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シリーズ「こどものミライ」九州初の子どもホスピスが始動 最初の家族が過ごした特別な一日 福岡

FBS福岡放送ニュース / 2025年1月19日 8時17分

FBS福岡放送

シリーズ「こどものミライ」です。重い病気や障害がある子どもとその家族が、思い思いに過ごせる施設「子どもホスピス」が12月、九州では初めて福岡県古賀市にオープンしました。この「子どもホスピス」を利用した最初の家族が過ごした、特別な一日を追いました。

福岡・古賀市

12月14日、福岡県古賀市に子どもホスピス「よかよかのおうち」がオープンしました。最初の利用者となったのは、福岡市東区の筒井さん一家です。

■父・筒井秀和さん

「起きといてよ。」

■母・筒井真央さん

「そんな目で見なくても。」

両親のそばにいるのは末っ子の、こは音(こはね)ちゃん(5)です。生後まもなく染色体に異常がある「13トリソミー」と診断されました。心臓や肺などに先天性の疾患があります。

そして、心優しい長女・心音(ここね)さん(16)と、しっかり者の二女・花音(かのん)さん(11)、元気いっぱいの三女・奏音(かなね)さん(8)です。

子どもホスピスとは

「子どもホスピス」とは、重い病気や障害がある子どもが、看護師や介護士から医療やケアを受けながら家族と過ごすことができる施設です。終末期の患者の緩和ケアを行う「大人のホスピス」と違い、家族とくつろげる時間の提供を目指しています。

福岡での子どもホスピスの開所は、大阪・横浜・札幌に続き全国で4例目です。

■福岡子どもホスピスプロジェクト・浜田裕子 理事長

「きょう一日生きていてよかった、こんな楽しいことがあってよかったという思いを持ってもらって支援する。そういう居場所を願って、はじめの一歩として施設を開所しました。」

これまで開所にあたっては、高額な建設費と運営費の調達が課題となってきました。去年8月以降、クラウドファンディングなどで資金を集め、古賀市の療育施設を週末だけ利用する形でオープンにこぎつけました。

家族6人は「よかよかのおうち」を利用できる日を心待ちにしてきました。利用当日、家族はワクワクしながら出発を待っていました。

■花音さん

「(何が楽しみ?)ワンちゃん。」

■心音さん

「同じです。」

出かける準備

父の秀和さんは、こは音ちゃんの人工呼吸器の準備をしていました。

■秀和さん

「これを持って行っておかないと。呼吸器がないとだめなので、いつも旅行とか普段から出かける時からこれを持って行くので、行く前は結構大変です。」

医療的ケアが必要な子どもがいる家族は、人工呼吸器の持ち運びや、数時間おきのたんの吸引などのケアが欠かせません。日ごろは気を抜けない生活を続けている家族は、外泊できないことが多いといいます。筒井さん家族6人にとっては、およそ5か月ぶりの外泊です。

施設に到着してまず迎えてくれたのは、こは音ちゃんに付き添う医療スタッフたちです。「子どもホスピス」では、家族に代わって専門のスタッフがこは音ちゃんをサポートします。

■医療スタッフ

「楽しみだね。ワンちゃん来てるってよ、こはちゃん。」

みんな笑顔

実はこの日のために、事前に施設のスタッフが子どもたちにしたいことを聞き、準備をしてくれていました。こは音ちゃんは、犬におやつをやるのに挑戦です。犬に触るのは初めてだといいます。

■秀和さん

「口開けて笑ってる。楽しかった?いい顔してるね。」

■真央さん

「ずっと興奮してるの。」

とても満足したようです。

ケーキ作りに挑戦

キッチンでは、姉たちが料理に挑戦していました。初めてケーキを作るという奏音さんは、二女の花音さんとケーキを飾り付けていきます。

■奏音さん

「できた!」

■花音さん

「うま!天才。」

母の真央さんも、普段は姉たちに割くことができない時間を楽しんでいました。

■真央さん

「横も、もう少し余っているから付けよう。」

■奏音さん

「ちょっと!」

■真央さん

「ごめんなさい、逆さまでしたね。指摘されちゃった。」

■花音さん

「そうじゃない!」

■真央さん

「そうしてってことね。」

"第2の自宅"を目指す

自分たちで作った、手作りのケーキやピザも食卓に並びました。夕食の時間です。

■奏音さん

「作ったやつだ。おいしい?やったねパパ。作ったかいがあったな。」

■花音さん

「(ケーキ)おいしい?」

■真央さん

「考えております。うん、おいしい。」

楽しい時間は、あっという間に過ぎていきます。夕食の後、こは音ちゃんは姉たちと一緒にお風呂に入り、家ではできないようなひとときを過ごしました。

■秀和さん

「楽しかった。子どもたちと家族とみんなで一緒に過ごせるというのは、なかなかある機会じゃない。」

■真央さん

「自分が見ていなくても誰かがケアしてくれたり、お世話してくれたりするので、見ていなくてもいい時間をつくれるというのは大きい。福岡にあるということで、県内の子どもたちがこれから楽しい思い出が作れる場所になっていくのかなと。」

家族と一緒に過ごす当たり前の日常。「よかよかのおうち」は、幸せと笑顔があふれる“第2の自宅”を目指しています。

「こどもホスピス」は、子どもだけでなく家族にもゆとりを持ってもらい、病気や障害と向き合う気持ちを持ってもらうための施設です。まだまだ知られていない施設なので、まずは多くの人に知ってほしいということです。

※FBS福岡放送めんたいワイド2025年1月16日午後5時すぎ放送

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