毎年3組が結婚、1組が離婚。日本の離婚事情はどうなっている?
ファイナンシャルフィールド / 2021年4月9日 23時0分
![毎年3組が結婚、1組が離婚。日本の離婚事情はどうなっている?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_102631_0-small.jpg)
日本でも離婚は珍しいことではなくなってきています。それに伴う婚姻費用・養育費の支払い、離婚訴訟などがマスコミをにぎわしています。
この記事では、厚生労働省の統計からピックアップしたデータを解説しながら、日本における離婚の近年の傾向について説明していきます。離婚問題の基礎知識になればと思います。
日本における離婚件数のピークは2002年
図表1を見ていただくと分かりますが、戦後間もない1947年には年間離婚件数が7万9551件でしたが、その後増え続けて2002年には28万9836件と、55年間で約3.5倍に増加しました。その後は徐々に減少傾向に転じ、2019年時点では20万8496件と、ピークの2002年からみて約30%減となっています。
図表2は、年間婚姻件数と年間離婚件数の推移を組み合わせたグラフです。
年間婚姻件数のボトムは、戦後7年を経過した1952年で67万6995件、そこから上昇に転じ1972年に109万9984件とピークを付けています。その後、減少に転じますが、1987年で再びボトムを付け、2001年の79万9999件まで再び上昇し、その後は徐々に減少して2019年に59万9007件となっています。
1972年のピークは、戦後のベビーブームに生まれた団塊の世代が結婚適齢期を迎えたためで、1972年をピークに婚姻件数は減少しているのです。そして2001年に婚姻件数が準ピークを迎え、2002年に離婚件数ともにピークを迎えた後は、いずれも減少しています。
2002年以降の離婚件数の減少は、婚姻件数が減少しているためで、決して離婚割合が減少しているためではないといえます。
その間の婚姻件数と離婚件数の比率は、ほぼ3対1となっています。婚姻件数、離婚件数は累積数で考えないといけないので、今までに結婚した人の1/3が離婚しているということはできませんが、2000年代以降は毎年、結婚した3組に1組が離婚しているということができます。
皆さんも実感されていると思いますが、日本でも離婚が珍しいことではなくなったと思います。
※厚生労働省 「令和元年(2019)人口動態統計(確定数)の概況」より筆者作成
熟年離婚が増えている
図表3は、同居期間別に見た離婚比率の推移です。期間は1970年から2018年までの49年間です。離婚比率が大きいのは同居期間10年未満の黄色と薄い青の部分で、全体の80%弱から60%弱を占めています。1970年当時は80%弱、2018年時点では60%となっており、比率自体は減少傾向です。
若年離婚の減少に伴って増えているのが、同居期間10年以上の離婚で、特に最上部にあるえんじ色の部分、すなわち、同居期間20年以上の熟年離婚比率が1970年当時の5%程度から、2018年時点では20%程度にまで増えています。同居期間が長くなるにつれ、財産分与の問題も複雑化する傾向にあります。
※厚生労働省 「平成30年 人口動態統計(年次別にみた同居期間別離婚件数及び百分率並びに平均同居期間)」より筆者作成
日本の離婚率は欧米諸国に比べやや低く、婚姻率は欧州と同程度
図表4は、世界の離婚率と婚姻率を表にしたものです。この統計は2016年のものですが、人口1000人当たりの離婚率がアメリカの2.50人、スウェーデンの2.46人、オランダ、ドイツの約2.00人に対し、日本は1.73人でやや低くなっています。
婚姻率で見ると、アメリカが人口1000人当たり6.90人、スウェーデン、ドイツ、イギリスが4.50~5.50人に対し、日本は5.00人でアメリカより低く、欧州諸国と同程度ということができます。同じ欧州でもフランス、イタリアはそれぞれ3.60人、3.20人と日本より低くなっています。これは、それらの国では結婚という形式にこだわっていないことが数字に反映されていると見ることができます。
まとめ
今までに見てきたことをまとめると、次のとおりです。
1.日本における離婚件数は1947年から増加して、2002年でピークアウトし、その後は徐々に減少しているが婚姻数も減少しているので、2000年以降は毎年結婚した3組に1組が離婚するというペースは変わっていない。
2.1970年ごろから熟年離婚が増えており、2018年現在では同居年数20年以上の離婚が全体の20%を占める。
3.2016年時点において、日本の離婚率は欧米諸国に比べ10%程度低く、婚姻率は欧州と同程度であり、婚姻率と離婚率の関係も欧米諸国とあまり変わらない。
いずれにせよ、離婚は日本でも日常的なものになってきており、財産分与、子どもの養育費負担問題への関心が高まってきていると思います。
出典
厚生労働省 令和元年(2019)人口動態統計(確定数)の概況
厚生労働省 平成30年 我が国の人口動態
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー
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