暮らしに“しつらえた”琵琶湖を囲む工芸たち。キギのショップOFSの「around Lake Biwa」展【レポート】
FASHION HEADLINE / 2018年1月19日 19時30分
アートディレクターの植原亮輔と渡邉良重によるキギ(KIGI)が共同主催する東京・白金の住宅地の一角にあるショップ&ギャラリー、アワ フェイバリット ショップ(OUR FAVOURITE SHOP)では、滋賀のもの作りを紹介した「around Lake Biwa vol.2 〜しつらえる〜」が開催中。“しつらえる”をテーマに“食、水、祈り”という3つのシーンを、中川木工芸の木工、大與の和ろうそく、丸滋製陶の信楽焼で展開する。
今回で2回目となる「around Lake Biwa」展のキュレーターを務めるのは、信楽焼窯元である丸滋製陶の五代目・今井智一さん。伝統工芸といえば京都や金沢などが注目されがちだが、実は滋賀県には焼き物、木工、縮緬、和ろうそく、淡水真珠など、代々受け継がれてきた伝統工芸が数多く存在する。「ここ数年、滋賀の伝統工芸を考えるなかで、さまざまな職人とのつながりが生まれました。古の時代より琵琶湖に代表される雄大な自然に育まれた、滋賀の工芸を多くの人に伝えるためのプロジェクトです。今回は、木・火・土でしつらえた私たちの仕事を展示します」と今井さん。
“木でしつらえる”のは、中川木工芸。京都の桶職人の家に育ち、滋賀の比良山麓に工房を構えて15年になる中川周士さん。「工房の前には湖があり裏には山がある、そんな滋賀の豊かな自然は、もの作りにとてもいい影響を与えてくれています」と滋賀の魅力を語る。代々受け継いできた木工技法で手掛ける湯桶やシャンパンクーラー、そして箸やカトラリーという日用品からアート作品のような木の葉のカーテンまで、多彩な木のしつらえを展開する。
和ろうそくの大與は、“火でしつらえる”。滋賀は湖西の地に創業して百余年、大與の4代目となる大西巧さんは、和ろうそくの灯りは今の暮らしにも取り入れやすいと語る。「大與の和ろうそくは、ハゼの実や米ぬかなど100%植物原料です。天然由来の成分なので、家のどこでも安心して使っていただけます。また弊社の和ろうそくには、香料は一切加えていません。嫌な匂いがほとんどないので、料理そのものの邪魔をせず、食卓演出にも適していると思います」。
キュレーターを務める今井さんは、キギと手掛けるKIKOFの作り手でもある。「食のシーンにはどんな食事にもあわせやすい従来の信楽焼では考えられないほど薄く焼いたKIKOFの皿や器を、水のシーンでは手水鉢や厚みあるタイルなどの伝統的な信楽焼で提案しています」と、モダンかつクラシカルに“土でしつらえる”。
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