企業型確定拠出年金に入っているけど、2022年の改正で何か影響はあるの?
ファイナンシャルフィールド / 2021年8月10日 11時30分
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確定拠出年金制度は、老後資金不足への不安により、急速に加入者が増加しています。この制度には大きく分けて企業型と個人型(iDeCo)とがあります。今回は企業型に焦点をあて、2022年の改正について見ていくことにします。
企業型確定拠出年金とは
企業型確定拠出年金とは、企業が毎月掛け金を支払い(拠出し)、従業員(加入者)自らがその掛け金を管理し、資産運用をする制度です。この制度は、掛け金を支払っている企業と掛け金を管理し、資産運用をしている従業員にそれぞれメリットがあります。
●掛け金が企業の損金(費用)となる
●確定拠出年金に加入している企業にかかる手数料が損金(費用)となる
●企業の福利厚生制度として優秀な人材の確保につながる
●加入期間で得た運用利益はすべて非課税となる
●積み立て資産を60歳以降に受け取るとき、一時金(一括)で受け取るか年金(分割)で受け取るか選択することができ、さらには一時金の場合は退職金として退職金控除が使え、年金の場合は公的年金等控除が使えるため、税負担を軽減させることができる
●一定の条件のもと、毎月の掛け金を従業員自身のお金を使って増やすことができ、その増やした掛け金は、全額所得控除の対象となり、税負担を軽減させることができる
2022年4月1日施行~受取開始年齢の拡大~
公的年金の受取開始年齢の選択肢が拡大されることに伴い、老齢給付金の受取開始年齢の上限年齢が、70歳から75歳に引き上げられます。これにより確定拠出年金の受取開始年齢は働き方により60歳(加入者資格喪失後)から75歳までの期間で自由に選択が可能です。
ただし、掛け金を支払わず受け取らない期間には、掛け金を支払っていた期間と同様に手数料がかかります(手数料の金額は掛け金支払時期とは異なります)。そのため、積み立てた資産の目減りが生じます。受取年齢をいつにするかは、あなたの働き方に合わせて考える必要があります。
2022年5月1日施行~加入可能年齢の拡大~
今までの加入可能年齢は原則60歳未満、一定の条件のもと65歳未満と、加入できる年齢が決まっていました。ところが2022年5月改正により、70歳未満の人まで加入できるようになります。
そのため、65歳以降も働くという人にとっては自分の資金を増やすことができ、働き方によっては資産を増やすチャンスを得ることができるようになります。ただし、企業によって加入できる年齢が異なるので注意が必要です。
また、現行では60歳以上65歳未満の期間に加入し続けたい場合は、60歳より以前から同じ事業所で働き続けていないと加入を続けることができなかったのですが、これが撤廃されます。ただし、具体的には諸条件を確認する必要があります。
2022年10月1日施行~個人型iDeCoへの加入要件の緩和~
現在の制度で企業型確定拠出年金の加入者が個人型iDeCoに加入が認められるのは、以下の2つの要件を満たした場合のみです。
(1)労使の合意がある
(2)企業の掛け金の上限額を引き下げる
2022年10月以降は、上記2つの要件が撤廃されます。具体的にどのように変更になるのか見ておきます。
改正前において、企業型と個人型に加入する場合は、企業型確定拠出年金の掛け金限度額は5万5000円を引き下げ3万5000円に、個人型iDeCoの掛け金限度額は2万円で、合計額5万5000円までとなっていました。
改正後、(2)が撤廃されたとしても、企業型と個人型を合わせた掛け金の上限額は5万5000円のままです。例えば、Aさんは企業型4万5000円・個人型1万円、Bさんは企業型5万円・個人型5000円といったように、従業員ごとに設定が可能です。
なお、企業型確定拠出年金制度において従業員本人が掛け金を上乗せする「マッチング拠出」を採用している企業は、個人型iDeCoに加入することができないので、注意が必要です。
これからの働き方を考える機会に
2022年の改正は、現在の加入者にとって資産がマイナスになることはほとんどありません。むしろ、資産がプラスになる可能性が膨らみ、あなたの今後の働き方を考える良い機会になるかもしれません。
20歳代であれ50歳代であれ、老後資金の不安はあります。そのときに考える必要があるのは、どういった人生を送るかということです。その中で「働き方」についても考える必要があるわけです。
日本には年金制度があり、毎年誕生日月には「ねんきん定期便」が送られてきます(「ねんきんネット」に登録している人は、届かないこともあります)。そこには、将来に受給できる予定の金額が書かれています。こうした情報を参考にあなたの「働き方」を考えてみてください。
万一、あなたが悩んでいるのであれば、複数の専門家(税理士、社会保険労務士、ファイナンシャル・プランナーなど)に相談してみてください。きっとあなたにとって有益な情報を得られると思います。
出典
厚生労働省・国民年金基金連合会「確定拠出年金制度が改正されます」
執筆者:秋口千佳
CFP@・1級ファイナンシャル・プランニング技能士・証券外務員2種・相続診断士
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