資産運用ではプロレーサーではなくセーフティードライバーを目指そう
ファイナンシャルフィールド / 2021年8月24日 12時0分
最近、SNSやYouTubeで投資についての情報や動画が多くなっているようです。筆者の私が見聞きした限りでは、投資でもトップ成績を意識したような内容が多いように感じますが、誰もが同じようにできるのでしょうか?今回は、もっと身近に資産運用ができるように考えてみたいと思います。
本来の資産運用における投資とは?
私もファイナンシャルプランナーの資格を取得する前は、資産運用と考えてまず頭に思い描いたのは、個別株などの株式投資でした。
お客さまからのご相談の中でも、資産運用は損をしてしまう可能性があるので始めるのをためらっていると言われる人は多く、資産運用で投資というと株式投資を思い浮かべられるのだと実際に感じています。
しかし、資産運用で投資とは将来の利益を見込んで資金を投じるもので、短期間で大きく資金を増やすものではありません。株式投資でも、投資する企業の成長に期待をして行うというスタンスならいいのですが、短期的な売買で利益を得ようとする投資は「投機」となるのではないでしょうか。
また、投資にはリスクがありますが、リスクに対しての誤解によって常に損をしてしまうと思われる人も多いのではないでしょうか。
投資におけるリスクとは、想定した運用利回りに対しての振れ幅や不確実性のことをいい、例えば「3%の利回りが期待できるもので、リスクが20%」というような表現の場合、3%の運用利回りは期待できるのですが、単年で見るとプラス23%になることや、逆にマイナス17%になるというイメージです。
しかし、長い期間で見ると年率3%の運用利回りに近づいていくことになります。ただ、こういった数字も過去のデータなどから算出しているものですので、将来に対して確実なものではないという点には注意も必要です。
分かっていても元本を下回るのは怖い
投資についての情報はインターネット上でも多く取り上げられていますが、リスクに対して理解ができない時期には、どうしても投資した元本を下回ることを不安に思われる人が多く、現在は手っ取り早くSNSやYouTubeで勉強をして損をしない投資を行おうと考えてしまいがちです。
SNSなどでは、投資で大きな利益を出していると思われる方が情報を発信しているため、そこで勉強をして投資を行うことで、多くの人が失敗しないと感じてしまうのかも知れません。
しかし、決して全ての人が同じような考えで投資して利益を出せるとは限らず、情報の捉え方もまちまちとなってしまうので、あくまで1つの参考程度とする必要があります。
投資の基本として、「分散」「長期」「継続」というものがあります。
まずは分散ですが、投資には振れ幅というリスクがあるため、全く反対の動きをする複数の投資先に分散して投資を行った場合、このリスクが小さくなるということになります。
次に長期という考えですが、投資はリスクによって単年で見ると元本を下回る可能性もあります。しかし、もともと成長に期待できるものに投資をしていますので、長期的に見れば回復していく可能性も高くなります。
また、積み立てという時間の分散を活用することで、安くなったタイミングで購入でき、「ドルコスト平均法」という購入単価の平均も取ることが可能になります。
最後の継続については、業績がどんどん悪化し続けている企業や運用成績が悪くなってしまうファンドに投資をしてしまった場合を除き、基本的には成長を期待できるものに投資を行っているので、一時的な動きに左右されることなく、継続していくことでしっかりと成果を出すことも可能になってくるのではないでしょうか。
投資は車の運転に例えられることもありますが
投資は基本を守っていくことで、安定した運用実績を実現する可能性があると思います。こうした話をするとき、投資を車の運転に例える場合があります。
車は運転免許を取得することで公道を運転できるようになりますが、投資に免許はありません。
しかし、私のようなファイナンシャルプランナーやIFAという独立系ファイナンシャルアドバイザーという存在もあり、自動車教習所の教官のようにアドバイスを受けながら投資を行うことも可能になってきています。
車の運転は怖いと思う人もいるでしょうが、便利なことは分かっているので、免許を取って運転をする人も多いのでしょう。特に、目的地まで徒歩や自転車に比べて早く着くことができるというメリットは大きいですね。長距離の移動も可能です。
投資も基本的なことを理解した上で安定した運用ができれば、目標の金額を貯めるのも早くなりますし、同じ目標額を貯めるにしても、ほとんど増えない金融商品での貯蓄に比べて投資の方が元本となるお金が少なく済むということも考えられます。
また、あくまで車の運転での例えですが、スピード違反や信号無視などルールを破ってでも早く目的地に着こうとした場合、途中で大きな事故を起こしてしまったり、警察に捕まるなど不確実性も高くなります。
投資でも短期的に利益を出そうとして成功する人もいるでしょうが、逆に大きな損失を被ってしまうということもあり得ます。
車の運転はプロレーサーのように、訓練を重ねてサーキット場をものすごいスピードで走るテクニックを持つ人もいますが、これはごく一部の人です。プロのドライバーも公道ではルールを守って運転を行いますし、プロだからこそルールを破ることが危険だと知っています。
投資ではなぜか多くの方が、プロの投資家と同じような成果を求めがちですが、投資家も考え方や情報の違いなど人によってさまざまです。機関投資家と呼ばれるプロの方も、ギャンブル的に投資を行っているわけではなく、基本やルールを守りながら運用を行っているのです。
投資でも全ての人がプロレーサーになる必要はなく、ルールを守って運転を行うセーフティードライバーを目指すことが大切だと思います。
まとめ
投資先進国のアメリカでは、投資について自分で勉強をして始めるよりも、ファイナンシャルプランナーや独立系ファイナンシャルアドバイザーなどに任せるという考えが広まっています。
日本では、まだ投資は自己責任といわれ、自分で勉強しながら行うという考え方が強いですが、独立系ファイナンシャルアドバイザーなどは信頼できる相談相手になる可能性もありますので、長期的に頼れるパートナーを見つけて投資を始めてみるのも良いかも分かりませんね。
執筆者:吉野裕一
夢実現プランナー
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