ザハ・ハディド日本初大個展に潜入。アンビルトから新国立競技場まで網羅
FASHION HEADLINE / 2014年10月19日 11時42分
ザハ・ハディド。アートやデザイン愛好者であれば、その名前を何度か耳にしたことがあるだろう。2020年開催の東京オリンピックでは新国立競技場を設計担当する建築家であり、2004年には女性初のプリツカー賞を受賞した。建築だけでなく、デザインプロダクトも数多く手掛け、緻密にプランニングされた独特のフォルムが人々を魅了している。
今や世界各地で個展が開催されているザハにとって、10月18日から始まった東京オペラシティアートギャラリーでの個展は、日本初の大規模な展覧会となる。1980年に自らの事務所を設立以来、現代建築史に名を残す建築プロジェクトを多数手掛けてきたザハの初期から現在に至るまでの作品を、本人の意向も含めて選抜し、展示空間全体をダイナミックに使用したインスタレーションとして紹介している。
展覧会は大きく四つにゾーニングされる。ゾーン「1」は、80年代から約10年間の初期にあたる時代の作品で構成。“アンビルトの女王”と異名を唱えられた当時において、都市の特徴や地形をリサーチし、精力的につくられたドローイングやペインティング、模型などは建築的な知識がなくても刺激的な作品ばかり。
中でも注目すべきは、札幌のレストラン「ムーンスーン」のインテリア設計のため造作したソファ。ザハにとってキャリア初の実現プロジェクトということもあって、本人の思い入れも強く、同展のために再製作されたものだ。緩いカーブを描くソファには可動式テーブルが備えられ、人の動きに合わせてフレキシブルに対応できるデザインとなっている。
ゾーン「2」では、90年代から2000年代に掛けてのプロジェクトを展示。3D解析や施工技術の進歩により実現可能となったザハの代表作の模型や映像などから、その思考やセンスが見えてくる。彼女らしい躍動感あるラインやエッジの効いたバランスは一目で印象に残る。
デザインプロダクトや模型、映像作品などが並ぶゾーン「3」では、スケールにとらわれない多様性に着目したい。特に、ザハの意向で展示された模型「フィールド・オブ・ジュエルス」。彼女は建築が立つか立たないかにかかわらず綿密なリサーチを行い、“動き”を取り込むことで新しい流れを生む形を導き出す。
一方で、その独特な視点と感覚によるデザインは、モダンでアーティスティックなデザインで知られる、「ダナ・キャラン(Donna Karan)」「ユナイテッドヌード(United Nude)」「メリッサ(Melissa)」「ラコステ(Lacoste)」といった著名ブランドに好まれ、フラワーベースや照明、テーブル、シューズ、アクセサリーなどが発売された。
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