半数以上の人に養育費の不払いが発生している?養育費の不払い問題とは
ファイナンシャルフィールド / 2021年4月20日 10時10分
厚生労働省の人口動態統計速報によると(※1)、2019年の結婚数は61.5万組。一方、離婚数は21.2万組でした。子どもの親権は女性が持つことが多いですが、女性が正社員で働いていなかった場合などは養育費が鍵になります。しかし、養育費が離婚後に支払われなくなる「養育費の不払い」が多く、問題となっています。
そこで、弁護士ドットコム株式会社(東京都港区)は、オンライン法律相談サービス「みんなの法律相談」のユーザーを対象に、「養育費の不払い問題」に関する調査を行いました(※2)。
その結果2269名から回答が得られ、その中から離婚経験があり子どもがいる430名(男性216名、女性214名)を対象に分析した結果を発表しましたので見ていきましょう。
養育費を受け取る女性の半数以上が、不払いが発生していると回答
離婚経験がなかったり、子どもがいないユーザーを含む全員の回答を見ると、「養育費の認知度」について、「内容をある程度知っている」(49.1%)、「内容を人に説明できる」(34.7%)と、8割以上が養育費について認知していることが分かりました。また、養育費の支払いが義務であることについても、82.4%が「知っている」と回答しました。
離婚経験があり子どもがいる女性のうち、子どもと暮らし、養育費を受け取る立場にある女性は93.9%、受け取る立場にない女性は6.1%でした。ほとんどのケースで女性が親権を持ち、養育費を受け取る立場にあるようです。
受け取る立場にある女性に養育費の不払いが発生したか尋ねたところ、44.8%が「不払いは発生していない」と回答。逆にいえば半数以上は不払いが発生していることになります。
養育費を途中から受け取れなくなったという人が2割以上
何らかの不払いがあったという中で最も多かったのは「途中から受け取れなくなった」(22.4%)でした。他には「満額ではないが、定期的な受け取りはできている」(13.4%)、「その他(受け取りに支障あり)」(10.0%)、「満額だが、受け取りが不定期になっている」(7.0%)というように、金額が満たなかったり、もらえない月があるといった回答が見られました。
また、養育費を受け取る立場にある男性は7.9%で、全員が「養育費の受け取りに何らかの支障があった」と回答しています。女性が養育費を払うのは収入により困難なことが多いと思われます。
離婚時に養育費の取り決めをしたかと尋ねたところ、「取り決めをした」(71.4%)と「弁護士や家族、知人などから教えてもらい、取り決めをした」(12.3%)を合わせて、8割以上が取り決めをしていました。中には配偶者のDVや所在不明などの理由でできなかったという人も。
養育費は当事者同士の取り決め。新しい制度ができることを望む
養育費にまつわる具体的な体験談を聞きました。
受け取る側からは、「相手方の居場所は分かっているが、資料や証明を集めないと取り立てができないので、結局泣き寝入りしている」「離婚して半年後に減額調停をされて、高裁まで行った。判決は勝ったが、支払いは行われていない」というように、なかなか支払ってもらえないという声が。養育費は、受け取る側が損する気がしてならないというコメントもありました。
支払う立場からは、「離婚していても、扶養しているものだと思えば養育費の支払いに抵抗はない」「子どもの成長や生活が気になるので、毎月必ず払っている」というように、子どものために養育費は払うという声が寄せられました。ただ実際は、途中で支払われないことが多いようですね。
養育費の額については、受け取る立場からは「あまりに金額が低い」「元夫が偽の給与明細を提示し、養育費が減額になった」と、十分な金額が支払われないというコメントが多く見られました。増額調停にも弁護士費用がかかるので我慢しているという声も。
さらに、「相手方が病気で退職して働けないと養育費免除の調停を申し立ててきて、養育費がゼロになったが、実際はその2ヶ月後に就職していた」「元夫が調停に出てこなかったため、養育費の取り決めが出来ず、子どもはもう高校生になった」と、相手の不誠実な対応に憤る人もいました。
養育費については、あくまでも当事者同士のやり取りとなり、支払う側の収入の状況によって受取額が変動します。子どもを育てる側としては、衣食住だけでなく、子どもを大学に行かせるための教育費は必要でしょう。子どもが成人するまでは、きちんと養育費を受け取れる新しい仕組みや制度の整備が望まれますね。
[出典]
※1 厚生労働省「人口動態統計速報(平成28年~令和2年)」
※2 弁護士ドットコム株式会社「『養育費不払い問題、離婚後子どもと暮らす女性の半数が経験』弁護士ドットコムが調査」(株式会社 PR TIMES)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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