住宅ローン借り換えの諸費用は何にいくらかかる? 費用を抑える方法も紹介
ファイナンシャルフィールド / 2021年4月30日 12時0分
借り換えを考える方の多くは、住宅ローンの返済額および金利負担を軽減したいと考えているでしょう。住宅ローンの借り換えで得られる効果を試算する際には、手続きにともなって必要となる諸費用を考慮に入れなければなりません。
なぜなら、諸費用の金額によっては、借り換えの効果を減少もしくは打ち消してしまうこともあるためです。とはいっても、住宅ローン借り換えでどのような費用がどの程度必要かを把握している方は少ないのではないでしょうか。
ここでは、住宅ローン借り換えにともなう諸費用の種類やおおよその金額、支払うタイミングについてまとめました。合わせて諸費用に関する注意点も紹介していますので、参考にしてください。
住宅ローンの借り換えで必要な諸費用と金額
住宅ローンを借り換える際には、借換先からの融資、および借り換え前の住宅ローンの返済にともなう諸費用が発生します。諸費用の合計額は、借入先や借入金額にもよりますが、数十万円程度になることも珍しくありません。
必要な諸費用の主な項目とおおまかな金額は以下のとおりです。
■融資事務手数料(融資手数料・事務取扱手数料)
融資事務手数料とは、住宅ローンの融資に際して発生する事務処理などの手数料です。借入金額の大小にかかわらず一定額を支払う「定額型」と借入金額に対して一定割合を支払う「定率型」があります。
金額の目安は定額型の場合2~30万円程度、定率型の場合借入金額の1~2%程度が相場です。
■保証料
保証会社と保証契約を結ぶための費用です。保証会社は債務者の返済が困難になった場合に返済を肩代わりし、債務者は保証会社に返済していくことになります。
保証料には、契約時に一括払いする「外枠方式」と、住宅ローンの金利に上乗せするかたちで毎月支払う「内枠方式」があります。
外枠方式の場合の金額は借入金額や期間で変動し、100万円あたり1000円から2万円程度と幅があります。内枠方式の場合は金利に0.2%程度の上乗せとなるのが一般的です。
■団体信用生命保険料
住宅ローンを借り換えるときには、団体信用生命保険(団信)にも入り直すことになります。基本的な保証内容であれば保険料の負担がない場合が多いですが、疾病保障や特約など、プラスアルファの保障を付ける場合には所定の保険料を支払わなければなりません。
■印紙税
住宅ローンの契約書を交わす際に徴収される税金です。収入印紙を購入する方法で納税するため、収入印紙代とも呼ばれます。金額は契約書で取り扱う金額に応じて、次のように決められています。
・100万円超~500万円……2000円
・500万円超~1000万円……1万円
・1000万円超~5000万円……2万円
・5000万円超~1億円……6万円
・1億円超~5億円……10万円
■抵当権設定・抹消登記の登録免許税
住宅ローンを借り換えると、住宅ローンの担保となっている物件の抵当権を一度抹消し(抵当権抹消)、借換先に設定しなおす(抵当権設定)手続きが発生します。それぞれの手続きで登録免許税と呼ばれる費用が必要です。
・抵当権抹消登記の登録免許税…不動産1個ごとに1000円
・抵当権設定登記の登録免許税…借入額の0.4%または0.1%
(軽減税率の特例を受けた場合)
■全額繰上返済手数料
借り換えにともなって元の住宅ローンを完済する際に発生する手数料です。金額は金融機関によって違い、無料~数万円程度が目安となっています。同じ金融機関でも、住宅ローンの種類や完済の手続き方法で金額が異なることがあります。
■登記に関わる司法書士報酬
登記の手続きを司法書士に依頼する場合、司法書士に支払う報酬が発生します。司法書士や借入額などで金額は異なりますが、数万円から十数万円が目安です。
■火災保険料
住宅ローン借り換えの際、すでに契約している火災保険があれば新たに契約しなくてよい場合がほとんどです。ただし、火災保険の契約内容によっては借り換え後の継続ができないことがあるため、新たに加入する火災保険料が発生する可能性があります。
■経過利息
住宅ローンの返済日から次回返済日までに発生する利息を経過利息といいます。返済日以外に繰上返済をする場合には、その時点で発生している経過利息も精算しなければなりません。
ボーナス返済を利用している場合は返済日と返済日の期間が長いことが多いため、経過利息もその分大きくなることに注意しましょう。
住宅ローン借り換えの流れと諸費用を支払うタイミング
金融機関によって違いはありますが、住宅ローン借り換えの流れとそれぞれの諸費用を支払うタイミングは、おおよそ以下のとおりです。費用が発生するタイミングを確認して、すぐに用意できるよう準備しましょう。
1.借り換えの申し込み・審査
金融機関によっては、仮審査(事前審査)・本審査の2段階で審査が実施されます。
《支払う諸費用》
なし
2.一括完済の申し出
審査を通過したら借り換え前の借入先に完済を申し出て完済日を決定します。
《支払う諸費用》
なし
3.借り換えの契約
借換先と住宅ローンの契約を締結します。
《支払う諸費用》
・印紙税
・司法書士報酬
4.融資実行・一括完済・登記申請
融資実行と同時に、元の住宅ローンの完済手続きと抵当権抹消登記の申請、借換先の抵当権設定登記の申請を行います。
《支払う諸費用》
・融資手数料
・保証料(外枠方式)
・全額繰上返済手数料
・抵当権設定・抹消登記の登録免許税
・火災保険料(新規に加入する場合)
5.借換先へ返済
借換先に毎月の返済をします。
《支払う諸費用》
・保証料(内枠方式)
・火災保険料(更新ありの場合)
住宅ローン借り換えの諸費用が安い住宅ローンはある?
住宅ローンの借り換えにかかる諸費用のうち、印紙税や登記申請にともなう登録免許税は金融機関による差がありません。融資事務手数料は金融機関ごとの金額設定に開きがあるため、比較して安いところを選ぶとよいでしょう。
また、ネット銀行をはじめとする保証料がかからない金融機関を選ぶと、諸費用のトータル金額を、比較的抑えられる可能性があります。
以下は、融資事務手数料が比較的安く、保証料不要の金融機関の例です。
・ソニー銀行…定額型の融資事務手数料:4万4000円
・イオン銀行…定額型の融資事務手数料:11万円(ただし、0.2%の金利上乗せあり)
・楽天銀行…定率型の融資事務手数料:借入額の0.990%(楽天銀行フラット35の場合で、楽天銀行を返済口座に指定した場合のみ)
住宅ローン借換時の諸費用に関するポイント
住宅ローンを借り換える際に大切なことは、借り換え前よりも返済額および金利負担が軽減されることです。諸費用の額で負担軽減効果が無くなるどころか返済総額が増えたり、費用の工面で困ったりしないために、次の3つのポイントを頭においておきましょう。
・諸費用を含めると借り換えのメリットがなくなる場合がある
・保証料の支払方法によっては、借り換え前の保証料が返金されることがある
・借り換えの諸費用を住宅ローンに組み込めることがある
以下で、それぞれのポイントについて詳しく解説します。
諸費用を含めると借り換えのメリットがなくなる場合がある
住宅ローンの借り換えで発生する諸費用は、条件によっては金額が数十万円に及びます。諸費用を負担することで借り換えによる返済額の軽減効果が非常に小さくなったり、相殺されたりすることがあるため、注意しなければなりません。
事前に借り換えで得られる効果と諸費用の見込み金額を試算し、比較してみましょう。借り換えの徒労感だけが残らないよう、手続きの手間をかけるほどのメリットがあるかどうかをよく検討することが大切です。
借り換え前の保証料が返金されることがある
住宅ローンの新規借入時に保証料を外枠方式で前払いしていた場合、全額繰上返済をしたときに保証料の一部が返金されることがあります。返金される保証料の金額によっては借り換えにともなう諸費用の負担が軽減されることにもなるため、借入先に確認してみるとよいでしょう。
借り換えの諸費用を住宅ローンに組み込み(上乗せ)できることがある
金融機関や住宅ローンの商品次第では、借り換えで発生する諸費用を、借入金額に組み入れることが可能なものもあります。諸費用を支払うために一時的に自己資金を用意するのが困難な場合などには、検討するのもひとつの方法です。
ただし、金融機関によって組み込める諸費用に差があるため、事前の確認が必要です。また、諸費用を組み込むことによって借入金額が大きくなり、その分利息負担額も多くなります。結果として借り換えのメリットがなくなってしまうケースもあるため注意しましょう。
諸費用を考慮に入れて借り換え前後のトータルコストを比較しよう
住宅ローンの借り換えをする際には、必ず何らかの費用が発生します。諸費用の金額が大きくなると、借り換えによる負担軽減効果が失われることもあるため、注意しなければなりません。
しっかりとメリットがある借り換えをするために、検討の際には諸費用を含めたトータルコストを試算して、借り換え前と比較する必要があります。また、借り換えをした際に戸惑わないよう、いつ、どのような費用が発生するのかを把握しておくと安心です。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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