投資信託の収益分配金は、「受取」か、「再投資」か?
ファイナンシャルフィールド / 2021年8月11日 23時30分
投資信託への投資を始められる方にとって、株式の配当と同じように定期的に分配される収益分配金が魅力の1つと感じている人も多いでしょう。 ただし、投資信託には分配金がある商品と、ない商品の2種類があります。また、分配金がある商品でも、その分配時期(決算)が毎月、半年、1年など、さまざまなタイプがあります。 そして、分配金の取り扱いについても「受取」と「再投資」の2つの選択肢があるため、投資の初心者の方にとっては、どちらにすべきか迷われる場合もあるかもしれません。両者の違いについて見ていきたいと思います。
収益分配金の種類
投資信託の収益分配金とは、その投資信託の決算日における運用益から経費を控除して、投資信託委託会社が定める方針に従い分配されるものです。
収益分配金は、個別元本(投資家ごとの購入時の基準価額)と分配後の基準価額との関係から、以下の図のとおり、「普通分配金」と「特別分配金」の2種類に分類されます。
普通分配金とは、投資信託の運用上の利益や配当金などが、個別元本を上回る部分から支払われる分配金を指します。そのため、普通分配金部分は投資家への利益の還元として課税対象となります(所得税等15.315%、住民税5%)。
特別分配金とは、元本払戻金ともいわれます。つまり、個別元本を下回る部分から分配金が支払われるため、元本の一部を払い戻していることになります。そのため、特別分配金部分は非課税となります。
※筆者作成
収益分配金の取り扱い
そして、これらの収益分配金の取り扱いには「受取」と「再投資」の2つの選択肢があります。
「受取」を選択した場合には、収益分配金が支払われる都度、普通分配金については税引き後の分配金額、特別分配金については分配金額が計算され、指定の銀行口座 などで受け取ることができます。
普通分配金で受け取る場合、定期的に分配金が指定口座に入金されるため、お小遣いを手にしたような感覚が得られます。仕事をリタイアされた方にとっては、日常の生活費や他の投資商品への活用など、さまざまな用途に充てることができます。
また、分配金を受け取ることにより、運用を継続しながら利益を一部確保していることとなるため、仮に将来的に投資信託の運用が悪化に転じ、分配金が支払われない場合にも対応できます。
一方、「再投資」を選択した場合は、決算時の分配金を受け取ることなく、その金額を同じ商品の再購入に充てることになります。この場合の最大のメリットは、再投資により購入口数が増加し、いわゆる「複利効果」による投資効率のメリットを享受できる点にあります。
投資信託への投資の目的が中長期的な投資運用ということであれば、「再投資」の方が、より目的にあった選択といえるかもしれません。ただし、再投資の場合には投資家本人が換金するなどの方法をとらない限り、投資期間中はお金を受け取ることはできません。
また、「受取」でも「再投資」でも税金の取り扱いには違いはありません。たとえ再投資したと場合でも、いったん分配金を受け取ったという扱いで税金が源泉徴収されることとなります。
まとめ
今回ご説明した収益分配金の課税については、当然ながらNISA(少額投資非課税制度)を利用することにより、一定の投資金額までは非課税となります。
結論として、「受取」か「再分配」かの選択は、投資家ごとの投資目的や好みにより判断することとなります。その際にはそれぞれのメリット、デメリットを理解しておくことが重要となるでしょう。
また、投資信託の運用成績は、決して分配金の多寡で決められるものではなく、トータルリターンを考慮した判断が必要となる点も覚えておきましょう。
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー
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