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資生堂がヘア・メイクで京都の「LOVE」を自在に表現

FASHION HEADLINE / 2014年6月3日 12時0分

昼と夜をイメージしたブルーの濃淡の配色が美しい着物には、白のエナメルのヘアアクセサリーを付けて、愛らしい雰囲気

5月17日に京都・大覚寺で開催されたファッションカンタータフロム京都(Fashion Cantata from Kyoto)で、ヘア・メイクを手掛けた資生堂のヘア&メーキャップアーティストチームに、今回のショーのポイントを聞いた。チーフを務めたのは同社トップヘア&メーキャップアーティストの鎌田由美子、計良宏文、大久保紀子とヘア&メーキャップアーティストの黒木久美子。

洋装パートの「シーバイクロエ(See By Chloe)」のヘアを担当したのは、計良氏。パリのアートスクールに留学中のイギリス女性というシーバイクロエのテーマに沿って彼が作り出したのは、ナチュラルなダウンスタイル。全体をブローしてさらさらにし、毛先のみをアイロンで巻いて作ったCカールで、爽やかさを演出したという。「お寺とのミスマッチさが出るのもいい」と語り、シーバイクロエらしさ、作りこまない自然なスタイルに徹した。

メイクを担当した大久保氏も、やはり同ブランドテーマに合わせて、「ナチュラルだがアクセントのあるスタイル」を追求した。しっかり描いたブラウンの眉とマスカラで目まわりは明るめでくっきりとした印象に。フェイスラインはモデル本人のラインを生かし、ピンク掛かったベージュのチークを入れた。口元はヌーディーなピンクで仕上げ、全体から「好奇心旺盛で品のあるイメージ」を引き出していた。

和装ヘア・メイクで総合チーフを務めた鎌田氏は、Fashion Cantata from Kyotoを手掛けるのは今年で5回目。それぞれの着物作家と必ずミーティングを行っているという。作家から一つひとつの作品のモチーフなどを聞いた上で、自らデザイン画を作成し、それぞれのヘアスタイルを決めていく。デザイン画とスタイルの詳細をチームのメンバーに伝え、スタッフとの綿密なコミュニケーションと信頼関係で作り上げていくという。

日光東照宮の陽明門をモチーフにした着物には、シニヨンスタイルを合わせ、流れる雲のイメージを印象づけた。馬蹄とハートのデザインが斬新な着物には、大ぶりのハート型ヘアアクセサリーをあしらい、ショーのテーマである「LOVE」を大胆に表現。

「至愛」をテーマに作られた絞りの着物に合わせたのは、大正ロマン風のウェーブヘアとかんざし。静謐さの中に秘められた強さが表れていた。資生堂とも縁の深い椿がモチーフのろうけつ染めの作品には、椿のヘアアクセサリーを使って、「クラシックでモダンなスタイル」を演出した。

色とりどりの蝶が舞うデザインの手描き友禅の着物と合わせたのは、ピンクのバラのヘアアクセサリー。花びらに止まる蝶のイメージを生き生きと表現。「トータルで動きのある美」にもこだわった。昼と夜をイメージしたブルーの濃淡の配色が美しい着物には、白のエナメルのヘアアクセサリーを付けて、愛らしい雰囲気を出した。

近年は和装を多く手掛ける鎌田氏は、オートクチュールのヘア&メーキャップでも確固たるキャリアを持っており、「着物もオートクチュールという感覚」で取り組んでいるという。「ヘア&メーキャップの技術によって、日本人のアイデンティティーである着物を世界に発信するサポートをしていきたい」と語った。

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