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山本寛斎1/2--削ぎ落として生まれた結晶のようなショー【INTERVIEW】

FASHION HEADLINE / 2014年1月1日 21時0分

今回のボウイの個展に際しても、準備のために何回かロンドンに行きましたが、「かっこいい」だの「その服どこで買ったの?」だの、街を歩く度に盛んに言われるわけです。向こうでは相変わらず、モテる。ある種の敬意を持って見られる。40数年前も今回も全く一緒です。その根底にある、彼らの基準は“Individual”という言葉です。つまり、非常に個性を尊重する。それに対して日本は、随分と進化してはいるもののも、依然、集団的な民族だなと感じますね。

――今回のショーは「歌舞伎」をテーマにしているわけですが、寛斎さんご自身の思いをお聞かせください。

私は、オーケストラの指揮者とか、戦の武将のようなつもりで舞台にいました。演者の出のタイミングなど、私は観客の様子、全体の間合いを見て掛け声を掛けていく。良い舞台では観客の頭が動かないものですが、正に私の舞台でもそうでした。終わった瞬間にようやく息がつけるという解放感のようなものが感じられましたね。

――最初の早変わりでの寛斎さんの第一声、あれで私たちはぐっと舞台に引きつけられました。

私は、その瞬間、涙を流していました。どうしてか分かりません。指揮者が泣いてどうするのだという話もあろうかと思いますが、すべてがビシッと決まっている時には、そういう感情が生まれます。今回は入場の時からそういう舞台を作るべく、黒子を使ったりして演出をしていたのですが、公式の映像ではその部分、ばっさり削られてしまいましたが(苦笑)。

――確かに、黒子の映像はありませんでした。

今回のショーでは、1日に何回、時間は20分とか25分とかいうことから始まって、近藤等則さんのトランペットにしても、V&Aにあるラファエロの絵の具が剥離しないように、と音量を決められたり、非常に多くの制限がありました。

私は今まで、自分が好きな場所で好きなようにやってきましたから、こんなに制約されたとのは初めてでした。そこから学んだことは、好きにやれと言われた時は、これでもかというくらい、しつこく発信するんですが、制約があると、本当に最低限の伝えるべきことのみに絞られます。でも、時間が短くても制約が多くでも、自分の思っていることがはっきりしていれば伝わるんだなと、実感した初めての経験でした。

(2/2に続く。)

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