テーラー鈴木健次郎3/3--エレガントこそテーラーの勝利【INTERVIEW】
FASHION HEADLINE / 2014年3月23日 21時30分
ただ古いものにこだわっているわけではありません。年代ごとの傾向は勉強しましたが、特定の好きな年代やスタイルに拘泥することはないですね。例えば1910年代のものだったら、触れるだけでわかるくらいにはなりました。日本のテーラーにかかわる人たちの多くは、そこにこだわりを持っているようですが、自分は違いますね。顧客は決して古いものを欲しているのではなく、2014年の今の服を求めています。もちろん、古いものについての知識がないと、新しい服を作ることができないという部分もありますが、それにとらわれていると新しいものを生み出せないと思うのです。
――今後の予定や展望などについて教えてください。
受注会のために定期的に日本へ行っていて、現在の注文数の6割がフランスです。今後はもっとフランスでのオーダー数を増やしたいと思っています。また、これからフランス人の職人を入れて、数をこなせるような体勢に整えたいですね。人を増やして自分の世界観を保ちながら拡大していきたいと思っています。今、スマルトの職人に声を掛けているところです。
ただ、クオリティーだけは保たなければと考えています。すべてを他人に任せず、自分自身、つまり職人の手作業を入れないといけない。そうして作ったものには濃密な空気感が出ます。粒子が細かくなるというか、一体感や光っている感じが完成品から放たれるというか。職人が懸命に作ったものには、雰囲気に現れるものなのです。そういった空気感を大事にするのであれば、外注ではなく、自分が直接雇った人にやってもらうしかない。人を増やせば生産数は上がりますが、学んできた環境が違ってしまっていてはどうしてもクオリティーが下がってしまう。そうならないようにしないといけないと思っています。
またパリだけでなく、広い地域からの顧客を開拓したいと思っています。3日前にはジュネーブからオーダーに来た方がいましたし、明後日はルクセンブルグから来る予定で、徐々にですが広がりを見せています。またサヴィルローでの受注会の企画も持ち上がっていて、実現したら面白いと思っています。
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鈴木健次郎は東京都出身。専門学校を卒業後、アパレルメーカーに勤務。2003年に渡仏。パタンナー養成校であるA.I.C.Pを首席で卒業し、国家資格を取得。現地テーラーハウス、アルニスで研修後、カンプス・ドゥ・ルカで縫製職人として研鑽を積み、07年よりフランチェスコ・スマルトに勤務。09年には日本人初のチーフカッター(採寸、パターン、裁断など、すべての工程を監督)に就任。11年に独立を決意し、13年に「KENJIRO SUZUKI sur mesure PARIS」を設立した。
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