時給換算で不公平さを感じたことがある人は7割。同一労働同一賃金改正でどう変わる?
ファイナンシャルフィールド / 2021年5月14日 4時0分
同一企業・団体における正社員と非正規雇用労働者との間の不合理な待遇差を禁止する「同一労働同一賃金(パートタイム・有期雇用労働法)」は大企業では2020年4月1日より施行されていましたが、中小企業でも2021年4月1日より施行されました(※1)。
どのような雇用形態を選択しても納得が得られる処遇を受けられ、多様な働き方を自由に選択できるようにするのが狙いです。
ビースタイルグループ(東京都新宿区)の調査機関しゅふJOB総研は、「同一労働同一賃金の法改正」をテーマに、中小企業での施行を目前とした2021年3月24日(水)から2021年3月31日(水)に働く既婚女性にアンケート調査を行い、有効回答数613件を集めました(※2)。早速結果を見ていきましょう。
時給換算で不公平感があるという人は7割。能力に見合った給料が支払われるべき
時給に換算して考えた場合、過去もしくは現在の仕事について不公平だと感じることはあるかと聞いたところ、69.3%が「ある」と回答しました。
不公平だと感じることがあると回答した人のフリーコメントには、「同一労働であっても、処理能力の差で結果が違っている場合があるのに、時給が同じというのは納得いかない」「改正法が適用されているにもかかわらず、何の変化も無い。やはり自ら踏み込んで交渉する必要があるのかな、と感じている」といった意見が寄せられました。
一方、不公平だと感じることは「ない」と回答した人は「パートの身分としては簡単な仕事でそれ相応の賃金で良い。派遣を選ぶのは自分の都合なのではと思う」「パートや派遣は能力が低い人も一流会社に手軽に入れるが、新卒や転職などの社員は大変な門をくぐって実力がある人が多いので同一労働同一賃金には反対です」「非正規で同一賃金で働きたいと思うのであれば、それこそ大門未知子並みに自分の価値を上げて売り込まないと無理だと思う」といった意見が並びました。
いずれにしても、能力にみあった給料が与えられるべきという考えは共通しているようです。
昨年、同一労働同一賃金が施行され、不公平感はやや解消。一方で「何も変わっていない」という人が半数以上
賃金への不公平感については、同一労働同一賃金が施行される前の2016年の調査では不公平感があると77.4%が回答していましたが、今回の調査では前回調査から8.1ポイント不公平感が解消しています。
時間あたりの料金に差がつくとしたら、どういう理由であれば納得感があるか尋ねると、1位は「仕事内容の違い」が68.2%を占めました。次いで「仕事への責任の重さ」(57.9%)、「資格の有無」(43.9%)など、能力の違いなら納得できるという回答が上位を占めました。
2020年4月より、同一労働同一賃金改正法が施行されたことによって、どんな変化があったと思うか聞いたところ、「何も変わっていない」が53.2%という結果に。変わったという人は「賃金や福利厚生などの不合理な待遇差が縮まった」という6.7%にとどまりました。逆に「賃金や福利厚生などの不合理な待遇差が広がった」という人が5.2%いました。
4月からの中小企業への適用で、変化を期待する人は多い
2021年4月より、同一労働同一賃金改正法が中小企業にも適用されることでどんな変化があると思うか尋ねると、「何も変わらない」が45.4%、「賃金や福利厚生などの不合理な待遇差が縮まる」が12.4%と、2020年の改正に比べ5.7ポイント増え、今回の改正に期待する人が多いようです。
同じ仕事であれば能力が高い人に対してそれに見合った給料を支払うのは当然です。ただし、正社員は努力して学校を卒業し、厳しい就職活動を乗り越え、狭い門戸をくぐり抜けて入社しているわけで、いくら優秀でもパートや派遣社員が同じ賃金を与えられるのには抵抗があるという意見もあることは理解できます。
いずれにせよ、社員の労働を正しく評価し、それに見合った給料を与えなければならないので、評価のシステムが重要となりますね。
[出典]
※1:厚生労働省「同一労働同一賃金特集ページ」
※2:ビースタイルグループ「仕事と家庭の両立を希望する既婚女性に聞く、同一労働同一賃金の法改正で何か変わった?」(株式会社 PR TIMES)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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