緊急事態宣言で売上半減。一時支援金をご存じですか?
ファイナンシャルフィールド / 2021年3月17日 4時10分
2021年1月に、再び緊急事態宣言が発令されました。本稿を書いている2月時点、首都圏の1都3県については、緊急事態宣言が延長されました。
多くの事業者が少なからずダメージを受けている中、経済産業省より「緊急事態宣言の影響緩和に係る一時支援金(以下、一時支援金)」が公表されました。
これは、昨年実施された持続化給付金や家賃支援給付金と似ている部分がありますが、その時はなかった“確認機関”というものが新設されています。そのため、申請手続きの流れも少し変わっているので、前回と同じと考えていると、少し戸惑うかもしれません。今回は、この一時支援金について解説します。
一時支援金制度について
まずは、一時支援金の対象となる人や、給付額について見てみます。
■補助金の概要
1月に発令された緊急事態宣言の飲食店時短営業や外出・移動の自粛により、売上が半減した事業者が対象です。
緊急事態宣言そのものではなく、時短営業や自粛により影響を受けた事業者が対象となります。詳細は後述しますが、一例としては、食品の製造業者流通関係、タクシーの運転手や小売店などが含まれます。
緊急事態宣言が影響していることが前提なので、例えば宣言地域外で、地元の人だけをお客としている小売店などは、たとえ売上が半減していたとしても対象外とされています。今回緊急事態宣言が発令された11の都道府県以外で事業をされている場合、宣言地域との関係を示す書類を求められる可能性があります。
■給付条件
時短営業や自粛の影響で売上が半減していることが給付の条件となります。売上半減の基準となる月は、前年または前々年の1月から3月のうちの任意のひと月です。
(1)2019年の1月から3月の任意の月と2021年の同じ月
(2)2020年の1月から3月の任意の月と2021年の同じ月
上記2点のどちらかになります。
以下、売上と減少率の関係例を示します。
売上比率が黄色く色付いている月は、売上が半分以下になっているので支援金の申請対象となります。注意点としては、1月と2月など、違う月を比較することはできません。必ず、同じ月同士での比較になります(今後、特例措置などにより変わる可能性はあります)。
■給付額
法人は最大で60万円。個人事業主は最大で30万円とし、以下の計算式で給付額が決定します。
給付額 = 前年または前々年の1月から3月の合計売上 − (2021年の対象月の売上 × 3)
■対象者
経済産業省が公表している資料では、対象者は「緊急事態宣言に伴う飲食店時短営業、または外出自粛等の影響を受けた事業者」とされ、具体例として以下の業種が挙げられています。
飲食店については、都道府県から時短営業の要請に伴う協力金を受給している飲食店は、重複受給となるため、一時支援金が受給できません。
申請手続きについて
支援金の申請は、オンライン申請です。申請用のウェブページから申請手続きを行います。申請受付は3月上旬受付開始です。
申請時の必要書類は以下のとおりです。
2019年と2020年の確定申告書が必要です。2020年の確定申告については、持続化給付金などを受給された方は申告漏れがないよう、ご注意ください。
今年の1月から3月の売上台帳を用意してください。
ホームページからダウンロード可能です。
個人事業主の場合は必要です。免許証やマイナンバーカードが使えます。
振込先となる通帳をご用意ください。
これらは2月末時点で必要とされている書類です。今後、変更となる可能性はあります。
特に注意が必要なのが、2020年の確定申告が必要な点です。今年は申告時期が4月まで延長された関係で、まだ申告が済んでいない方も多いのではないでしょうか? 支援金を申請する際は、確定申告書が必要ですので、早めに確定申告を済ませておきましょう。
申請の流れ
現在想定されている、支援金申請から振込までの流れは上図のとおりです。
これまでの持続化給付金などと異なり、登録確認機関による事前確認が追加されています。ここで、不正受給などを防止するという観点でチェックが行われ、問題ないとされた場合に事前確認通知番号が発行されます。この番号が申請時に必要です。
そのため、上図の「3.事前確認」は必須です。登録確認機関は支援金のホームページに掲載されます。事前確認を依頼する際は、ホームページをご確認ください。
まとめ
今回の支援金は最大60万円であり、持続化給付金や家賃支援給付金と比較すると金額が少額であり、登録確認機関による事前確認など、これまでよりも多少、申請の手間が増えています。しかし、オンライン申請であり、事前確認も電話やオンライン会議などが可能となっているので、ご自宅や会社から申請を行うことができます。
積極的な利用を検討されてみてはいかがでしょうか。
執筆者:長崎元
行政書士/特定行政書士
長崎元行政書士事務所 代表
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