住宅ローンの親子リレーとは?親子リレーのメリット、デメリットを解説
ファイナンシャルフィールド / 2021年3月27日 10時30分
住宅ローンにはいろいろな商品があります。なかには1人ではなく、2人で借りられる住宅ローンもあります。「親子リレー」と呼ばれる住宅ローンは、その名前のとおり、親子で住宅ローンを組んで返済していくものです。
今回は、親子リレーとはどんなものなのか、どのようなメリット・デメリットがあるのかについて解説します。
住宅ローンの親子リレーとは
家が欲しいと思っても、収入面や年齢面であきらめなければならないという方もいらっしゃるでしょう。しかし、それは本当にクリアできない問題でしょうか?
実は、住宅ローンは1人だけで借り入れなければならない、というものではありません。ペアローンや収入合算型のように、2人で借り入れができるものもあります。特に収入面や年齢面で住宅ローンをあきらめた方に知ってほしいのが「親子リレー」という商品です。
親子リレーは、親と子の2世代にわたって返済をすることができる住宅ローンです。金融機関によって「親子リレー返済」「親子二世代型」などいろいろな呼び方があります。契約者である親がまず返済をし、特定の条件を満たす子の世代でも返済をしていくものです。
親子で返済するものには、他にも親子ペアローンがあります。今回は、特に親子リレーについて解説します。
親子リレーの取り扱いがある金融機関
住宅金融支援機構が融資する「フラット35」では、返済のしかたのひとつとして「親子リレー返済」というものがあります。親子2世代にわたって住宅ローンを返済していくものですが、後継者となる返済者にいくつかの条件があります。その条件は以下のとおりです。
1:後継者が申込者の子または孫等、またはその配偶者であって、定期的な収入がある
2:後継者の年齢が、申込時に満70歳未満であること
3:後継者が連帯債務者となること
1がフラット35における親子リレー返済の特徴で、子、孫などの直系卑属、その配偶者も後継者として認められます。申込者の年齢にかかわらず、後継者の年齢に合わせて借入期間が設定できるのも大きな特徴です。
りそな銀行には、住宅ローンの商品として「親子二世代型」があります。こちらはフラット35よりも後継者に対する条件が多く、主なものは以下のとおりです。
1:後継者が、現在同居中であるかまたは将来同居を予定している実子または養子であること
2:借入時の年齢が満20歳以上満70歳未満、完済時には後継者が満80歳未満であること
3:前年の税込み年収が100万円以上であること
4:給与所得者は1年以上の勤続年数があること、給与所得者以外は勤続年数または営業年数が3年以上あること
5:団体信用生命保険に加入可能であること
5についてはフラット35の親子リレー返済にはない項目ですが、フラット35はそもそも団体信用生命保険の加入が任意です。その他の住宅ローンは、基本的に団体信用生命保険の加入が必須なので、おぼえておくと良いでしょう。
紹介した住宅金融支援機構やりそな銀行以外にも、千葉銀行や常陽銀行でも親子リレーの取り扱いがあります。自分が検討している金融機関に親子リレーがあるかどうか、あらかじめ確認しておくことをおすすめします。
親子リレーの特徴とは
いくつか親子リレーを紹介してきましたが、親子リレーには通常の住宅ローンにはない特徴があります。それらの特徴は、メリットになることもあれば、デメリットにもなりうる物です。
ここでは親子リレーの特徴と、どのようなメリットやデメリットがあるのかを解説します。
借入期間が長く設定できる
親子リレーの特徴として、借入期間が長く設定できることがあげられます。なぜ長く設定できるのかというと、後継者である子の年齢に合わせて借入期間を決めるからです。
例えば60歳の男性が「完済時点の年齢が80歳未満」である住宅ローンを1人で借りた場合、借り入れ可能期間は19年間です。ところがこれを親子ローンにして、後継者が31歳だった場合は48年間が借り入れ可能期間となります。
フラット35の借り入れ年数上限は35年間なので、上限の35年間を借入期間とすることができるのです。長期優良住宅を対象とするフラット50の場合は、上記の例でいうと48年間が借り入れ可能期間となります。
このように親が高齢であっても、親子リレーにすることで長期間の借り入れを設定できます。また、この特徴を利用して「子の住宅購入を、数年間ローン返済することで支援する」といったこともできます。
住宅ローンの契約が1本の扱いである
親子リレーの場合は、住宅ローンの契約は1本です。そのため返済するのは2人でも、手数料は1本分で済むことになります。これが親子ペアローンになると住宅ローン契約が2本になり、手数料も2本分と高額になってしまいます。
ただし、注意しなければいけないのが「土地・住宅の持ち分」です。例えば親子リレーで住宅を建て、将来は子のものになるからと土地・建物すべてを子の所有にしたとしましょう。こうした場合、お金を払っているのに親に所有権がないため、贈与とみなされてしまう可能性があります。贈与は、ある一定以上の金額になると贈与税が発生します。
こうしたトラブルを避けるために、土地・住宅の持ち分は住宅ローンの比率と同じにして設定しておくと良いでしょう。
同居が条件になることがある
例として紹介したりそな銀行の「親子二世代型」にもありましたが、親子リレーの場合は親と子が同居する、または同居を予定していることが条件となる場合があります。しかしこれは通常の住宅ローンでも同じで、契約者またはその家族が住宅ローンで建てた家に住むことが条件であることがほとんどです。
この場合にデメリットとなるのが、子が別の家を建てたいと考えたときです。親子リレーは子も住宅ローンの債務を負うため、別の家を建てたくても完済するまで他の住宅ローンが借りられない可能性が高くなります。
まずは家族、子どもと話し合ってどうするか考えよう
親が高齢で住宅ローンを組みにくい場合でも、親子リレーを使えば住宅ローンを組める可能性が出てきます。ただ、後継者である子も債務を負う形になるため、子が別途、住宅建築やマンション購入を考えているなら、逆にその希望は通りにくくなってしまいます。
まずは家族で話し合いをもち、自分の意思を伝え、子の意思を確認するところから始めてみましょう。親子リレーは、子の住宅購入支援であっても条件は変わりません。家族のライフイベントと意思をしっかり確認して、良い方向に進めるように話し合ってみてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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