特定商取引法改正で何が変わる? 注文した覚えがない商品が届いたらどうすればいい?
ファイナンシャルフィールド / 2021年8月6日 11時10分
![特定商取引法改正で何が変わる? 注文した覚えがない商品が届いたらどうすればいい?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_113282_0-small.jpg)
インターネットの普及で気軽に利用できる通信販売ですが、その反面、通信販売での消費者被害は増加する一方です(国民生活センター 令和元年12月19日報道発表資料より)。 新型コロナウイルス感染症の影響を受けての巣ごもり生活により、さらに消費者被害が増加しています(国民生活センター 令和2年9月17日報道発表資料より)。 また、ジャパンライフ事件(預託法及び特定商取引法違反)では、多くの人々が被害を受けました(令和3年6月7日 消費者庁資料より)。 事業者と消費者では情報格差が大きく、取引に不公平が生じます。消費者被害の防止・取引の公正を図るべく、令和3年6月16日、「消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律」が、令和3年法律第72号として公布されました。 ここでは、特定商取引法について、主な改正を解説します。
送りつけ商法、即処分できます(令和3年7月6日以降)
送りつけ商法といわれる、売買契約に基づかないで送付された商品に関わる規定(特定商取引法第59条及び第59条の2)についてが、令和3年7月6日に施行されます。
売買契約がないのに商品を送りつけた事業者は、消費者に対し返還請求ができません。消費者は、売買契約なく送られてきた商品を即処分できるのです。
注文してないのに、突然、商品が送られてきたら慌ててしまいます。業者が何も言ってこなくても、持ったままでいるのは気味が悪いですね。
現行、14日間保管の後処分ができます。早く処分したい場合、業者に引き取り請求をすれば保管期間が7日間になりますが、こちらの電話番号を知られてしまいます。それが、令和3年7月6日以降、即処分可能になります。
また、売買契約がなく勝手に送られてきた商品は、代金を支払う必要はありません。業者に連絡を取る必要はまったくありません。業者から請求があっても支払わないようにしましょう。
間違って支払ってしまった場合、消費者ホットライン188に相談しましょう。
お試しのつもりが、実は定期購入
「一度だけお試ししようと申し込んだら、実は定期購入だった」
通信販売はクーリング・オフができません。申し込み前に説明書を読み、じっくり考えて申し込むかどうかを決めれば良いからです。
間違って申し込んでしまう消費者が多いため、今回の改正で、通販の「詐欺的な定期購入商法」対策がされました。どのような対策がされたのでしょうか。
(以下、消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律の概要 特定商取引法の主な改正内容 1 通販の「詐欺的な定期購入商法」対策より引用)
・定期購入でないと誤認させる表示等に対する直罰化
・上記の表示によって申込をした場合に申込の取り消しを認める制度の創設
・通信販売の契約の除外の妨害に当たる行為の禁止
・上記の誤認させる表示や解除の妨害等を適格消費者団体の差止請求の対象に追加
定期購入でないと誤認させる表示により間違って申し込んでしまった消費者は、契約を取り消すことができるようになります。
差止請求とは、適格消費者団体(内閣総理大臣より差止請求権を行うのに適格性があると認定を受けた団体)が、不当な勧誘や不当な契約などの事業者の不当な行為を止めるように求めることができる制度です。
不特定多数の消費者に対して、消費者契約法等に違反する不当な行為が対象となり、今回の定期購入でないと誤認させる表示についても対象です。この制度は、令和3年6月16日の公布から1年以内の政令で定める日に施行されます。
クーリング・オフの書面、メールでも可能に
その他、消費者利益の庇護増進のための規定が整備されています。
(以下、消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律の概要 特定商取引法の主な改正内容 (3)消費者利益の擁護増進の為の規定の整備より 引用)
・消費者からのクーリング・オフの通知について、電磁的方法(電子メールの送付等)で行うことを可能に
・外国執行当局に対する情報提供制度の創設
・行政処分の強化等(以上について、施行は公布から1年以内の政令で定める日)
・事業者が交付しなければならない契約書面等について、消費者の承諾を得て、電磁的方法(電子メールの送付等)で行うことを可能にする改正規定(特定商取引法第4条第2項及び第3項等)(施行は公布の日から2年以内の政令で定める日)
めまぐるしい社会経済情勢の変化、情報弱者の消費者を食い物にする商法が後を絶ちません。「変だな」と思ったら、消費者ホットラインへ相談しましょう。決して1人で抱え込まないことが大切です。
出典
消費者庁「令和3年特定商取引法・預託法の改正について」
消費者庁「消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律の概要」
国民生活センター 令和元年12月19日報道発表「相談激増!「おトクにお試しだけ」のつもりが「定期購入」に!?-解約したくても「解約できない」、「高額で支払えない」・・・-
国民生活センター 令和2年9月17日報道発表「「新しい“消費”生活様式」の影響で相談増加!? インターネット通販のトラブルにあらためて注意!」
消費者庁 平成29年3月16日報道発表「預託法及び特定商取引法違反の事業者に対 する業務停止命令,取引停止命令等について」
経済産業省 令和3年6月7日消費者庁資料「特定商取引法・預託法等の改正について」
消費者庁「消費者団体訴訟制度」
執筆者:林智慮
CFP(R)認定者
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