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吉岡徳仁3/3--デザインとは当たり前を脱し、新しい発想をすること【INTERVIEW】

FASHION HEADLINE / 2013年12月23日 20時0分

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吉岡徳仁氏

「デザインには、ブランド価値を高めるだけでなく、車を取り巻く文化そのものをつくり出す責任がある」と語る吉岡徳仁。では、車という特殊なプロダクトをめぐる世界観の表現に深くかかわってきた吉岡が考える、車の「現在と未来」とはどのようなものだろうか?

■光をデザインアイコンとして印象付けてきたアウディ

例えばアウディではヘッドライトやリアコンビランプにLEDを使用し、光をデザインアイコンとして印象付けてきた。光や素材に対して、偏愛ともいえる深い関心を持つ吉岡が考えるデザインフィロソフィーに、車をめぐる文化と、ひいてはプロダクトデザインの未来を占うヒントがあるはずだ。

「車のデザインにも興味があります。 最先端のテクノロジーと、デザイン、ブランディングを両立させる高度なクリエーションだからです。でも今はむしろ、古い車のバランスの美しさに惹かれますね。その意味で、時計の分野にも同じような現象が起きています。内部のテクノロジーは先端的でありながら、外観のデザインはクラシックの良さを生かすといった、進化とクリエーションのバランスがとれている製品が多い。過去の人々が考えた未来的なデザインを実現するテクノロジーが当たり前になった時代、モノの背後に既に組み込まれた歴史や物語が説得力を持つようになったのかもしれません」

■照らすことの意味自体をデザインする

ここで吉岡はいわゆる“ヒーローもの”の代表であるウルトラマンに出てくる怪獣を例に挙げる。

「例えば子供の頃、ウルトラマンの怪獣が怖かったのは、子供でも知っている動物や植物の形から発想されていて、現実とリンクしていたからではないかと思うんです。車のフロントも、昔からなぜか人間の顔や身体のパーツに似て、デザインされています。自然との相似という歴史が既にデザインの背後に組み込まれているんですね。

ブランドのIDを考える時、変えるものと変えなくていいものがあるのかもしれない。光のことで言えば、僕だったらヘッドライト自体をなくすかもしれない。他の方法で光を出すことを考えます。夜の移動のための光、と考えるところからスタートすれば、照らすことの意味自体をデザインするのが、工業デザインの発想だと思うんです。今ある形やサイズが当たり前と思っているところから脱し、新しい発想をしていくことがデザインだと思っています」

吉岡徳仁の仕事歴から印象付けられる、健やかさ。それは、「既にそこにあるもの」から自然な形で発想され、更に科学少年のような探究心を持って、自由な造形を試みてきたプロセスにあった。分野にとらわれない彼のクリエーションが、同時に、日本社会の目指す「理想型」を真っ直ぐに照射するデザインへと昇華されていくことを予感する。

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