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新国立劇場「巣ごもりシアター」5月最終週には、超話題作『紫苑物語』が満を持して登場!

FASHION HEADLINE / 2020年5月22日 7時0分


私の人生を射抜くのは魔の矢か……石川淳の骨太の美学をオペラ化
『紫苑物語』(1956 年発表)は昭和を代表する作家・石川淳が平安王朝期に舞台をとって書いた小説で、歌の家に生まれた国司の宗頼が歌を捨て弓の道を見出し、己の鏡ともいうべき仏師・平太と出会い、その仏を射ると岩山もろとも崩落するという物語。簡潔な文体の象徴的な短編に、石川淳ならではのダイナミズム、壮大な世界観が満ちています。

新国立劇場オペラ「紫苑物語」より 撮影:寺司正彦
新国立劇場オペラ「紫苑物語」撮影:寺司正彦
新国立劇場オペラ「紫苑物語」より 撮影:寺司正彦
新国立劇場オペラ「紫苑物語」より 撮影:寺司正彦

迷いながら自己克服をしていく主人公・宗頼、裏切りの野心に燃える藤内、情欲と権力欲の象徴うつろ姫、実は狐の化身である謎の女・千草、父や叔父との確執、そして乗り越えざるを得ない自己の鏡である平太といったキャラクターの人物造形、さらに岩山の崩落という大スペクタクル、崩壊の後に残る“鬼の歌”、殺戮の後に咲く紫苑(“忘れな草”)と桃源郷に咲く“忘れ草”といった印象的なシーン――『紫苑物語』はいにしえの日本を舞台としながらも、世界へ発信するオペラの題材にうってつけの今日性と普遍性を持ちます。幻想的な異界と現実世界が交錯する物語は、オペラでこそ表現できるもの。スピーディーで求心力に満ちた音楽劇は、観客の心を捉え、一瞬の隙もなく終結まで導きます。


世界屈指のクリエイターが新作オペラ『紫苑物語』に集結、劇場をイリュージョンに包んだ

新国立劇場オペラ「紫苑物語」撮影:寺司正彦
世界的指揮者であり、欧米オペラ界の最前線で活躍している大野和士が新国立劇場のオペラ芸術監督に就任した際、最初の柱として掲げたのが、日本人作曲家の新作オペラの世界発信でした。その第1弾として企画されたのが『紫苑物語』。日本を代表する現代音楽の作曲家・西村朗、西村と長く共同作業をしている詩人の佐々木幹郎(台本)、三島由紀夫の最後の弟子として昭和期の文化の真っただ中を生き、渡欧後はピーター・ブルックらと世界で活躍、東西の芸術に通じた俳優、演出家として活躍する笈田ヨシとの激しい共同作業によりオペラ『紫苑物語』が誕生しました。

新国立劇場オペラ「紫苑物語」より 撮影:寺司正彦
クリエイターチームには、キリアンやフォーサイスのデザインを経て欧州各地の舞台美術で活躍するトム・シェンク、あの『ライオンキング』でトニー賞を受賞し、世界の一流劇場の話題作の数々を手掛けているリチャード・ハドソン、写真家出身で世界的アートイベントのライティングで活躍する照明家ルッツ・デッペが集まりました。精神的葛藤や暴力的な衝動、官能、崩壊、鎮魂と象徴的なシーンが次々展開する幻想的な舞台は、まさにイリュージョンです。

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