2020年の家計はどう変化した? 月別に見る家計収支の状況
ファイナンシャルフィールド / 2021年6月29日 4時0分
![2020年の家計はどう変化した? 月別に見る家計収支の状況](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_109367_0-small.jpg)
2020年は新型コロナウイルスの流行が始まった年であり、生活様式が大きく変わった年でもあります。それによって、家計のお金の流れはどう変わっていったのでしょうか。 総務省統計局の「家計調査報告(家計収支編) 2020年(令和2年)平均結果の概要」を基に見ていきます。
2人以上の世帯の支出は5.3%の減少
2020年の2人以上の世帯(平均世帯人員2.95人、世帯主の平均年齢59.7歳)の消費支出は1世帯当たり、1ヶ月平均で27万7926円となり、前年の2019年に比べて5.3%(物価変動率を加味した実質数値も同様)の減少となりました。
この5.3%の減少というのは近年まれに見る減少率となり、データ比較が可能な2001年以降、減少幅としては最大の数値となっています。
東日本大震災が起こった2011年でさえ、実質減少率が2.2%にとどまっていたことを考えると、この減少分がいかに大きなものであったのかが分かります。
また、2020年の減少率が高くなったことの背景には新型コロナウイルスの影響だけでなく、前年に実施された消費税増税による駆け込み需要の反動も含まれています。
月別で見るとどうなる?
では、2020年の動きについて詳しく知るために月別に見ていきましょう。減少率については前年同月比で比較しています。
1月、2月の動きは?
2020年1月時点で既に新型コロナウイルスの存在は確認されていたものの、経済に与えた影響はまだ表面化していません。しかし、暖冬の影響でレジャー需要が低下するなど、消費支出は3.9%の減少となりました。
2月になると新型コロナウイルスの影響が表れます。一部の地域で外出の自粛が始まり、経済は停滞の気配を示す一方、トイレットペーパーやマスクなどの買いだめが起こったことで一時的に消費が活発化した面もあり、実質減少率は前年同月比で0.3%にとどまっています。
3月から5月の動きは?
3月から5月にかけては新型コロナウイルスの急激な感染拡大と緊急事態宣言の発令から、外食産業や教養・娯楽サービスを中心に大きな波紋が起こりました。
3月の減少率は6%にとどまったものの、4月は11%、5月は16.2%と大きく減少しました。
6月から9月の動きは?
6月は全ての国民に一律10万円の特別定額給付金があったことから、大型家電を中心に消費が後押しされ、実質減少率は1.2%にとどまりました。
7月は新型コロナウイルスの感染拡大も一時的に落ち着きを見せていた時期でもありますが、天候不順の影響もあり、実質減少率は7.6%と前年よりも高くなりました。
8月は新型コロナウイルスの感染が再拡大し始め、実質減少率は6.9%となっています。
9月は比較した前年同月に消費税増税が行われており、実質減少率は10.2%となりました。消費税増税の反動があったとはいえ、家計の支出が大きく減少しています。
10月から12月の動きは?
10月、11月も昨年の消費税増税の反動が残っているものの、新型コロナウイルスの感染拡大による巣ごもり需要の影響から、消費支出はそれぞれ1.9%、1.1%の増加に転じました。
12月は3月から5月のように外食や娯楽教養が減少していますが、引き続き巣ごもり需要の影響があったため、実質減少率は0.6%にとどまりました。
2020年の家計収支は全体的にマイナス傾向
要所要所で見ればプラスとなった月もあったものの、2020年は多くの月で前年と比較して家計の支出は減少傾向にあったようです。通年で見れば5.3%と2001年以来最大の減少率であり、新型コロナウイルスの影響の大きさがうかがい知れます。
新型コロナウイルスの影響により生活様式が変わった今だからこそ、2020年の家計収支のデータを今後の家計の管理に役立ててみてください。
出典
総務省統計局 家計調査報告(家計収支編) 2020年(令和2年)平均結果の概要
執筆者:柘植輝
行政書士
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