2022年度に廃止される年金手帳。廃止後に代わるものはある?
ファイナンシャルフィールド / 2021年8月3日 23時10分
![2022年度に廃止される年金手帳。廃止後に代わるものはある?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_113064_0-small.jpg)
2020年6月に公布された「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部改正」により、2022年4月より年金手帳が廃止されることが決定しました。 その後、年金手帳に代わる物はどのようなものなのでしょうか。現在の年金手帳の種類と、廃止に至った背景、そして今後の流れについて解説します。
現在の年金手帳とは?
原則として20歳以上の方は国民年金への加入が義務付けられており、会社員であれば厚生年金に、そして公務員であれば共済組合に加入しています。そして、これらの年金制度に加入している方に対しては、年金手帳が配布されています。年金手帳には基礎年金番号が通知されており、大切に保管しておく必要があります。
■年金手帳の遷移
昭和29年5月~昭和49年10月に厚生年金の加入手続きを行った方に対しては、厚生年金保険被保険者証というものが発行されていました。
(引用:日本年金機構「基礎年金番号・年金手帳について」(※1))
昭和35年10月~昭和49年10月に国民年金の加入手続きを行った方に対しては茶色の年金手帳が、昭和49年11月から平成8年12月に手続きを行った方に対してはオレンジ色の年金手帳が、平成9年1月以降に加入手続きを行った方に対しては青色の年金手帳が配布されています。
(引用:日本年金機構「基礎年金番号・年金手帳について」(※1))
■共済組合の場合
加入期間が共済組合のみの場合は、上記のような年金手帳は配布されていません。その代わり、基礎年金番号通知書が交付されます。
(引用:日本年金機構「基礎年金番号・年金手帳について」(※1))
共済組合に加入されている方においては、この通知書が年金手帳の役目を果たすことになります。
年金手帳が廃止となった背景
年金手帳が持つ役割には、「保険料を納付したことの証明」や「基礎年金番号を本人に通知する」というものがあります。しかし、年金制度の被保険者の情報がシステム管理されていることやマイナンバー制度の導入により、従来の手帳が持つ役割が薄れているという現状があります。
従来では、さまざまな手続きの際に年金手帳の提出が求められていましたが、最近では「基礎年金番号通知書」もしくは「マイナンバーが確認できる書類」で対応できるようになったことも廃止を決める大きな理由となりました。
年金手帳が廃止となる背景には、このように年金手帳が担う役割が薄れてきた現実と、業務効率化を目的とした見直しがあるといえます。
また、年金手帳の発行に伴う経費削減も年金手帳廃止の理由の1つといわれています。現在、年金手帳の発行件数は153万件、そして再発行件数は約75万件となっており、それにかかる費用は2.7億円にものぼるといわれています。今後年金手帳を廃止することで、これらのコスト削減につなげることが期待されています。
(参考:厚生労働省「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律の概要」(※2))
年金手帳廃止後はどうなる?
2022年4月より、年金手帳の交付を廃止するとともに、「基礎年金番号通知書」の交付が行われることとなりました。ただし、それまでに持っている年金手帳については、もちろん従来持っている役割を果たすものとして利用することが可能です。
年金手帳の廃止後、再交付はしてもらえる?
2022年4月以降は再発行の申請はできなくなります。
まとめ
年金手続きにおけるマイナンバー制度の情報連携についての取り組みは、平成29年1月より相談および照会業務において実施が開始され、現在では日本年金機構と自治体との連携について、本格運用が開始しています。
マイナンバー制度を年金の手続きに取り込むことで、請求の際の手続きを簡素化できたり、提出の際の添付書類の発行費用や手間を省いたりするという点でも利用者側にとってメリットの大きいものとなっています。
また、行政サイドにおいても情報を連携できることにより、処理のスピードが上がるなど、業務の効率化が進んでいくことが期待されます。
年金手帳はもちろんですが、自分の基礎年金番号やその内容を管理することは重要なことです。今一度、自分の年金手帳の年金基礎番号を確認するとともに、不明な点がある場合は早めに年金事務所などに問い合わせて解決しておきましょう。
出典
(※1)日本年金機構「基礎年金番号・年金手帳について」
(※2)厚生労働省「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律の概要」(令和2年6月5日公布)
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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