アンケート調査で分かる「若者のお金の使い道と消費者意識」
ファイナンシャルフィールド / 2019年2月19日 7時53分
若者はそもそも知らない?“消費”ってどういうこと? まず、インタビューにて「消費者」という単語や自身の「消費行動」に対して抱くイメージを確認しました。 「消費者」という単語に関しては、回答者の多くが「一般人・買い物をする […]
若者はそもそも知らない?“消費”ってどういうこと?
まず、インタビューにて「消費者」という単語や自身の「消費行動」に対して抱くイメージを確認しました。
「消費者」という単語に関しては、回答者の多くが「一般人・買い物をする人」「自分もその中の一人」と認識している一方、約16%が「あまり良いイメージがない」「企業に騙されている人」などネガティブなイメージを持っていることがわかりました。
また、「消費行動が社会に与える影響」については、約22%が「自分が買い物で使ったお金が世の中を回っているのだろう」という漠然とした感覚しか持っておらず、「自分一人が買ったところで大した影響はない」という認識のように、およそ5人に1人は“自身の行動が社会にどのような影響をもたらし得るか”を明確に把握していないことが判明しました。
消費者は、単なるサービスの受け手ではなく、自分の消費行動が、社会・経済・環境などに与える影響を考えて、商品・サービスを選ぶことが大切です。人にやさしく、地球にやさしく、住みやすい社会「消費者市民社会」の実現に向けては、若者に対してまずは“消費”の定義とその影響を認識させる必要があるという、大きな課題が浮き彫りになりました。
お金の使い道「貯金」は5割!男性は“目に見えない価値”、女性は“目に見える価値”を重視!?
「消費者」「消費行動」のイメージが漠然としている若者。実際には普段どんな消費行動を行っているのでしょうか。
「お金の使い道」を尋ねたところ、回答者全体で多かったのは「貯金(54.8%)」と「買い物(54.2%)」。以降、「趣味・習い事(42.5%)」「旅行(27.1%)」「交際費(17.3%)」が続く結果となりました。
堅実志向といわれる若者ですが、約半数は「貯金」をしていないという現実が明らかになるとともに、使い道は男女によって差が表れました。男性は「趣味・習い事(53.6%)」「金融商品による資産運用(貯金除く)(12.9%)」の割合が女性よりも高い(趣味・習い事:約1.5倍、資産運用:約7.2倍)のに対し、女性は「買い物(61.1%)」「美容(18.3%)」の項目が高くなっています。男性は“目に見えない価値”、女性は“目に見える価値”に対して消費行動を起こす傾向にあるのかもしれません。
商品選択のポイントで価格が9割。高年齢ほど「質」重視に。「環境・社会貢献」などの“社会的影響”は考慮されず
では、上記のような「消費行動」において、若者は何を重視して商品やサービスを選択しているのでしょう。
回答者全体で最も多かったのは90.3%の「価格」。そのあとに「品質(65.6%)」「見た目(27.2%)」「評判(22.6%)」「ブランド・メーカー(22.2%)」が続きました。
年代別にみると、「見た目」「評判」は18~29才の比率が高いのに対し、「品質」「素材」は30代の比率が高い傾向。若いうちは“外からの見られ方”、年齢が高くなると“商品やサービスそのものの質”を重視するようになることがうかがえます。
またインタビューによると、消費(購入)するものを「食品等」に限定した場合の選択ポイントとしては「国産品かどうか」「新鮮さ」「カロリー」が、「子供の使う製品」に限定した場合は「安全性」が挙がりました。
いずれにしても、商品選択時には“自身や使用者のメリット”が重要と考えており、“購買行動の与える社会的影響”としての「環境(1.3%)」や「社会貢献(0.8%)」などを重視している人はほとんどいない現状が見えてきました。
「被災地支援/フェアトレード」は、お金の流れが見えず不信感を抱く声も
最後に、消費行動において具体的にどの程度「社会貢献」が意識されているのかを調査しました。
アンケートにて「商品・サービス選択時に社会貢献関連を選択する意向があるか」を尋ねると、回答者全体において「多少なりとも意向がある人」(「ある」「どちらかといえばある」の合計)は3割以下となる29.2%にとどまりました。
また、社会貢献商品の代名詞ともいえる「地球環境配慮商品」「被災地支援商品」「地産地消商品」「フェアトレード商品」がどのように認識されているかもインタビューにて確認。最も認知度の高かった「地球環境配慮商品」や一部認知されていた「フェアトレード商品」のラベルも商品選択の根拠にはほとんど影響を与えていないことがわかりました。
ラベルを見て社会貢献商品だと気づいたとしても、購入後のお金が適正に社会貢献事業に使われているのか見えないといった不信感から購入に繋がりづらい可能性も示唆されました。
今回の調査によって、若者の生活における「消費者」としての自覚や「消費行動」の与える社会的影響に対する意識は、極めて薄いことがわかりました。
この結果をふまえ、しずおか消費者教育未来会議(※1)では、フューチャーセッション(未来志向の対話)を実施。自分自身の消費行動(買い物)を振り返り、消費の向こう側(商品の背景等)や消費者としてどんな未来を作りたいかを考えることで、「消費者教育」の土台となる“自分ゴトとして捉える”視点を得られました。
今後は、本会議で話し合った内容について、専用ホームページ等を通じて情報発信していくとともに、まずは、「消費者市民社会」の一員としての認識を持ち、若者自身が賢い消費者となるために必要な啓発事業を推進していきます。
(※1)しずおか消費者教育未来会議
消費行動が社会に与える影響や消費者教育の未来について、若者が主体的に考える対話の場を設けることで、今できることの提案を引き出し、また情報発信することにより、多くの若者の共感を呼び起こしていくための会議です。
発足日: 2016年10月25日
参加者: 静大フューチャーセンター、「静岡時代」編集部、
静岡大学消費生活研究サークルの3団体を中心とした
静岡県内の学生や社会人(18~30歳程度)
URL: http://www.shizuoka-shohi.jp/miraikaigi/
【調査概要】
<インターネット調査>
調査対象:静岡県に居住する18~39歳の男女1,000人
調査期間:2016年11月4日~11月13日
調査実施機関:株式会社ビデオリサーチ
<フォーカスグループインタビュー>
調査対象:静岡県に居住する18~30歳の男女18人(居住地域により3グループに分割)
調査実施日:2016年10月29日
調査実施機関:株式会社ビデオリサーチ
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