線から面へ。新クチュールを作ったイッセイミヤケ【15SSウィメンズ】
FASHION HEADLINE / 2014年10月2日 22時0分
「イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)」は9月26日、15SSコレクションを発表した。今回のテーマは「風が描く景色=風景」。雲や水面を揺らすさざ波、砂丘の曲線などを作り出す風から着想したという。
驚愕のテクニックを披露した前シーズンだったが、今回はそれを更に進化させたウエアを見せた。デザイナー宮前義之の創造性は止まらない。
「3D Steam Stretch」テキスタイルが更に発展した。今回のポイントは、線から面へ。先シーズンは曲線だったが、今回は無数の面が立ち上がるのだ。テキスタイルにあらかじめ“折り目”を織り込んでおき、スチームをかけると折り目に沿い無数の面が現れ、幾何学模様を作り出す。折られる順番も研究して決めたという。
このテキスタイルによるトップスやジャケット、ワンピース、パンツが登場。ブラック&ホワイトの他、光のようなライトイエロー、海面のようなブルー、アースカラーなど自然を想起させる色使いで提案された。一見するとお針子が手作業で仕上げるキルティングや刺繍のようにも見える。しかしそうではなく“織る”時点で作り出されたディテールだ。これは技術の進歩がもたらした新しい“テクノロジークチュール”と呼べるのではないか。
合わせるアブストラクトな形の帽子も「3D Steam Stretch」。曲線プリーツの1枚布を接いで造形した。他に提案されるウエア達は幾何学模様に合わせられるように、チェックや色とりどりのカラーブロックで構成。ゆとりのあるフォルムが、テーマの通り動くことでそよめく。
アイコンバッグ「ガストン」は新たにハンドバッグやトートバッグが登場。もちろんリバーシブルで付属品もオリジナル。ハンドルを着脱して裏返す仕様は使う方も楽しい。また、パラボラアンテナを製造するメーカーと共に作り出したネット状のバッグを新たに発表。テキスタイルからアクセサリーまで日本の技術の結晶だ。
奇しくも老舗百貨店ボン・マルシェが日本展を開き、北斎展がグランパレで始まったパリ。「日本に良い風が吹いて来ているのでは。高い技術力を持つ日本の他分野のメーカーと取り組むことで新しいものが生まれたりする。今回のテクニックは構想1年ほど。秋冬に向けて考えていることもある」と宮前デザイナー。
次シーズンはどんなコレクションで楽しませてくれるのだろう。
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