【ストップ!詐欺被害】“受け子”になった息子に会いに母は拘置所へ「下っ端は尻尾切り」“トクリュウ”の闇 福岡
FBS福岡放送ニュース / 2024年8月3日 8時11分
ウソの投資を呼びかけるSNS詐欺や、ニセの電話をかける特殊詐欺の被害が後を絶ちません。息子が詐欺に加担した母親がFBSの取材に応じ、末端だけが切り捨てられる現実に悔しさがあると語りました。
福岡市内の貸し会議室に、20人あまりの男女が集まっていました。
■投資セミナー講師
「積み立ては新NISAを活用すれば、運用益を非課税にすることができます。」
開かれていたのは「投資セミナー」です。日本は今、空前の投資ブームです。
■夫婦(50代)
「投資は株を。資産を増やしたい。」
■会社員(20代)
「2月ぐらいからNISAを始めました。インスタグラムで、どれに投資、割り振るのがいいか見ていました。」
投資熱の高まりの陰では、新たな犯罪の被害が急拡大しています。「SNS型投資・ロマンス詐欺」です。
著名人の名前や画像を悪用したニセ広告などを入り口に、投資への興味や恋愛感情を抱かせ、金をだまし取る犯罪です。
ことしに入って半年の間に全国で5068件の被害が確認され、その額は合わせておよそ660億円に上ります。去年の同じ時期に比べ、520億円増えました。
姿を隠したまま、次々に金をだまし取る犯罪者たち。警察は匿名・流動型犯罪グループ、通称トクリュウが関与しているとみて、捜査に乗り出しました。
■福岡県警 組織犯罪捜査課・佐藤治夫課長
「当課は特殊詐欺グループをはじめとした匿名・流動型犯罪グループを、検挙・壊滅するために編成された精鋭部隊である。」
“トクリュウ”の特徴は、グループ名を名乗らず、指示役を特定しづらくしているところです。そして、犯罪ごとにメンバーを入れ替えていきます。
私たちは7月、東京を訪れました。電話をかけて高齢者をだます「特殊詐欺」に主犯格として手を染め、服役した過去があるフナイムさん(43)に、詐欺グループの実態について話を聞きました。
過去の経験から、電話をかけるのに比べ、SNSは圧倒的に早く・多くの人に詐欺を仕掛けられると指摘します。
■フナイムさん(43)
「高齢者をだます特殊詐欺というのは、どうしてもアナログ的な手法を使わなくてはいけなかった。例えば営業マンが電話をしたとしても、一日に300件から400件ぐらいが限界。でもそれが今はSNSの投資詐欺だったら、ボタン一つでもう何万件、何十万件。詐欺師から見たらめちゃくちゃ効率もいいですし、これはもうかると笑いが止まらないはずです。」
“受け子”になった息子に会いに拘置所へ
九州北部に住む60代の女性が、この日、向かったのは、福岡市の福岡拘置所です。
ここには、ニセ電話詐欺に加担し、複数の高齢者からキャッシュカードをだまし取った30代の息子が収容されています。
■特殊詐欺に加担した息子に面会した女性(60代)
「はい、元気でした。刑務作業を教わりながら、きちっとこなせているようなことでした。息子は受け子っていうんですかね。末端の仕事をしたようですね。」
カネを受け取る「受け子」役だった息子は懲役2年6か月の実刑判決を受け、この時は刑務所に移されるのを待っている状態でした。
取材を申し込むと、手紙が返ってきました。手を染めた闇バイトは「困っている人を助ける仕事です」とうたっていました。初めての犯行寸前まで「本当に人助けであってほしい」と自分に言い聞かせていたといいます。
しかし、高齢者からキャッシュカードを受け取ったあと「犯罪だ」と確信しました。
■息子の手紙より
「本当に被害者の方々をはじめ、周りの人たちを傷つけて申し訳ない気持ちでいっぱいです。これからの人生を使って償いをしていかなければと思っています。」
「手を貸す末端がいるから、詐欺グループは無くならない」。手紙にはそう記されていました。
しかし、息子を巻き込んだ「指示役」らは全く責任を問われていない。母親は納得できずにいます。
■息子が特殊詐欺に関与した女性(60代)
「何にも痛い目に遭わない人がいて、その人たちのところにお金が集まって。下っ端は尻尾切り。知らぬ存ぜぬで、誰が誰かわからない状況。パパッと切っていったら、上は誰が誰やら分からない。悔しい。はっきり言って、何で捕まらんの。」
スマートフォンが普及し、人々がSNSでつながる時代。姿を見せない犯罪者たちの甘い言葉があふれています。あなたはそれでも、画面をタップしますか。
FBSでは、SNS詐欺や特殊詐欺の実態に、当事者や専門家の視点から迫るドキュメンタリー番組を制作しました。目撃者f「タップした先に」。8月4日(日)深夜1時35分放送です。
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