安さを強調する生命保険に注意して、必要な保障を考えよう
ファイナンシャルフィールド / 2021年7月10日 11時0分
テレビやインターネットで、保険料が安くなるということを強調した生命保険の広告をよく見かけます。 中には広告を見て、保険料が安くなるならと検討される方もおられるでしょうが、注意しておきたいこともあります。今回は、誰でも試算ができる方法で保険料について調べてみました。
民間の保険の考え方
まず日本では国民皆保険という考えがあり、国民全てが公的な医療保険に加入することが前提となっています。
日本の医療保険制度には主に、「国民健康保険」「全国健康保険協会管掌健康保険」「組合管掌健康保険」「共済組合」「後期高齢者医療制度」があり、国民健康保険には自営業の方や75歳未満の年金生活者、非正規雇用の方などが加入されています。
全国健康保険協会管掌健康保険は、協会けんぽや健康保険組合に分かれ、サラリーマンの方などが加入されている保険制度となっています。
また、共済組合は公務員の方、後期高齢者医療制度は75歳以上の方が加入し、働き方や年齢などによって違いますが、全国民がなにかしらの保険に加入していることになります。
基本的には窓口負担の割引や、月内の医療費負担が一定額以上になった場合に後から払い戻されるなど、海外と比べても手厚い保障内容となっています。
こういった制度があるので、日本では全ての医療費に対して、民間の保険で準備するという必要はないと考えられます。公的な保険は自己負担の軽減という側面もありますが、民間の保険では経済的な損失の補てんという考えが近いのかもしれません。
もしも一家の大黒柱の方が亡くなられた場合には、遺族年金という遺族に対する公的な保障もありますが、この保障はそれまでの収入を担保できるものではなく、最低限の生活費程度を受け取れるものです。
万が一のことに備えて、例えば子どもが独立するまで、あるいは配偶者の方が自分の年金を受け取れるまでの間に、足りない生活費などを民間の保険で確保することも大切です。
医療保険では、入院や手術以外の差額ベッド代や食事代、雑費などのほか、けがや病気によって予期せぬ出費が必要となったときに、収入が減ってしまうことや貯蓄を減らさないためにも民間の保険を使うという方法があります。
もちろん、貯蓄が潤沢にあったり、収入が減少する心配がない方には民間の保険は必要ないという可能性もあります。
安い保険料には注意が必要
前項でも述べたように、民間の保険は公的な保険の不足分に対する準備として考える必要があります。
ただ、資産状況や加入されている公的な保険によって、民間の保険に対する考え方が変わってきますので、まずはご自身の加入されている保険制度の保障内容を確認した上で、不足する保障や準備しておきたい保障を民間の保険で検討していくことになります。
しかし、掛け捨てが多くなっている医療保険などでは、保険料を少しでも安くしたいと思われるのではないでしょうか。
そんなときに、テレビコマーシャルなどで安い保険料で保険に入れると目にすると、検討してみようと思ってしまう方も多いでしょう。中には、とても安い保険料を強調している広告もよく見かけます。
今回、インターネット上で誰でも試算できる保険会社の商品でシミュレーションをしてみました。
結果は死亡保障が500万円としても、10年定期の掛け捨て保険で、その後も保障を続けるのであれば、更新時の年齢で保険料も上がっていくものになっていました。
医療保険についても、入院給付金や手術給付金といった基本の給付金だけの保障で計算されていました。最近は特定疾病に対する保障を厚くする特約に関心を持たれている方も多く、こういった保障を付加すると保険料も高くなっていきます。
1社ではなく、複数の保険会社で検討することも大事
保険料の安さを強調しているからといって、その保険会社が一番安いという訳ではなく、同じ保障を他社のホームページでシミュレーションすると、もっと保険料が安かったということもあります。
また、主契約のみの基本保障だけではなく特約なども考えたいのであれば、さらに詳しくシミュレーションができる方法を選ばれる方が、同じような保障でも保険料が安くなる保険会社を見つけることが可能になってきます。
インターネット上で簡単にシミュレーションができるという利点はありますが、保険商品は同じような保障でも保険会社によって内容が異なるものも多く、思っていた保障内容と違ったという場合があるかもしれません。
可能であれば希望する保障の内容を、複数の保険会社の違いなどを含めて調べる必要があり、インターネットだけではなく、対面で聞いてみることも大切かもしれません。
まとめ
保障に対して保険料の安さを強調している広告を見ると疑心感があったので、今回の記事で取り上げてみました。テレビコマーシャルなどで見るとインパクトもあり、疑うことなく検討される方もいるのかもしれません。
しかし、保険は保障が多過ぎたり、反対に少な過ぎたりしても保険料の無駄になる可能性があります。保険料の前に保障を考えた保険選びが大切だと思います。
執筆者:吉野裕一
夢実現プランナー
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