厚生年金に加入するにはどんな働き方をしたら良い?
ファイナンシャルフィールド / 2021年8月3日 23時30分
![厚生年金に加入するにはどんな働き方をしたら良い?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_113079_0-small.jpg)
厚生年金の加入にあたっては、事業主および加入者双方が加入の要件を満たす必要があります。厚生年金に加入すると保険料の負担はあるものの、事業主との折半であることや将来受け取れる年金が増えるなど、さまざまなメリットがあります。 今回は厚生年金への加入要件について解説します。
厚生年金への加入とは?
厚生年金に加入するためには、勤務先が適用事業所であることが要件です。そして、この適用事業所に使用される人が加入できます。
ここでいう「常時使用される人」とは、適用事業所で働いており、恒常的に給与を受け取っている人が対象です。したがって、法人の代表者、役員、正社員のほか、アルバイトやパートそして試用期間中の人や外国人も含まれます。
![](https://financial-field.com/wp/wp-content/uploads/2021/08/75e53d4448e1e2458319d198b7c42715-6.jpg)
(引用:日本年金機構「社会保険の加入についてのご案内」(※1))
ただし、アルバイトやパートの場合で被保険者になるためには、1週間の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数が、同じ事業所で同様の業務に従事している正社員の4分の3以上である必要があります。逆にいえば、4分の3未満の場合は被保険者になることはできません。
ただし、4分の3未満であったとしても、以下の要件をすべて満たしていれば加入できます。
・週の所定労働時間が20時間以上あること
・1年以上の勤務期間が見込まれること
・賃金月額が8万8000円以上であること
・学生でないこと
・勤務先の企業の従業員が501人以上であること
2020年の改正で加入者の範囲が拡大
2020年の改正年金法により、短時間労働者における厚生年金保険の適用が拡大されることとなりました。この改正は今後段階を踏んで行われますが、現段階の具体的な内容は以下の表のとおりです。
![](https://financial-field.com/wp/wp-content/uploads/2021/08/b21aa6e7a5229bdbdbdb6524b66d20f0-1.jpg)
(参考:日本年金機構「令和4年10月からの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」(※2))
勤務時間の緩和について
勤務時間については、現行の要件「継続して1年以上使用される見込み」から「継続して2ヶ月を超え使用される見込み」へと緩和されることになります。
さらに補足として「雇用契約等の書面によって契約の更新(可能性)が明記されていること」や「同じ事業所でこれまでと同じ業務に携わるものとして契約を更新しながら1年以上の勤務実績があること」を満たせば、1年以上の見込みとして取り扱うとされています。
非適用業種の見直し
適用事業所の要件を満たす業種についても、見直されます。現時点では、適用業種の要件を満たさない法律や会計などの士業の事務所においては、2022年4月より適用業種に追加されます。
厚生年金に加入することによって得られるメリット
厚生年金に加入することで、将来受給できる年金を増やすことができるほか、健康保険上の手当金を受け取ることができるようになります。
具体的な保険料と将来受け取れる年金額
例えば、月額賃金が8万8000円(年間約106万円)の範囲内で働き、厚生年金に加入することで発生する保険料負担額は、厚生年金保険料および健康保険料合計で1万2892円です。
これを10年間続けると、将来受け取れる年金額は年額約5万5000円(月額約4600円)となり、20年間続けたとすると年額約10万9000円(月額約9000円)の増額です(マクロ経済スライド調整等は加味していません)。さらに、健康保険組合からの傷病手当金や出産手当金などを受けることもできます。
まとめ
今回の改正で、短時間勤務の方における厚生年金への加入の範囲が拡大されます。賃金要件は変わらないものの、加入の範囲内で仕事ができるのであれば、厚生年金に加入するメリットは大きいといえます。
短時間勤務を希望していて、かつ厚生年金の加入を検討しているかたのなかには、働き方によっては加入要件を満たすことができるかもしれません。そういった意味でも、今回の改正で勤務時間が「継続して2ヶ月を超えて使用される見込みがあること」まで緩和されたことは非常に有意義であるといえます。
さまざまな働き方がある中で、このような選択肢もあることを理解し、厚生年金に加入できるメリットを最大限活用していくことも検討してみてください。
出典
(※1)日本年金機構「社会保険の加入についてのご案内」
(※2)日本年金機構「令和4年10月からの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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