自宅で介護をしている人が受けられる支援とは
ファイナンシャルフィールド / 2021年8月22日 11時0分
自宅で介護をしていると、心身的にも金銭的にも、さまざまな負担を感じることがあるかもしれません。そんな方々のために自治体などでは、介護保険に頼らず在宅介護をする家族に対して金銭的な支援制度を用意しています。条件にあてはまれば支援を受けられるかもしれません。内容を確認してみましょう。 また、金銭的支援を受けるために介護保険サービスの利用を控えることが良いのか、についても考えてみたいと思います。
自治体独自の在宅介護の支援制度
生命保険文化センターの調べ(※1)では、在宅介護に要した費用(公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)のうち、一時費用(住宅改造や介護用ベッドの購入など一時的にかかった費用)は67.2万円、月々の費用は4.62万円となっています。年金生活の高齢者世帯にとっては大きな負担です。
市区町村の中には介護サービスの利用を控え、在宅で介護する方に慰労金を支給するところがあります。いくつか見てみましょう。
山口市では、介護保険の要介護3~5の要介護者を在宅で介護する家族の方で、要介護者が1年間介護保険制度で利用したサービスの日数が10日以内であるなどの要件を満たした方に、年額10万円を支給しています(※2)。
長岡市では、介護保険の要支援2~要介護5の65歳以上の方を同居する家族の方が在宅で介護する場合(実際に自宅で介護を行った日数が20日以上の月が支給対象です)、要支援2・要介護1・要介護2は月額3000 円、要介護3・要介護4・要介護5は月額5000円が支給されます(※3)。
北九州市では、重度の介護を要する高齢者を、介護保険サービスを利用せずにいま現在介護を行っている家族への慰労として、年額10万円を支給しています(※4)。
市区町村によって支給対象や条件等が異なりますので、ホームページなどで調べてみましょう。
在宅介護を続けるにはプロの力を借りることが大切
介護を始めたら途中で止めるというわけにはいきません。介護はいつ終わるかわからない長期戦です。生命保険文化センターの調査によると介護期間の平均は在宅介護の場合53.1月となっていますが、15.1%の方は10年以上となっています。
家族が1人で介護を抱え込んでしまうと、介護中心の生活になり、外部との交流が減ったり、自分の時間がもてなくなったりして、精神的にも追い詰められて「介護うつ」になったり、要介護者に「虐待」を行うようになるリスクがあります。仕事中は介護から解放されるので、介護離職は経済面だけではなく精神面からも避けるべきです。
また、素人が介護することにより、要介護度を重度化してしまうこともあります。介護は想像以上にハードです。いつ終わるかわからない在宅介護を続けるためには介護保険を利用して介護はプロに任せることが大切です。
介護者のための介護保険サービス
介護保険サービスは要介護者のためのサービスですが、デイサービスやショートステイは家族の息抜きにも役立ちます。
デイサービスでは、要介護者がデイサービスセンターで、食事・入浴などの日常生活の支援や機能訓練、レクリエーションなどを日帰りで受けることができます。通常規模の施設で8~9時間未満の利用の場合、自己負担(1割)の目安は要介護度に応じて769~1342円です。
要介護者がデイサービスに通っている間、介護者は介護から解放され自分の時間をもてるようになるので、心身のリフレッシュになります。
特に、目の離せない認知症の家族にはとても助かるサービスです。
ショートステイでは介護老人福祉施設などに短期間入所し、食事・入浴などのサービスや機能訓練等を受けることができます。併設型の施設の場合、1日あたりの自己負担(1割)の目安は、要介護1で部屋のタイプに応じて716~847円となっています。
介護者にとっては、要介護者に一定期間利用してもらうことによって介護疲れを癒やす効果があります。精神的に追い詰められたら自分を取り戻すために利用したいサービスです。
(注:費用の目安は練馬区の場合です(※5))
(※1)生命保険文化センター「平成30年度生命保険に関する全国実態調査」(平成30年12月発行)
(※2)山口市ホームページ
(※3)長岡市「在宅介護者支援金のご案内」
(※4)北九州市「家族介護慰労金支給」
(※5)練馬区「すぐわかる介護保険」
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。
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