不動産取引の際は必ずハザードマップの確認を
ファイナンシャルフィールド / 2021年5月9日 5時0分
![不動産取引の際は必ずハザードマップの確認を](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_104673_0-small.jpg)
不動産を購入・賃貸する場合には宅地建物取引業者から重要事項説明書の交付・説明を受けたうえで、売買契約書・賃貸借契約書を取り交わします。2020年から、この重要事項説明の中で水害リスクについて説明することが義務付けられました。
近年増加する水害。自分が住む場所にどのようなリスクがあるかを把握する必要性は以前にも増して高まっています。今回は、ハザードマップによるリスク確認の重要性と注意事項についてお伝えします。
最近増加する水害と宅地建物取引業法施行規則の改正
最近、地球温暖化の影響もあり水害が増えています。記憶に新しいところでは2019年、台風19号によって関東地方を中心に広い範囲で浸水などの被害がありました。
宅地建物取引業法では、宅地または建物の購入者、入居者等に不測の損害が生じることを防止するため、宅地建物取引業者に対し、重要事項説明として、契約を締結するかどうかの判断に多大な影響を及ぼす重要な事項について、購入者等に対して事前に説明することを義務付けています。
全国的に増加している水害被害の状況を受け、国土交通省は宅建業者に対し、対象物件の所在地における水害リスクについて、不動産取引時に重要事項説明の中でハザードマップを用いて説明することを義務化しました。
ハザードマップとは
ハザードマップは、自然災害による被害予想図に避難施設などの防災情報を追加した地図のことで、各自治体が作成しています。その中でも水害に関するハザードマップは、2015年に水防法が改正されたことにより、各自治体に作成が義務付けられました。
水害のほかに土砂災害や地震、火災などに関するハザードマップもあります。富士山の周辺などのように火山の噴火による被害が想定されるようなエリアでは独自のハザードマップを作成、公表しています。
不動産取引の際に説明が義務化されたのは「水害リスク」に関するもののみです。これまでも説明することが望ましいとされていましたが、2020年から義務になりました。
水害ハザードマップは洪水・内水(雨水出水)・高潮・津波に関するリスクを示すハザードマップの総称です。2018年9月末現在、水防法により洪水浸水想定区域が指定された市町村のうち98%の自治体が、ハザードマップを公開しています。また、想定最大規模降雨に対応した洪水ハザードマップの作成も順次進められています。
多くの自治体が作成するハザードマップは洪水・雨水出水・高潮・津波による浸水深などについて色分けして示しています。各自治体によってその色使いや表記方法については違いがありますので、見方には注意が必要です。
国土交通省では「ハザードマップポータルサイト」を作成し、各地の自治体が作成するハザードマップを見つけやすくしています。
不動産取引時の注意
不動産取引(売買・賃貸借とも)の際、宅建業者は買主、借主に対して売買・貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士によって、書面を交付して所定の重要事項の説明をしなければならないことになっています。
宅建業者は重要事項説明を「契約成立前」に行わなければなりませんが、不動産業界では契約を行うのと同日に、契約に先立って重要事項説明を行う慣習が定着しています。
宅建業者にとっては、水害リスクの説明義務化はいろいろな意味で負担です。
不動産の売却を考えている人(売主)や賃貸住宅のオーナー(大家)にとっては、この説明の義務化によって自身の保有する資産に存在するリスクが明らかになり、売却価格が下がる、貸しにくくなるというケースもあります。
宅建業者は、売買や賃貸借契約が成立しなければ報酬(=仲介手数料)を得ることができません。売主がもっと高く売りたい、貸主がもっと高く貸したいと思っている中、その物件に水害リスクがある場合、それを説明することは契約の条件交渉を難しくしかねません。悪質な業者はギリギリまであえて説明しないようなことも起こり得ます。
これでは、重要事項説明を受けている最中に「そんな話は聞いていない」ということも起こりかねません。そんなリスクがあると認識していなかったと感じた時には、買主、借主は契約を行わないことも可能です。
しかし、その日に契約を行うつもりでさまざまな準備を進めてきて、契約当日に「やっぱりやめます」というのはなかなか勇気がいることでしょう。
不動産の契約は多くの人にとって「人生の一大事ともいえる大きなことです。後悔することのないよう、できれば、契約日よりも前に重要事項説明を受ける、あるいは事前に重要事項説明書の案文を確認させてもらう、対象物件に該当するハザードマップをインターネットなどで探すなどによって、自分自身の目で確認しておくほうがよいでしょう。
多くの不動産業者が「両手取引」、すなわち、売主と買主の双方から手数料を受領する取引を行っている実態があります。必ずしも買主の味方ではないということも覚えておいたほうがよいと思います。
まとめ
自分が住んでいる場所、事業を行う場所にどんなリスクがあるのかを把握しておくことは非常に重要です。災害リスクがない場所を選ぶことが理想的ではありますが、さまざまな事情でリスクがある場所を選ばざるを得ない人もいらっしゃるでしょう。
その場所にどんなことが起こり得るのかを把握し、命や大切な財産を守るために、いざというときどのような行動をとるべきかを知っておくことの必要性が高まっています。
(参照)
内閣府「防災情報のページ」
国土交通省国土地理院「ハザードマップポータルサイト」
執筆者:西山広高
ファイナンシャル・プランナー、宅地建物取引士、宅建マイスター(上級宅建士)、上級相続診断士、西山ライフデザイン代表取締役
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