チアダンスで被災地に笑顔を!新成人が描く“ふるさとの未来”・福島
福島中央テレビニュース / 2025年1月16日 19時5分
この前の3連休は、県内各地で成人式が行われ、二十歳の節目を祝いました。
被災地もその1つです。ここからは取材した今野アナウンサーです。
今回、私が富岡町で取材したのは、町出身ので大学生の和賀菜々香さんという方です。
実は彼女は…私が以前、楽天のチアリーダーとして活動していた時のスクールの教え子なんです。
6歳のときに震災・原発事故に見舞われ、避難した彼女は二十歳の節目を富岡町で迎えました。
彼女の目に「ふるさと」はどう映ったのでしょうか。
富岡町出身の和賀菜々香さん。
■和賀菜々香さん(20)
「富岡でお世話になった方々がたくさんいるので感謝の気持ちを込めて参加できたらいいなと思って今日は来ました」
生まれ故郷のこの場所で、二十歳の節目を迎えました。
菜々香さんが震災を経験したのは6歳。
小学校に入学するのを間近に控えていた時でした。
■和賀菜々香さん(20)
「ちゃんと記憶がありますね。幼稚園の様子も思い出せるし。先生たちがパニックになっているのが幼いながらにも分かって」
宮城県に避難した菜々香さんが出会ったのが、チアダンス。
スポーツも盛んでチアダンスを習う子も多い避難先での環境は、菜々香さんを前向きなものに変えてくれました。
■和賀菜々香さん(20)
「知り合いもいない、友達もいない、家にも帰れない。寂し思いをしていた。チアダンスを始めたことで体を動かせて楽しいって」
楽天イーグルスのチアスクールにも通い、チアダンス競技としても申し分ない技術を持っていた菜々香さんですが、高校生になるとき進学先に選んだのはチアダンス部のないふたば未来学園高校でした。
■和賀菜々香さん(20)
「楽天のチアで地域のイベントに出させてもらって。地元のためにすごい頑張る人を近くで見てきて、かっこいいなと、ずっと思っていて」
ふるさとに笑顔を届けたい…富岡町を代表する夜ノ森の桜並木も菜々香さんにとっては思い出の場所です。
一度は避難を余儀なくされ離れた富岡町。大人になって、思うことがあります。
■和賀菜々香さん(20)
「幼稚園の時までしかいないけど。もし震災がなかったら、ここの地で大きくなって小中を過ごして未来があったんだろうなって。避難したから関係ない場所でないよなって、ずっとあったので」
この日、富岡町で成人式の対象となるのは141人。
ただ、式に参加できたのはわずか4人でした。
菜々香さんにとってもなじみの友人と会えたのは1人だけです。
原発事故のあと、富岡町では2018年に成人式が復活しましたが、参加者は年々減っているのが現状です。
それもそのはず。国が行った最新の帰還の意向調査でも富岡町に戻った人、戻りたいと考える人の割合は、29歳以下が最も少ない結果に。「富岡町住民意向調査」復興庁・令和6年度
それでも菜々香さんは。
■和賀菜々香さん(20)
「将来的にはやっぱり富岡・双葉郡で働きたいなって思いはあります」
成人式を終え菜々香さん達が巡ったのはふるさと・富岡町の今です。
もうすぐ14年。色あせない思い出があります。
ただ…
■和賀菜々香さん(20)
「帰ってきてほしいというよりは。思い出のある地っていうか、忘れないでおいてほしいなって。ただ生まれた場所、育った場所そういう意味での故郷じゃなくて。思い出したくなるような思い入れのある地、大切な人がいる場所。大切な思いがある場所として一人一人の故郷であり続けてくれていたらいい」
菜々香さんのように小さいころに原発事故で避難を経験した世代にとって“ふるさと”を一口で語れない葛藤や難しさがあります。
それでも菜々香さん。
自分の学生生活を彩ってくれたチアダンスでこの富岡町に恩返しをしたいと思っています。
■和賀菜々香さん(20)
「将来的には富岡に戻ってきてチアダンススクールを作って。チアっていう“応援の輪”でつながって楽しい時間を共有して、素敵な思い出をつくっていけるような。そういうことができればいいなと思います」
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