障害年金受給中に結婚・出産。配偶者や子どもの加算はどうなる?
ファイナンシャルフィールド / 2021年7月27日 9時0分
![障害年金受給中に結婚・出産。配偶者や子どもの加算はどうなる?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_111248_0-small.jpg)
国民年金保険や厚生年金保険の加入中の病気やけがが原因で、一定の障害の状態になった際に受け取ることができる障害年金。 受給中に結婚や出産など家族構成が変わった場合、受給額にはどのような影響があるのでしょうか。
障害基礎年金の支給額
障害年金には障害基礎年金と障害厚生年金があります。
国民年金保険に加入している間の病気やけがが原因で一定の障害の状態となった際に支給されるものが障害基礎年金です。
障害基礎年金を受給するにあたっては、一定の障害の状態になった原因となる疾患の初診日が国民年金保険の加入期間にあることが要件です。また、国民年金保険は20歳から加入できますが、初診日が20歳前である場合にも障害基礎年金を受給できます。
支給額はその障害の度合いによって1級および2級に分けられており、1級の場合は年間78万900円×1.25、2級の場合は年間78万900円となっています。また、子どもがいる場合はいずれの等級でも一定の額が加算されます。具体的な加算額は、第2子までは1人あたり22万4700円、第3子からは1人あたり7万4900円です。
(出典:日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・支給開始時期・計算方法」(※1))
障害厚生年金の支給額
厚生年金保険に加入している間に初診日がある疾患が原因で、一定の障害の状態になった際には、障害基礎年金に加えて、障害厚生年金を受け取ることができます。障害厚生年金の支給額は、等級の度合いによって1~3級まであり、それぞれの等級に応じた支給額が決められています。
具体的には1級の場合であれば、老齢厚生年金の報酬比例部分の年金額×1.25となっており、配偶者がいれば22万4700円加算されます。2級の場合は、老齢厚生年金の報酬比例部分の年金額となり、1級と同様に配偶者がいれば加算額も合わせて受け取ることができます。
また、障害厚生年金には、障害基礎年金と異なり等級に3級が存在します。この3級の障害状態となった場合は、2級と同じ老齢厚生年金の報酬比例部分の年金額が支給されますが、最低保障額が定められています。最低保障額については58万5700円となっており、さらに3級の場合は1級および2級と異なり、配偶者の加算制度がありませんので注意が必要です。
(出典:日本年金機構「障害厚生年金の受給要件・支給開始時期・計算方法」(※2))
障害基礎年金受給中に家族構成が変わった場合
では、まず障害基礎年金受給中に結婚や出産などで家族構成が変わった場合、その受給額はどのように変わっていくのかを見ていきましょう。
■結婚した場合
障害基礎年金には配偶者の加算額はありません。したがって、結婚して配偶者ができたとしても、受給額が変わることはありません。
■出産した場合
出産した場合は、その子どもの数によって子の加算額が加わることになります。もし、結婚して子どもが生まれた際には、今までの受給額に加えて第1子の加算額である22万4700円が加算されます。その後子どもが増えた場合も同様です。
ただし、子どもの要件として満18歳の年度末(3月31日)を迎えるまでとなっています。
障害厚生年金受給中に家族構成が変わった場合
次に、障害厚生年金受給中に結婚や出産などで家族構成が変わった場合、その受給額はどのように変わるのでしょうか。
■結婚した場合
障害厚生年金では、子どもではなく配偶者の加算があります。したがって結婚して配偶者ができた場合、配偶者の加算額を受け取ることができます。
■出産した場合
障害厚生年金制度には、子どもの加算額という制度はありません。したがって子どもが生まれた場合であっても、受け取れる年金額が変わることはありません。
自営業者か会社員かで異なる受給額
上記で述べたとおり、会社員の場合であれば障害基礎年金に加えて障害厚生年金を受け取れる場合があります。初診日が国民年金保険に加入している間で、かつ厚生年金に加入していないケースであれば、受け取れる障害年金は障害基礎年金のみとなり、家族構成によって加算されるのは子どもの加算額のみです。
初診日が国民年金および厚生年金保険両方に加入している時期に該当するのであれば、障害基礎年金そして障害厚生年金の両方を受け取ることができます。結婚した場合は障害厚生年金の制度にある配偶者の加算額を、そして子どもが生まれた場合は障害基礎年金の制度にある子どもの加算額を受け取れるということになります。
まとめ
障害基礎年金と障害厚生年金にはそれぞれ、子の加算そして配偶者の加算制度がありますが、いずれも「生計を維持されている子」もしくは「生計を維持されている配偶者」である必要があります。
そして生計を維持しているとは、「同居していること」そして「前年の収入が850万円未満であること、または所得金額が655万5000円未満であること」の要件を満たす場合をいいます。
したがって、障害厚生年金の受給者が結婚したからといって、すべての人が配偶者の加算を受けることができるわけではない点にも注意が必要です。
(出典:日本年金機構「生計維持」(※3))
出典
(※1)日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・支給開始時期・計算方法」
(※2)日本年金機構「障害厚生年金の受給要件・支給開始時期・計算方法」
(※3)日本年金機構「生計維持」
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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