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【飯塚事件】焦点は「証拠開示」地裁に続き高裁も勧告→検察は拒否 30日の審理で裁判所は動くか

FBS福岡放送ニュース / 2025年1月28日 18時9分

FBS福岡放送

1992年、福岡県飯塚市の女児2人が殺害された「飯塚事件」で、再審=裁判のやり直しをめぐる審理が30日に開かれます。焦点は「証拠の開示」です。去年10月、裁判所は証拠を開示するよう検察に促しましたが、検察は拒否していて、裁判所がどう対応するかが注目されています。

■德田靖之弁護士

「事実を解明しようとすることに、これほど背を向ける。」

裁判のやり直しを目指す飯塚事件の弁護団は、検察へのいらだちをあらわにしました。弁護団が求め、裁判所が促した「裁判に出されていない証拠の開示」を検察が拒否したのです。

■德田弁護士

「裁判所が何をおっしゃろうと、我々は我々ですと。日本の検察もここまで腐敗が始まったかという感じがします。」

久間三千年(くま・みちとし)元死刑囚。1992年2月に飯塚市の女児2人を殺害したとして、死刑判決を受けました。捜査段階から一貫して無実を訴えましたが、死刑確定からわずか2年後、死刑が執行されました。

焦点は「証拠開示」

現在、2度目の再審請求が審理されていますが、真相解明へ弁護団が重視するのが「証拠開示」の手続きです。

通常の刑事裁判で検察は、有罪にするための証拠を出し、無罪方向の証拠は出さないのが普通です。その捜査機関に眠る証拠を、再審の段階で提出させるのが「証拠開示」の手続きです。

布川事件
足利事件
袴田事件
福井女子中学生殺害事件

この「証拠開示」により、無罪を強くうかがわせる証拠が明らかになり、過去にいくつもの有罪判決が覆っています。

去年10月には「袴田事件」で、再審無罪が確定しました。

さらに39年前に福井県で起きた殺人事件でも、証拠開示が再審開始の決定に大きな影響を与えました。

飯塚事件で「開示勧告」

福井事件の再審開始が確定した日、飯塚事件でも動きがありました。

■岩田務弁護士

「我々が目指していた証拠開示について、裁判所が大きく一歩踏み出したというふうに受けてとめています。」

弁護団が重要視する証人の「初期供述」と証拠品リストを開示するよう、裁判所が検察に勧告したのです。

確定判決では

その「初期供述」は事件当日、通学路の三差路で最後に女児2人を見たとされた女性のものです。確定判決は女性の供述調書などをもとに、連れ去りの時刻や現場を特定し、同じ頃に久間元死刑囚の車によく似た紺色のワゴン車が現場で目撃されたことから、久間氏を犯人とする状況証拠の一つになりました。

しかし、女性は弁護団に対し「事件当日に女の子を見たのではなく、記憶と違う調書が作られた」と当時の供述内容を否定したのです。

■德田弁護士

「この証言通りだということになると何が起こるかというと、誘拐場所がどこだったのか特定できなくなる。誘拐された時間も午前8時30分でないということになる。そうなると、三差路を通った紺色ワゴン車が事件と関係しているかどうかは、全く分からなくなってしまう。」

弁護団は、女性の初期供述が確認できれば、女性の新たな証言の信用性が高まると主張しました。しかし、検察は「見当たらない」と回答し、証拠品リストの開示も拒みました。

德田弁護士

福岡地裁もそれ以上開示を求めず再審請求を棄却し、審理の舞台は福岡高裁に移されました。そして高裁は、初めての審理で再び、証拠を開示するよう勧告したのです。

■德田弁護士

「一応決着済みのことを、裁判所がもう一度調べ直せと言っているんですよ。分かりますかね、信用できないと言っているんですよ。」

それから2か月。回答期限を迎えたこの日。

岩田弁護士

■岩田弁護士

「ゼロ回答、完全な。一つも出ていない。」

初期供述は「調査したが無かった」、証拠品リストは「開示する必要性がない」と、再び開示を拒否したのです。

■德田弁護士

「隠すことだけはやめましょう。袴田事件や福井女子中学生殺害事件で再審開始の決め手になったのは何だったのか。隠していた証拠が表に出てきた。それで無実の人に再審開始が出されたわけですよ。今、何が問われているかというと、証拠を隠すことによって無実の人を罪に落としてきたということが問われている。本当に我々の全力を尽くして、これは許してはいけないということを訴えていきたい。」

30日に向け意見書をまとめる

■德田弁護士

「前提として、今回の検察官の意見書をどう評価するか。」

1月に入り、次回の審理を前に行われた弁護団会議。弁護団は裁判所への意見書をまとめました。検察官の主張は証拠開示の重要性を無視するものだと批判し、袴田事件などの例を挙げながら、証拠開示への積極的な訴訟指揮を裁判所に求めています。

1月30日に行われる審理で裁判所がどう対応するのか。その向き合い方が今後を大きく左右します。

■德田弁護士

「私たちとしては、1月30日に期待している。1審のときに裁判所が何ら対応を取らなかったわけで、それの繰り返しがなされることだけは絶対に避けてほしい。」

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