60歳で退職。年金開始までのお金はどうする?
ファイナンシャルフィールド / 2021年4月14日 10時30分
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60歳で仕事を引退して、65歳で年金の受け取りを始めるとすると、5年間にわたって収入が途絶える期間ができることになります。この空白期間を乗り切るにはいくら必要なのか、それを工面するにはどんな方法があるのか解説します。
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「定年」の年齢は、勤務先ごとに違います。厚生労働省の「平成29年就労条件総合調査」では定年退職の制度がある会社は約95%、そのうちの8割近くが定年を「60歳」と設定していました(※1)。
しかしその後の法改正で、2021年4月からは企業に対して「65歳までの雇用確保(義務)」に加え「70歳までの就業確保(努力義務)」が求められることになりました(※2)。働ける間はできるだけ長く働く、というのが社会的な流れになってきています。
ただ、「早く仕事を辞めたい」「60歳以降は悠々自適な生活を楽しみたい」という方もいらっしゃるでしょう。早く退職することで気になるのが、やはりお金の問題です。
年金の受け取り開始は、原則65歳からです。生年月日が男性は昭和36年4月1日以前、女性は昭和41年4月1日以前なら、65歳より前から「特別支給の老齢厚生年金」を受け取れる可能性があります(※3)。
会社の定年退職の時期、自分が仕事を引退したい時期、年金を受け取り始める時期を知っておき、無収入になる期間がどれくらい発生するのか算出してみましょう。
無収入の時期を乗り切るにはいくら必要?
もし60歳で退職して65歳から年金スタートなら、その間いくら必要になるでしょうか。
・1ヶ月の必要生活費30万円の場合……30万円×12ヶ月×5年=1800万円
・1ヶ月の必要生活費20万円の場合……20万円×12ヶ月×5年=1200万円
「しばらく旅行三昧!」「田舎に移住」など、引退後にどんな生活をしたいのかイメージして、それには毎月いくらあれば実現できそうか具体的な数字で考えてみましょう。それに期間を掛けて、ざっくりと必要費用を計算します。
次に、今の貯金がいくらあるのか、年金や退職金はいくらもらえそうかを確認します。もし65歳以降は年金だけで生活費をまかなえそうということなら、貯金や退職金をこの空白期間の生活費にあてても問題なさそうと判断できます。
ただ、たとえば毎月の生活費25万円、65歳からの年金月額20万円だと、毎月5万円の赤字が出ます。65歳から90歳まで25年生きるとすると、5万円×12ヶ月×25年=1500万円ぶんを貯蓄の取り崩しでまかなうことになります。
この場合、空白期間に貯蓄を使い過ぎてしまうと、人生の後半でお金に困る事態になりかねません。
無収入の期間を乗り切るためにできること
60歳で退職してもその後の生活が成り立つようにするための対策には、以下のようなものがあります。
1.貯蓄
できるだけ早くからできるだけ貯めておく、難しいですが確実に効果がある方法です。今のペースで貯めていったら60歳までにいくら用意できそうか確認しておきましょう。「貯金」だけでなく、投資を学んで実践することも有効です。
2.年金の繰上げ受給
年金は原則65歳からですが、繰上げ受給の手続きをすれば60歳から65歳までの好きなタイミングで受け取ることも可能です。ただし、1ヶ月早めるごとに0.5%年金額が少なくなります(※4)(2022年4月1日以降に60歳に到達する方は0.4%になる予定)。
企業年金やiDeCoに加入している方は、その受取時期もあわせて考えましょう。
3.生活コストを下げる
仕事を辞めてパーッと散財する、となるとすごいスピードでお金が出ていくことになります。もちろん「せっかく引退したのだから楽しみたい」という気持ちがある方は、最初の一時期は贅沢三昧に暮らすのもありでしょう。
ただ、長い目で見ると、早いうちから生活費を抑える努力をしておくのが得策です。生活水準を上げるのは簡単ですが下げるのは大変なことが多いのではないでしょうか。
4.少しだけでも働く
お金の工面が難しいようなら、働き続けるという選択肢も頭に入れておきましょう。再雇用で収入が減っても、高年齢雇用継続給付を受け取れたり将来の年金が増えたりします。
今の会社は退職して、週2~3回だけアルバイトのような仕事をするという方法もあります。月5万円でも稼げれば5万円×12ヶ月×5年(60~65歳)=300万円は確保できますよ。
まとめ:自分の理想の老後を思い描こう
どんな老後を送りたいのかで、必要な費用は大きく変わります。また、受け取れる年金や退職金の金額も、家計や貯蓄の状況も人それぞれです。
「周りはこうしている」や「平均」に惑わされず、自分の将来の暮らしを具体的にイメージすることが第一歩です。それから、どんな対策をどれくらいするべきなのか考えていきましょう。
(※1)厚生労働省「平成29年就労条件総合調査 結果の概況」
(※2)厚生労働省「高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~」
(※3)日本年金機構「これから老齢年金を受給する方へ」
(※4)厚生労働省「年金制度改正法(令和2年法律第40号)が成立しました」
執筆者:馬場愛梨
ばばえりFP事務所 代表
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