賃貸と住宅ローンで持ち家、どっちがお得? それぞれのメリット・デメリットを解説
ファイナンシャルフィールド / 2021年4月13日 23時30分
賃貸住宅に住み続けるか、住宅ローンを組んで家を買うか、それぞれにメリット・デメリットがあります。また、人によって考え方が異なることから、どちらがお得かということを一概にいえるものではありません。
賃貸、そして持ち家にはそれぞれどのようなメリット・デメリットがあるのか。そして自分はどちらに向いているのか考えるポイントについても紹介します。
賃貸に住み続けるメリット・デメリット
賃貸住宅に住み続けるメリット、そしてデメリットとして、以下のものがあります。
■メリット
1.住む場所に縛られない
賃貸住宅のメリットは、自身の勤務状況の変化や家族構成の変化によって柔軟に住み替えができることです。転勤が多い場合などであれば、その都度、柔軟に住む場所を変えることができますし、将来親が住んでいる家に帰ることが決まっている場合などであれば、あえて住宅を購入する必要はないでしょう。
2.修繕の費用を考えなくて済む
賃貸住宅の場合、付帯設備の修繕はオーナー側が行うことになっています。例えば、従来、住戸に設置されているエアコンなどが故障した時の修理、もしくは取り換え費用についても考える必要はありませんし、外壁の破損などに個々の居住者が対応する必要は、原則ありません。
3.ライフプランや収入状況によって自由に住み替えることができる
子どもが独立するまでは部屋数の多い家に住み、独立して夫婦2人になった際には部屋数が少なく、バリアフリー設計のある家に住み替えるなどといった住み替えが簡単にできることもメリットです。また、収入が少なくなった場合には、現在の家賃よりも家賃が安い賃貸住宅を探し、そこに移り住むこともできます。
■デメリット
1.家賃を一生涯払い続けなければならない
賃貸住宅に住み続ける最大のデメリットは、家賃の支払いが一生涯続くことです。現役世代で収入のある時期はよいのですが、リタイア後、収入が年金のみとなった際に、家賃を払い続けることは家計の負担になる可能性があります。
2.自分の好みの間取りに変更できない
賃貸住宅である以上、持ち家のように自分の好みに応じて間取りを変更できません。間取りの変更はもちろん、内装の変更についても許可されていないケースが多いことがデメリットといえるでしょう。
3.高齢の場合、更新を断られる可能性がある
少子高齢化により、1人で暮らす高齢の方も増えています。ただ、オーナー側がそのような方に家を貸すことを渋るケースが見受けられるのも事実です。理由としては、家賃がきちんと払えるのかという経済的な問題と、孤独死や認知症になった際のリスクがあるからです。
住宅ローンで家を購入するメリット・デメリット
持ち家のメリットそしてデメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。
■メリット
1.資産になる
持ち家を取得するということは、それが資産の1つになるということです。したがって、必要に応じて売却し、まとまったお金に変えることもできます。
2.自分好みの家に住むことができる
賃貸住宅でもある程度選択肢はあるものの、完全に自分の好みの物件に出合うことは難しいかもしれません。その点、注文住宅では自分オリジナルの家を建てることができますし、購入後も必要に応じてリフォームや間取り変更をすることが可能です。
3.賃貸住宅に比べて住宅の品質が高い傾向にある
賃貸マンションと分譲マンションを比較すると、分譲マンションのほうが使用している素材などの品質が高い傾向にあります。
■デメリット
1.ローン返済中の収入の変化に対応できない
住宅を購入後、ローンの返済中に収入が減少することも考えられます。賃貸住宅であれば、収入に見合った住宅に住み替えることができますが、持ち家の場合そう簡単に住み替えることはできません。また、収入が減少したことによりローンの返済計画を見直す必要が出てくると、借り換えなどの手続きを考えなければならなくなります。
2.住宅を維持するための費用や大規模修繕費の負担が発生する
住宅は住んでいるうちに劣化していくものです。戸建ての場合、必要に応じてリフォーム工事の費用が発生しますし、マンションの場合であれば毎月の管理費や修繕費積立金の支払いが発生しますし、駐車場代の負担が発生することもあるでしょう。持ち家とはいえ、買って終わりではなく、その後の費用も発生することを忘れてはいけません。
賃貸住宅が向いている人とは?
では、賃貸住宅が向いている人とはどのような人なのでしょうか。
さまざまな理由により、住んでいる場所の変更を求められる人には賃貸住宅が向いています。将来住む家があり、住宅を購入する必要がないといった方も、賃貸住宅が向いているといえるでしょう。
収入が不安定などといった理由で、長期間にわたる住宅ローンの支払いを続けていく自信のない人も賃貸住宅が向いているといえます。
持ち家が向いている人とは?
持ち家が向いている人の特徴としては、以下のようなものが挙げられます。
平均寿命が延びていることからも、退職後も家賃を払い続けることができるのか不安に感じる人もいらっしゃるでしょう。退職までに住宅ローンを払い終える計画を立て、それを実行できる人は、リタイア後の家賃の支払いが必要ない持ち家に向いているといえます(修繕費等はかかります)。
転勤もなく、その周辺環境や住居環境が気に入っており、今後住み替える必要がない方であれば、持ち家に向いているといえるでしょう。交通に便利で病院も近いという環境などであれば、老後も安心して住むことができるかもしれません。
単身者が高齢になると、賃貸住宅に住みにくくなるかもしれません。単身の高齢者の場合、保証人がいないと賃貸住宅に住めないなどといった問題が発生することがあるからです。このようなことに不安を感じる場合は、住宅を購入するほうがよいかもしれません。
賃貸住宅と持ち家、それぞれのコストは?
賃貸住宅の家賃と持ち家のローン返済額は、同程度と考えるのが一般的です。ただ、賃貸住宅においては、移り住む際の引っ越し費用がその都度かかりますし、更新の際の費用も忘れてはいけません。また、持ち家の場合は住宅ローン申込時の諸費用がかかるほか、維持管理にかかる費用、税金についても一生涯考える必要があります。
まとめ
賃貸住宅の場合は、一生涯家賃を支払う必要があります。持ち家の場合は、固定資産税の支払いが発生するうえ、年数の経過によって資産価値が下がる可能性も忘れてはいけません。したがって、どちらがお得とは一概にはいえません。
重要なことは、自身の収入やライフプランに合った住宅を選ぶことです。住宅に対してどのくらいお金をかけることができるのか、生涯にわたってどのような暮らしをしたいのかを考えて判断するようにしてください。
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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