ステラマッカートニーからパタゴニアで作ったエコウールアイテム登場
FASHION HEADLINE / 2014年6月17日 21時0分
21世紀に入るとラグジュアリーマーケットは、新しい局面を迎えることになった。それまでのラグジュアリーといえば、高品質と伝統に裏打ちされたクラフツマンシップから生まれる、信頼の一品というイメージが先行した。現在もそうしたもの作りに対する姿勢は変わりないが、更に環境や人道的な問題に配慮したブランドの理念が、ラグジュアリーの新しい価値観の一つに加えられたのだ。
ステラ・マッカートニー(Stella McCartney)は、2001年ケリング(Kering)とのパートナーシップによって自身の名を冠したブランドを設立。ナチュラルな自信にあふれるセクシーな女性らしさとサビルローで学んだテーラリングを融合した新しい時代のモードを提案し人気を博している。また生涯ベジタリアンであり続けるステラは、設立当初から、ウエア、バッグ、シューズなど全アイテムでレザーやファーを使用せず、それに代わるエコ素材を開発。部分的にはオーガニックコットンを使用している。ステラの意識は環境問題への積極的な取り組みへと進化し、2014年秋コレクションよりサステイナビリティー(持続可能な)の新しい基準に従い特別に生産されたサステイナブルウールを使用するプロジェクトをスタートした。
このサステイナブルウールのプロジェクトは、地球に生息する動植物によって構成されるエコシステムとその生存に必要な土と水を守る活動を続ける米国最大の自然保護NPO団体、 ザ ネイチャー コンサーバシーと、アルゼンチンからチリにまたがるパタゴニア地方で持続可能な放牧を行い高品質ウールの生産を促進しているオーヴィスXXIとステラ マッカートニーの提携により実現したものだ。
そのサステイナブルウールを使用したアイテムが、2014年秋コレクションで発表され、7月下旬頃より店頭展開予定という。大小のハウンドトゥースを組み合わせたモノトーンのケープ(40万1,000円)やワンピース(19万7,000円)は、ヘムラインに施されたフリンジがチャーミング。土地を耕し、健全な土壌と水のある牧草地で育てられた羊から採れたウールは、着心地の良さは去ることながら、サステイナブルというラグジュアリー感覚を着こなす時代がやって来たことを実感するだろう。
ステラ マッカートニーが属しているケリンググループの会長兼CEOのフランソワ=アンリ・ピノーは「サステイナブルなビジネスはスマートなビジネス」と言い、グループ全体へサステイナブルなビジネスを呼び掛けている。2014年ニューズウィーク誌グリーン企業ランキングにおいて、ケリングは総合部門で世界500企業のうち4位、一般消費財部門(生活必需品でない物品やサービスを販売するビジネス=リテール、メディア、アパレル、自動車など)では、同500企業の中で1位となり、世界的に注目を集めた。
そうしたケリンググループの中でも、ステラ マッカートニーのサステイナビリティーに対する意識は高く、環境保全を踏まえた素材開発はグループを牽引する役割を担うほどだ。しかも、ステラ マッカートニーは、トップモードを提案し、サステイナブル ビジネスを両立させるという、新しい時代を切り開いていると言える。
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