終活ってどんなことをするの? みんな何を準備しているの?
ファイナンシャルフィールド / 2021年8月24日 22時30分
「終活」を特集した記事などを多く見かけるようになりました。しかし、実際に行動を起こしている人はまだまだ少ないようです。終活アドバイザー協会の「終活意識全国調査」(※1)を参考に説明していきます。
終活の認知度と準備していること
まず、終活の認知度についてです。年代で若干の差はありますが、平均で96%以上の人が知っており、認知度はかなり高いといえます。
また、次の表は、「エンディングノート」という言葉を知っているかどうかを聞いたものです。終活というと、エンディングノートに記入したり、これを参考に準備したりするイメージが強いと思います。
表1.
(終活アドバイザー協会「終活意識全国調査」から引用)
平均は約80%に上りますが、世代間でかなり幅が出ました。また、エンディングノートを持っていて、かつ書いたこともある人をたずねると、全体で約7%、60歳代以上でも約12%と、実際に行動に移している方はかなり少ないのではないかと思われます。
終活は死ぬ準備なのか
終活に対するイメージはどのようなものなのでしょうか。次の表で確認してみましょう。
表2.
(終活アドバイザー協会「終活意識全国調査」から引用)
死後のための準備という回答が圧倒的に多いですが、年代が高くなるに連れて、残りの人生を前向きに過ごすためという回答が増えています。
人生100年時代といわれ健康寿命も延びる中で、年を重ねるごとに、終活の範囲には「これからの生き方」も大切なテーマに捉える意識の変化が、この調査で読み取れます。
平均寿命-健康寿命=終活?
では、健康寿命に到達するまでのことと、死後の準備の2つを行えばよいのでしょうか?
この調査をみると、家計、健康、医療、介護、孤独などの「老後」に不安を持つ人がどの年代でも80%以上いることがわかります。20歳代もです。
また、そのような不安や老後の住まいのことについて、家族と話し合ったことがある人が60歳以上でも50%以下と少ないことも確認できます。親については相談していても、自分のことになると後回しにしている人が多いのではと考えます。
終活を終えたと宣言した方で、亡くなったあとに葬儀会社の契約と墓の確保だけだったと分かった、というケースもあり、遺(のこ)された家族が相続問題で困ってしまうことが起きる可能性があります。
そして、本当の寿命と健康寿命の間にある、「介護や支援を必要とする期間」のことを忘れがちです。男女で若干異なりますが、その「健康ではない」期間は平均10年前後あるのです。
厚生労働省の調査(※2)によると、生きたい年齢と生きられると思う年齢は次のようになっています。
表3.
厚生労働省「健康意識に関する調査」から著者作成
女性のほうが平均寿命は長いのに、どちらの回答も女性のほうが男性より下回っているのが興味深いですね。
ちなみに、最新の健康寿命は女性74.79歳 男性72.14歳(出典:厚生労働省ホームページ)です。それなら、「ピンピンコロリ」を漠然と期待するのではなく、「健康ではない」期間への積極的な備えが必要なのではないでしょうか。
この期間にどんな過ごし方やケアを希望するか、親しい人に伝えておいてもらうことが、特に認知症になった際には、配偶者や子ども、看護・介護従事者の方々にとって大きな助けとなるのです。
まとめ
終活に向き合うことは、死後への備えだけでなく、その前に待っている介護の期間への備えや、人生の後半を生き生きと過ごすためのライフプランの設計につながっていきます。そう考えると、終活は現在の自分自身を見つめ直すところまで行き着くのかもしれません。
終活アドバイザー協会の調査では、「あなたは夢や生きがいを持っていますか?」という質問もしているのですが、実は平均38.5%が「ない」と回答しています。これには筆者も少々驚きました。
20歳代は約70%が「ある」と回答していますが、30歳代から50歳代にかけて約55%まで低くなり、60歳以上になるとまた「ある」の回答がグっと増えてきます。
中高年期の現役世代の方々には、一度立ち止まって老後までの自分の生き方を思い描くことをお勧めするとともに、足もとの生きがいを大切に意識していただきたいと思います。
出典
(※1)NPO法人ら・し・さ(終活アドバイザー協会)「終活意識全国調査」2021年2月12日公表
(※2) 厚生労働省「健康意識に関する調査」2014年
執筆者:伊藤秀雄
CFP(R)認定者、ファイナンシャルプランナー技能士1級、第1種証券外務員、終活アドバイザー協会会員、相続アドバイザー。
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