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【中学生2人殺傷】逮捕前日まで3日連続で「そば店」の出前「何回同じこと聞いとるんかちゃ」取り調べで激高も 黄色いサンダル・灰色上着・黒ズボンを押収 車から複数の刃物も 延べ1万人が登校を控えた街は 福岡

FBS福岡放送ニュース / 2024年12月20日 18時43分

FBS福岡放送

北九州市で14日、中学生2人が刃物のようなもので刺され殺傷された事件で、逮捕された男が20日、送検されました。男の自宅の家宅捜索では、犯人が身につけていたとみられる黄色いサンダルや衣服、複数の刃物が押収されたことも新たに分かりました。

「何回同じこと聞いとるんかちゃ」

平原容疑者(20日)

20日午後2時すぎ。

■児玉悠一朗記者

「平原容疑者の身柄が小倉南警察署から出てきました。表情を変えず、まっすぐ前を向いて乗り込んでいきます。」

まぶしそうに目を細め、ぶ然とした表情を浮かべる男。

■元木寛人アナウンサー

「平原容疑者の身柄が検察庁に送られます。ここからは表情をうかがい知ることはできません。」

■児玉記者

「白いキャラバンに平原容疑者の身柄が乗せられています。今、検察庁に送られていきます。」

殺人未遂の疑いで19日に逮捕された北九州市小倉南区の無職、平原政徳容疑者(43)。容疑について「確かにその行為を私はしました」と認めたものの。

「何回同じこと聞いとるんかちゃ」

取り調べの中では、警察官に激高するなどしているといいます。

福岡地検小倉支部に移送された平原容疑者。今後も取り調べが続きます。

駐車場に止めていた車で逃走

事件現場(14日)

14日、土曜日の夜に、北九州市小倉南区のマクドナルドで発生した殺傷事件。中学3年の中島咲彩さん(15)と、同級生で友人の男子生徒(15)が男に刃物のようなもので刺され、腹部を刺された中島さんが死亡しました。腰を刺された男子生徒は大ケガをして入院しています。

「知らない人に刺された」と話していた男子生徒。“通り魔的犯行”との見方も出ていました。

■元木アナウンサー

「平原容疑者は中学生を刺したあと、当初、北の方向に徒歩で逃げたという見方でしたが、実際にはこちらの駐車場に戻り、止めていた車に乗って逃走したとみられています。」

捜査本部は、目撃証言などから店舗の北側やその周辺の防犯カメラを捜査していましたが、不審な人物の様子は確認できなかったといいます。そのため捜索範囲を広げるも有力な情報がなく、車やバイクで逃走した可能性を探り始め、平原容疑者の関与が浮上しました。

逮捕前日まで3日連続で「そば店」に出前

事件現場周辺の地図

事件現場から車で5分ほどの距離に住んでいた平原容疑者。16日から18日まで3日連続で、平原容疑者の自宅に出前を届けたというそば店の店長に話を聞きました。

■そば店の店長

「最初はカツ丼とざるそばを月曜と火曜に。水曜日にカツ丼とごぼうのうどん、おにぎり2皿。最初は愛想のない人やなと思った。2日目もそうだった。3日目はおかしかった。ビール持って出てきて、置けばいいのに置かんで、そのまま取ろうとしたら落とした。開けた時、ゴミが積み上がっていた。汚い家やな、もったいないなと思った。」

特殊事件係が窓を割り突入

自宅周辺(19日)

19日午前、平原容疑者の自宅周辺には、身柄確保のため、防護服姿の特殊事件係の警察官が張り込んでいました。

平原容疑者が居留守を使いカギを開ける様子がなかったことから、10人ほどが窓を割って突入。平原容疑者は1階のリビングのイスに平然と座り、抵抗することもなかったといいます。

車と自宅から刃物 別の店周辺を周回も

自宅(19日)

■児玉記者

「ブルーシートがかけられた中では現在、家宅捜索の準備が行われています。」

捜査関係者によりますと、19日の自宅の家宅捜索で、逃げた男が身につけていたものと特徴が一致する灰色の上着や黒のズボン、黄色いサンダルが押収されました。警察は平原容疑者が事件当時、身につけていたものとみて調べています。

■元木アナウンサー

「押収された車の中や自宅からは、複数の刃物が見つかりました。男子生徒が証言した特徴と似た刃物も見つかっていて、警察が鑑定を進めています。」

事件前の平原容疑者の行動も明らかになってきました。

■児玉記者

「捜査関係者によりますと、平原容疑者が事件前、黒のワンボックスカーで店舗の周りを周回する様子が防犯カメラに映っていたといいます。」

平原容疑者はその後、マクドナルドの駐車場に車を止め、十数分間とどまったあと店内に入り、事件を起こしたとみられています。

平原容疑者は、この事件の前にも別の店舗の周辺を周回しているのが確認されていて、警察は事前に機会をうかがっていた可能性もあるとみて調べています。

受験勉強のため塾帰りに店に立ち寄った、中島咲彩さんと男子生徒。これまでのところ、平原容疑者とは面識がなかったとみられています。

延べ1万人が登校を控える

通学路では見守りも

一方、事件から19日の逮捕まで容疑者が逃走していたことは、地域や子どもたちの心に大きな不安や恐怖を与えました。

北九州市教育委員会によりますと今週、市内の小・中・高校などでは、延べおよそ1万人が事件に対する不安などを理由に登校を控えました。警察は、市民の見守りやパトロールなどを行う警察官を大幅に増員し、現場付近で警戒を強化したほか、小倉駅周辺の繁華街などでもパトロールの回数を増やし、市民の見守りに努めていました。

市役所も1000人規模の職員が登下校時に子どもを見守ることを発表していました。

■白野寛太記者

「こちら、事件現場近くの中学校です。容疑者逮捕から一夜明け、生徒だけで登校する姿が多く見られます。」

被害に遭った生徒2人が通う中学校では事件後、車での送迎で渋滞が発生するほどでしたが、20日は多くの生徒が保護者の付き添いを受けず、登校する様子が見られました。

園児が警察署に

小倉南警察署(20日)

■園児たち

「事件解決してくれてありがとうございます。お外で遊べるからうれしいです。」

「ありがとうございました。」

20日午前、捜査本部がある小倉南警察署を訪ねたのは、近くの幼稚園の園児6人です。

■警察官

「ありがとう。」

■園児

「ありがとうございました!」

この幼稚園では事件後、およそ3分の1の園児が欠席し、登園した子どもたちも室内で過ごす日が続いていました。

■園児

「大きくなったら警察官になる。」

冬休みも24時間相談できる窓口

相談窓口

笑顔が戻った子どもたち。ただ、事件の影響はすぐに消えるものではないとして、市は、冬休みの間も不安や心配事などを電話やSNSで相談できる「24時間子ども相談ホットライン」や「北九州いのちの電話」「北九州市SNS悩み相談」などを各学校から家庭に周知し、心のケアに努めるとしています。

犯行時間は十数秒だった

事件の時系列

改めて事件の時系列を振り返ります。

事件が発生したのは14日、先週土曜日でした。平原容疑者が店舗の駐車場の店の中が見える場所に車を止めたのが、午後8時10分ごろでした。ほぼ同時刻に中学生2人が店を訪れ、席の確保後、レジの列に並びました。

そして、午後8時25分ごろ平原容疑者が店に入り、生徒2人を刺して現場から逃走しました。女子生徒は死亡、男子生徒は重傷を負っています。犯行時間は十数秒でした。

事件から3日たった17日に平原容疑者の関与が浮上し、警察が自宅の見張りを開始しました。そして事件から5日たった19日、警察は平原容疑者の逮捕に踏み切りました。

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