佐久間裕美子2/2 --ヒップが日本を豊かにする【INTERVIEW】
FASHION HEADLINE / 2014年11月12日 22時0分
――「アメリカ人はジャンクフードが大好き」というイメージも未だ根強いように思いますが、その点に関してはいかがでしょう?
食のあり方は二極化していますね。質の高いオーガニックフードを追求するヒップな人口が増えている一方、ジャンクフードを止められない、もしくは止める気がない人もたくさんいます。一度染みついた習慣をなくすのは難しい。長年ファーストフードばかり食べてきた人に、身体に悪いから止めた方がいいといくら言ったところで、すぐに変えられないと思うんです。
私も20代の頃は、お金が無かったこともあって、ジャンクなものをがぶがぶ食べていました。そういった食べ物には中毒性があって、どこにいてもほしくなる。でも、せっかくの旅行先で、その土地でしか食べられないものがたくさんあるのに、「コーラ飲みたい」と思うのはばからしい。たとえば1日3食で、人生であと何回食べられるかと考えると、1食1食、心からおいしいと思えるものを食べた方がいいですよね。ジャンクフードよりは少々値が張るにしても、健康のためにも精神的満足感のためにも、食べるものには気を使うようになりました。
以前のアメリカでは、こうした考え方そのものが希薄で、学校給食もひどいものでした。でも今は、生産者から、給食を作る人、レストランのシェフに至るまで、食にかかわる人々が声高に「食を大事にすること」を主張するようになって、食にまつわる環境が随分変わってきました。
――日本の、食を始めとする生活環境についてはどう思いますか?
『ヒップな生活革命』に書いたようなアメリカ人の新しい生活態度は、日本の文化と根を同じくするようなところが多々あります。祖父母以前の世代では、物を持ち運ぶのに、使い捨てのバッグではなく、繰り返し使える風呂敷を利用していましたよね。四季にあわせた旬のものを楽しむ文化も日本には息づいています。
そうした遺産を大事にする一方、海外の文化も積極的に取り入れていくのが日本のいいところでもある。東京では特に、世界中のおいしいものを食べられますし、クオリティーは平均的に高い。世界中の文化に触れるチャンスはいくらでもある。
一方で、これだけ安全で、これだけ豊かに見えるのに、日本の若い人達から強い無力感を感じることがあって、それは残念に思います。
――どういう時にそう感じますか?
日本の学生からツイッターを通じて、「今度NYに行くのでぜひ一度お話を聞かせてください」といったお願いがくることがあります。話を聞いてみると、「将来が不安だから、なるべく安定した職業に就きたい」と、未来に対して明るい気持ちを抱いていない人が多いのに驚きます。
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