復興の新たな形とは? “復興をデザイン”する「FUKKO DESIGN」が始動【レポート】
FASHION HEADLINE / 2019年9月30日 18時0分
9月1日、防災の日にインターナショナル・デザイン・リエゾンセンター(東京ミッドタウン・デザインハブ内)で「FUKKO DESIGN」プロジェクトのキックオフイベントが開催された。
日本全国で多発する地震、台風、豪雨といったさまざまな災害に対し、従来の復興支援の在り方を見直す必要があるのではないか。FUKKO DESIGNは、そんな問いを投げかけ、最善の答えを追究する団体だ。発起人である河瀬大作(NHK エンタープライズ)氏と木村充慶(TBWA HAKUHODO)氏の両氏がFUKKO DESIGNの活動と設立の経緯、これまでやってきたこと、これからやっていくことについて語った内容を本レポートで明らかにする。
テレビ番組制作に携わる河瀬大作氏と、広告制作に携わる木村充慶氏の両氏が知り合い、生まれたFUKKO DESIGN。その活動テーマをひと言で表すと、「民間ビジネスの力を結集して新たな“復興”をつくる」ことだという。
FUKKO DISIGN誕生の背景には、「ある課題に対し、いろいろなところから人を募り、みんなの持っているノウハウを集めて解決していくのが今の社会の働き方」だと考える河瀬氏の思いと、各地で復興のボランティア活動をしてきた木村氏の現場感覚が生きている。第1の柱として、災害という大きな課題を解決するためには、日ごろからいろいろな人々とつながり、「有事の時にすぐに対応できるチームを作る」ことが急務だと河瀬氏は語る。これからの時代は、行政は行政、民間企業は民間企業同士といった組織の壁を取り払い、普段から何をするかを共に考えていくことが大事であると説いた。
また、木村氏は自身の災害ボランティア経験から“復興支援のアーカイブ作り”の必要性を訴えた。災害の度にいろいろな支援が行われてきたが、その度ごとに人が入れ替わり、またゼロからスタートして悩んで、という事態が続いていることから、それらをアーカイブして知見として集めておけば、より効果的な支援活動が速やかに行えるというわけだ。
木村氏は「現地に赴き、メディアや行政から上がってきた情報頼りではなく、埋もれている情報を見つけながらニーズを汲み取ることが大事だ」と語り、現地の声からオーダーメイドのアイデアを提案し、実践する「アイデアを売っていく」形の復興支援がいかに有効であるかを説明した。実例として、北海道胆振東部地震時に行った、停電を未然に防ぐためにSNSを活用して「#北海道地震節電」のハッシュタグを付け一斉に拡散する取り組みや、山形県沖地震で倒壊した酒蔵から、王冠が潰れたり、倒れて中身がわからなくなってしまった日本酒を引き受け、ラッキーボトルとしてブランディングし、販売することに成功した「もっけだの酒」プロジェクトが紹介された。
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