「1000円割引クーポン」をもらった。これって、店先での割引セールと何が違うの?
ファイナンシャルフィールド / 2021年3月4日 23時30分
![「1000円割引クーポン」をもらった。これって、店先での割引セールと何が違うの?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_100009_0-small.jpg)
今さらのようですが、「割引クーポン」は身の回りにあふれています。郵便物、ネットのメルマガ、スマホアプリなどで毎日のように届いたり、新聞や折込広告の一角に印刷されているなど、目にしない日はないくらいです。 これって「○○○円割引します」と店先やサイトに表示しておけば、わざわざクーポンの形にしなくてもいいようにも思えます。何が違うのでしょうか。
お店の立場から見ると
「割引クーポン」は多種多様です。金額記載のクーポンもあれば、割引率を示すものもあります。有効期限は、数日間くらいの短めから1、2ヶ月先のような長期間もあるなど幅広いです。
また、「○○○○円以上のお買い上げで利用可能」と最低利用金額が設定されているケースが、割引額(率)が高い場合は特に多いようです。
お店がこうした割引クーポンを発行する際の狙いはいろいろありますが、まずは「顧客」です。中身は新規獲得とリピーター確保の2つに分かれます。
駅前や店頭で通行者に配っているクーポンはもちろんですが、郵便物やメルマガで送られてくるもので販売元に取りあえず心当たりがない場合も、新規獲得を狙ったものでしょう。
一方、利用したことのあるお店やネットショップから紙やデータでクーポンが送られてくるのは、リピーター確保のため。購入実績のあるお客さま限定のサービスという形で心がくすぐられる方もいるはずです。
なお、利用したことのあるところから、もしも購入実績のないジャンルの商品のクーポンが届いたら、リピーターフォローと新規獲得を兼ねているのでしょう。
次の狙いは「価格の維持」です。「○○○円割引します」と店先やサイトに表示してしまうと、割引後の価格でしか販売できなくなってしまいます。
これに対して、クーポンを持参(利用)した人だけ割り引くことにすれば一律の“値崩れ”を避けて、クーポンに表示された期間だけ割引することが可能です。このように相手先や時期を絞り込んだ限定的な措置にすれば、見た目の店頭価格は維持できます。
さらに「売上増」も狙いの1つでしょう。「○○○○円以上」のように最低利用金額を設定していれば、“ついで買い”の誘発が期待できるわけです。
お客の立場から見ると
では、お客(買い手)の立場から見るとどうでしょうか。行動経済学などでの次のような理論が参考になります。
<保有効果>
・いったん手に入れたモノには高い価値を感じて、それを手放すことに抵抗がある心理状態を意味します。
・関連する実験結果では、あるモノをプレゼントしたうえでいくらならそれを売るか聞いたところ、買ってもよいと思う人の想定価格の2倍以上でした。
・このような「保有効果」は、
(1)そのモノへの愛着
(2)自分の感じる価値(価格)が他人にも通用するだろうという考え
(3)新たに手に入れるよりも、今持っているモノを失うことに重み(痛み)がある
などで説明されます。
<現状維持バイアス>
・「バイアス」とは、認知の仕方によって偏った考え方や選択をしてしまう意味です。
・人は、現状を変更することは変えない場合よりもデメリットが大きいと感じて現状維持をしたがるといわれます。
・上記の「保有効果」の実験結果や(3)から類推すると、失うデメリットの2倍以上のおトクさがなければ、現状を変えたがらないかもしれません。
例えば店頭価格3000円の商品で、店先やサイトで単純に1000円割引の表示がされているだけでは、「ふーん、そうなの」とチラ見するだけでやり過ごすケースも多いでしょう。
しかし、1000円割引クーポンが自分に対して発行されている場合は、一種の“金券”をもらったような意識となります。
額面1000円ですが、これを失う(=使わずに失効してしまう)ことは、もしかすると2倍の2000円以上の大きな痛みに感じるかもしれません。その結果、クーポンを有効期限までに行使するため買い物をしてしまうのです。
まとめ
今回の「割引クーポン」のケースで合理的ではないように思える判断や選択がされる理由として、先述の2つのほかに「損失回避性」や「現在志向バイアス」などが指摘されることもあります。
細かい理屈はさておき、お店もやみくもに割引クーポンを発行するわけではなく、狙いがあるのです。
クーポンの割引額(率)の大きさや有効期限などに踊らされることなく、その商品を買った場合と買わなかった場合の自分をイメージして、クーポンを実際に利用するかどうかをできるだけ冷静に判断したいものです。
執筆者:上野慎一
AFP認定者,宅地建物取引士
関連記事
年収1000万円を超える人は、日本にどれくらいいる?
生活保護を受けられる主要4つの条件とは
1万円チャージした「Suica」をなくしてしまった・・それでも残額が保護される裏技
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
映画料金はなぜ値上がりした? 昔は1000円程度だったのに今は2000円に…!
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月12日 4時20分
-
イオンVSセブン&アイ 株主優待が示す2社の「大きな差」とは
ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2024年7月9日 20時55分
-
「なぜか解約できない…」行動経済学の専門家がサブスクを継続してしまう巧妙な仕掛けを明かす
Finasee / 2024年7月9日 13時0分
-
【auスマートパスプレミアム会員限定】auシネマ割 夏キャンペーン 7月12日スタート!期間中1,200円で映画が見られる!
PR TIMES / 2024年7月5日 12時15分
-
法人向け「期末時価評価課税の適用除外サービス」ご利用のお客さま限定ステーキング手数料割引(25%→10%)のご案内
PR TIMES / 2024年6月26日 17時40分
ランキング
-
1コメが品薄、価格が高騰 米穀店や飲食店直撃「ここまでとは」
産経ニュース / 2024年7月21日 17時41分
-
2ウィンドウズ障害、便乗したフィッシング詐欺のリスク高まる…復旧名目に偽メール・偽ホームページ
読売新聞 / 2024年7月22日 0時0分
-
3システム障害、世界で余波続く=欠航、1400便超
時事通信 / 2024年7月21日 22時45分
-
4高速SA「全面閉鎖します」15時までに全車出よ 花火大会に向け超警戒
乗りものニュース / 2024年7月21日 17時12分
-
5タワマン住民「ゴネましたが」…古くなったのに「家賃が高くなる」裏事情
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月19日 18時30分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)