海の幸、勝手に捕ると密漁に? 場合によっては3000万円以下の罰金も?
ファイナンシャルフィールド / 2021年8月13日 3時10分
この夏休み、町の中の雑踏を離れ、人が少ない安全なところで過ごされる方もいらっしゃるでしょう。 海遊び、楽しいですね。自然の中でバーベキュー、きれいな景色の中はいつもとひと味違います。ついでに、新鮮な海の幸を現地調達? それ、密漁になるかも。
アワビ、ナマコ、シラスウナギの採補は3000万円以下の罰金!
次のグラフは、水産庁が令和3年5月に公表した参考資料「密漁の現状について」の中の、違反者区分別の検挙件数の推移(海面)です。増加する違反者の多くが、漁業者以外の者であることが分かります。しかも、漁業者並みの採補量です。組織的な密漁であると考えられます。
(出典:水産庁 令和3年5月に公表した参考資料「密漁の現状について」より)
密漁対策、そして罰則を強化するよう、70年ぶりに漁業法が改正されました。
令和2年12月1日から、「アワビ」「ナマコ」「シラスウナギ」の特定水産動食物は捕獲禁止になっています。漁業権や漁業の許可がない者がこれに違反したら、原則、3年以下の懲役または3000万円以下の罰金が科せられます。採取した数、場所にかかわらず、罰則の対象となります。
しかし、次のように、採補する許可を得ている者に限り、適用除外とされます。
●漁獲割当の範囲内
●許可を要する漁業について許可を受けたものが、許可に基づいて漁業を営む
●漁業権・組合行使権を有する物物が、これらの権利に基づいて老業を営む
●試験研究・教育実習のために許可を受けて採捕する場合
(水産庁「密漁対策と罰則の強化」より引用)
たとえ許可や漁業権があっても、許可をされた範囲以外の操業は違法になり、罰則の対象になります。
また、採補する者だけでなく、密漁品を「運搬」「保管」「取得」「処分の媒介や斡旋」に関わる者すべて、3年以下の懲役または3000万円以下の罰金が課せられます。
組織的な密漁を防止するためです。採った人だけでなく、売った人、買った人、流通するのに関わった人はすべて罰則の対象です。よって、一般人も同様です。「アワビ」「ナマコ」「シラスウナギ」を見つけても決して採補しないようにしましょう。知らなかったでは済まされません。
他に密漁になってしまうもの
罰則があるのは、特定水産動植物3つだけではありません。法律や各都道府県の漁業調整規則によりますが、漁業権に基づき許可を受けても、許可を受けたものしか採補する権利がありません。
漁業権は、「一定の水面において特定の漁業を一定の期間排他的に営む権利」です。定置漁業権(大型の漁具使用)・区画漁業権(養殖)・共同漁業権(組合の管理により、一定の水面で共同利用)があります。一般の人が漁業権の対象となっている水産動植物を取ることはできません。
採貝・採藻漁業を行っている漁場内で、アサリ・サザエ等の貝類、ワカメ・昆布等の海藻類、伊勢エビやタコ等の定着性の水産動食物を組合員以外の者が採補した場合は、漁業権侵害になり、100万円以下の罰金が課せられます。
改正前は20万円以下でしたから、罰金は5倍と厳しくなっています。こちらも、知らなかったでは済まされません。
ルールを知って、楽しい休日を!
その他、遊漁を行う場合、場所により、使ってはいけない道具、やってはいけない漁法が異なります。目的地の都道府県にあらかじめ確認するとよいでしょう。
バーベキューをする場所について、バーベキュー専用スペースでなければ、目的地の地方公共団体に行って良いかどうかの確認をしておきましょう。条例で禁止されているところもあります。
ルールを知って、楽しい休日をお過ごしください。
(参考・引用)
水産庁「密漁を許さない~水産庁の密漁対策~」
水産庁「密漁を許さない 沿岸密漁の対策について」
水産庁「密漁対策と罰則の強化」
水産庁 令和3年5月「参考資料(密漁の現状について)」
水産庁「都道府県漁業調整規則で定められている遊漁で使用できる漁具・漁法(海面のみ)」
執筆者:林智慮
CFP(R)認定者
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