そこには、ブルーとグリーンのステンドグラスを通して、紺碧海岸の海に揺らぐ海藻や魚達や、水中で乱反射する光のイメージが、お御堂の白い空間に散らばる、この上なく美しい光景がある。吉岡の「虹の教会」もまた、定められた色の階調の光が散らばる空間だ。 プリズムを通して照射される光は、光学的実験の結果であるにもかかわらず、魔術師の手の中でこしらえられたような、虹色のイリュージョンをつくり出す。

「20年以上前、パリ・コレクションで、イッセイミヤケの、水のかたちをかたどった帽子のデザインを手掛けて以来、ずっと光という透明なものへの関心を持ち続けています。光とは体感しないと分からないもの。しかも視覚だけでなく、五感で受けとる部分が多いものだと思っています。音も同じ性質を持ちますが、環境を整えることによって、音とプリズムの光を相互作用させることも考えられますね。

本来、芸術の魅力とは、言葉で説明できないからこそ形で見せるところにあると思うんです。スケールが大きく、考え方とメッセージがあり、それが自然に伝わってくるものに惹き付けられます。森美術館の『ネイチャー・センス』展では、制作中に、見せる作品はたった一つでいいと気づいたんです。空白のスペースや時間があっても、そこにバランスとリズムがあれば、ダイレクトにドンと伝わる。観る人が気持ち的に埋もれてしまうくらいのスケール感で見せることで、自然への畏怖を表現しようと思いました」

2/3に続く。

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