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特集「キャッチ」育児疲れの悲痛な叫び「少しでも離れたい」1泊2日から家庭で預かる「里親ショートステイ」で支える 福岡

FBS福岡放送ニュース / 2024年11月9日 7時30分

里親ショートステイ

特集「キャッチ」です。幼い子を持つ親たちを「育児疲れ」から救う事業が、2022年から福岡市で始まっています。親に変わって里親が短い期間、子どもを預かるというもので、利用した親は心の余裕を取り戻しています。

福岡市

■女の子

「もー。」

■里親の男性

「色がわからんごとなる。」

■女の子

「これ違う。」

■里親の男性

「え?」

6歳と3歳のきょうだいを、ほほえみながら見守る夫婦。家族のように見えますが、この夫婦は実の親ではなく、子どもたちを預かっている「里親」です。ただ、長期にわたって育てているわけではありません。

吉光さん

■里親・吉光由樹子さん

「1泊とか2泊くらいが多いのですが、定期的に月1回とか2回とか来てくれているから、孫が遊びに来てくれているような。」

これは、2年前から福岡市とNPOが連携して始めた「里親ショートステイ」という子育て支援サービスです。

里親ショートステイ

本来、里親制度は、様々な事情で家族と離れて暮らす子どもを里親が家庭内で預かる制度で、子どもが自立するまでなど、長期間預かることを前提としています。

一方、「里親ショートステイ」は、1泊2日から6泊7日という短期間の預かりです。仕事や病気など、一時的に子育てが困難になった親が対象で、生活保護の受給世帯と住民税が非課税の世帯、ひとり親世帯は無料で利用できます。

■吉光さん

「子育てを母親一人、父親一人でするのはすごく大変なところもあると思うから、みんなで子育てしようという、その一つとして(里親)ショートステイというのはすごくいいなと思いました。」

橋本さん

福岡市で初めてこの仕組みをつくったのは、NPO法人「SOS子どもの村JAPAN」です。福岡市西区の施設「子どもの村」で、家族と離れて暮らす子どもたちを受け入れています。施設で短期預かりも受け入れていますが、定員を超えるほどの申し込みがあり、これまで多くを断らざるを得なかったといいます。

■SOS子どもの村JAPAN 統括相談支援員・橋本愛美さん

「当時、ほとんど(申し込みを)受けることができなくて、お断りをした方の大半が、かなり厳しい育児疲れで泣きながらお電話をしてくる。子どもをたたきそうですとか、子どもと少しでも離れたいですと、本当に悲痛な助けを求めるような依頼があったにもかかわらず、ほとんど断らないといけないという状況がありました。」

子育てする親たちの疲弊と孤独。福岡市の児童館で話を聞くと、多くの親が同じつらさを感じていました。

■母親

「つい閉じこもってしまって、この子も外に出してあげられないし、自分もどんどん、うつうつとしたメンタルになってきてしまう。やっぱり1対1の状態だからじゃないですかね。大人としゃべらないみたいなことが続くと。」

「(子どもが)夜寝ない時があるので、こっちも疲れているし、しないといけないこともたくさんあるのに、時間通りに寝てくれない時は結構疲れるなと思っています。」

NPOと福岡市が連携

NPOと福岡市が連携

積み重なった子育て疲れが、深刻なケースに転じることをくい止めるため“必要な受け皿”。福岡市も児童養護施設や乳児院などで、宿泊付きの短期預かりを受け入れていますが、十分に枠を確保できない状況が続いていました。

そこで2年前からNPOと福岡市が連携し、里親の自宅にも短期間、子どもを預けられる制度を整えたのです。申し込みの受け付けは地域の区役所です。NPOのスタッフは区役所から連絡を受け、地域の里親とのマッチングをします。

■橋本さん

「お母さんとの関係がということで。」

■スタッフ

「週末ではなく平日で、5年生。」

■橋本さん

「大きい子ですもんね。」

短期預かりが増加

「里親ショートステイ」が本格始動した2022年から、短期預かりの利用日数は一気に増加しました。福岡市によりますと、2023年の1年間に「里親ショートステイ」を利用した世帯のうち、およそ7割はひとり親世帯だったといいます。

■里親の女性

「オラフ、お顔は赤だっけ。赤塗っちゃった。」

■女の子

「赤でもいいよ。」

福岡市の里親が月に1度、1泊2日程度預かっている4歳の女の子です。母親はシングルマザーで、病気の療養のため「里親ショートステイ」を利用しています。

「ワンオペは本当に大変」

■シングルマザー

「やっぱり一人で育てるというのは結構大変。ワンオペは本当に大変だなというのはすごくあって、何かあった時に頼れる最後の頼みの綱じゃないですけど、(里親ショートステイは)絶対あった方がいいなとすごく感じていて。」

■橋本さん

「私たちの感覚としては、8割くらいは育児に疲れてちょっと休みたいという方の利用が多いなと感じています。親御さんが疲れていったり、いろんなきつい状況が重なると、誰にでも不適切なことが起こったりするので、虐待予防、未然に予防していくという意味でも、里親ショートステイを気軽に使えるようになるのはすごく大事だなと思っています。」

全力で子育てする親が失いがちな、心のゆとり。「里親ショートステイ」はそのゆとりを生み出し、幸せな子育てにつなげる制度として親たちに手を差し伸べています。

利用希望は区役所へ

里親ショートステイを利用できるのは、福岡市内に住む0歳から18歳未満の子どもを持つ親です。預かり期間は、原則として最大7日間です。生活保護の受給世帯と住民税が非課税の世帯、ひとり親世帯は無料です。その他の世帯は、1日あたりで2歳未満の子どもが5350円、2歳以上の子どもが2750円です。利用を希望する場合は、最寄りの区役所に連絡をしてください。

※FBS福岡放送めんたいワイド2024年11月6日午後5時すぎ放送

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