東日本大震災から10年。震災前後の仙台市の人口増減とは
ファイナンシャルフィールド / 2021年3月10日 23時10分
![東日本大震災から10年。震災前後の仙台市の人口増減とは](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_100230_0-small.jpg)
東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)が発生してから10年がたちました。ここ1年は新型コロナウイルス感染症のことで頭がいっぱいですが、近い将来大きな地震が発生する可能性が高いことに変わりはありません。
首都直下地震が発生した時、東京23区や横浜市等の大都市はどうなるのか、被災地で一番の大都市・仙台市の人の動きに着目し、被災状況をイメージしてみました。あなたの命と財産を守るために、改めて10年前に起きたことを思い出し、明日への備えをしておきましょう。
2011年3月に仙台の人口は5000人弱も減った
東北地方太平洋沖地震のような大地震が発生すると、住家が壊れたり仕事に影響が出たりして、住み替えをする人の大移動が起きます。仙台市の場合、人口と世帯数にどのような変化があったのか確認してみました。
下記のグラフは、仙台市の月ごと(各月1日現在)の人口と、世帯数の対前月比増減数をまとめたものです。期間は地震(2011年3月11日)前の2010年11から、地震後の2012年1月までの15ヶ月間です。
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仙台市の推計人口は2011年(平成23年)3月1日当時104万6737人で、毎年増加傾向にありました。2011年も1月と2月は微増でしたが、地震のあった3月に4684人も減少して4月1日を迎えています。世帯数も同様で3月に1784世帯も減っています。6月以降は人口も世帯数も増加が続いています。
グラフを作成した段階では、仙台市でも東日本大震災の影響は非常に大きく、人の大移動(転出)が起きたと感じたのですが、もう少し前後の記録を確認してみると、違うことが読み取れました。
地震の影響で5月の転入超過数に異変!?
仙台市の人口の増減数を、2008年(平成20年)から2014年(平成26年)まで月ごと(2月~5月)に確認してみました。
![](https://financial-field.com/wp/wp-content/uploads/2021/03/b21aa6e7a5229bdbdbdb6524b66d20f0-5.jpg)
月ごとの人口増減数を確認すると、2011年(平成23年)4月に人口が大幅に減少したのは、3月11日に東北地方太平洋沖地震が発生したことによる影響というよりは、仙台市の人口特性によるところが大きいようです。
仙台市は過疎地ではありませんが、毎年3月に大幅な人口減少が起きています。新年度を首都圏等で迎えるために、学生や社会人の転出が多いと考えられます。そして、5月は逆に大幅な人口増加が起きています。
新年度から仙台で生活をする学生や社会人が4月に入って多く転入していると考えられます。ただ、2011年(平成23年)だけは5月も人口減でした。これは地震の影響と考えられ、震災直後で仙台行きを躊躇していたのかもしれません。落ち着きを取り戻した6月以降は、1つ目のグラフのように転入が続き、翌年以降は元の仙台の姿に戻っています。
世帯数の増減も似たような傾向にあります。
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世帯数では、2011年(平成23年)4月の減少数が他の年よりも多く、人口では目立ちませんでしたが、地震の影響で仙台市から転出した世帯がかなりあったと考えられます。
そして、2011年(平成23年)5月の増加数は他の年よりかなり少なくなっています。2010年(平成22年)が3281世帯、2012年(平成24年)が4343世帯も増加しているのに、2011年(平成23年)はわずか537世帯しか増加していません。新年度から仙台で暮らす予定だった世帯は、行くべきかかなり悩んだことでしょう。
大地震により人口動態のバランスが大きく変化
最後に、地震前後(2011年2月~6月)の月ごとの人口動態を確認してみました。
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自然動態では、2011年の3月と4月は死亡数が多いことで自然減になっています。増加分は地震で亡くなられた方と考えられます。心からお悔やみ申し上げます。
社会動態では、3月と4月の転出者が多いですが、社会減の3月でも6386人の転入者がいます。転入する理由まではわかりませんが、県外からも多数転入してきています。大地震が起きても気が動転せず、落ち着いて行動した人が多かったのでしょう。
近い将来、首都直下地震や東南海・南海地震が起きて、東京等の大都市が被災するかもしれません。それでも、仙台市の人口動態を確認した限りでは、極端な人の大移動は起きないのではないでしょうか。
もちろん、被害の程度によって大きく状況は変わるでしょうが、慌てふためくことのないよう、日頃から、緊急時に使える資金を用意しておくなど地震への備えをしておきましょう。
執筆者:松浦建二
CFP(R)認定者
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