ローソク足が表す意味とは? 日経平均株価指数のチャートを使って考える
ファイナンシャルフィールド / 2021年4月22日 11時30分
これまで5回にわたりローソク足の形状についてお伝えしてきました。
陽線・陰線、十字線、上ヒゲ・下ヒゲ、大陽線・大陰線、陽線坊主・陰線坊主といったローソク足の基本的な形状がありますが、今回は、これらの形状がチャート上で実際にどのように表現されているかを見ていきたいと思います。
実際のチャートでローソク足を見る
下のチャートは日経平均株価指数の日足チャートです。
2021年2月1日からのものですが、白が陽線、黒が陰線と表示しています。陽線は終値が始値を上回っていることを示しているため、どちらかというと上昇トレンドを描いているときに出てきやすくなります。一方、陰線は終値が始値を下回っていることを示しているため、下降トレンドにおいて現れやすくなります。
〇日経平均株価指数(日足) 2021年2月1日以降
※筆者作成
1つひとつのローソク足は、買い優勢なのか、売り優勢なのかを端的に示していますが、形状によって意味が異なります。
例えば、十字線、寄引同時線ともいいますが、チャート上では、右から3つ目のローソク足(2021年4月5日)がこれに近い形といえます。
これは始値と終値が同じ値で、上ヒゲと下ヒゲも同程度上下に延びているため、売り買いが拮抗(きっこう)していることを意味しますが、高値圏で出現すると、その後、株価は下落していく傾向があるとされています。
実際、2021年4月5日に十字線が現れ、その後、日経平均株価指数は2日連続で下げました。
ただ、必ずしもそうなるというわけではなく、2021年3月15日の陰線では、終値が始値を少し下回り、上ヒゲ・下ヒゲが同程度上下に延びている十字線に近い形になっていますが、上昇トレンドの途中で出現し、その後、株価は上昇しました。
このため、1つのローソク足だけで判断するのは誤りの元になるため注意が必要です。
もう少し分かりやすいローソク足でチャートの流れを見ていくと、2021年2月1日に出現した陽線坊主に近い形は代表例になるかもしれません。
陽線坊主は終値が始値を大きく上回り、上ヒゲも下ヒゲもない長方形です。2021年2月1日のローソク足は、ほんの少しだけ上ヒゲが延びていますが、ほぼ陽線坊主の形を示しています。陽線坊主が安値圏で出てきたときは、どちらかというと買いサインです。それまで下げてきた流れから一気に上振れたわけですから、買いの勢いが急回復したと受け止められます。
こうなると、上昇トレンドの復活が期待されるため、その後の値動きは積極性を伴って上昇していきやすくなります。
実際、2021年2月1日の陽線坊主出現後は、2月16日まで上昇トレンドが続きました。
2月16日のローソク足は上ヒゲの長い陽線で引けています。上昇トレンドが続き、高値圏に達し、上ヒゲの長い陽線で取引を終えたということは、今度は下落のサインとして受け止められやすくなりますが、その後は実際、下降トレンドを描き出しました。
そして、2021年3月5日に、今度は安値圏で下ヒゲの長い陽線が現れ、下降トレンドが終わり、再び上昇トレンドに移っています。
まとめ
ローソク足は、その日の取引の状況や投資家心理を表すという意味では非常に優れたテクニカルツールといえます。
形状の意味が分かると、その日、1日の取引がどのような意味合いだったかが見えてくるので、特にトレンドの転換点で特徴のあるローソク足が現れると「もうそろそろかな」と判断するきっかけを与えてくれます。
ただ、これをうのみにしてトレードを行ってしまうと、ときとして判断を見誤ることにつながる可能性があるため、もう少し分析の精度を高めるために、実践では1つのローソク足で判断するのではなく、その前後のローソク足の組み合わせがどうなのかで判断していくことが多いかもしれません。
次回は、より実践向けにローソク足の組み合わせパターンについて言及していきます。
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
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